砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ブームタイム大穴説

DanzigというのはすでにLady Angelaを弄った種牡馬なので、その仔の代ではNatalma弄りに熱心した。最たる形がデインヒルのNatalma3×3であり、更にその仔の代では「父3×3クロス種牡馬」に対して例外的な成果を上げた。これはAlmahmoudの異系っぷりによるクロス適性が素晴らしいと言うべきだろう。

だがそれもNorthern Dancer3×4かつNatalma4×4×5で打ち止めだろう。これ以上の継続は何かしらのフォローが必要であり、根っこの違うものを持ってこなければならない。


それがNorthern Dancer×Grey SovereignのGrand Chaudiereの意義である。こういった色の異なるものを持ってこなければこういう父親には対応できない。当のGrey Sovereignをクロスしているのも評価が高いところで、この血統の「Nasrullah×Hyperion」は中距離適性をよく使える。トニービンがそうであるし、最近の流行りだとYoung Emperorもそう。こっちはAvenaの絡みもあるが。

正確に言えば、直接的には中長距離を伝える。その周辺を固めていくと中距離に寄る。ブームタイムの配合からすれば後者だろう。

Grey SovereignMill Reefに近い配合形であるが、Tourbillonの絡みが弱いだけに粘着力が強い。デロリと切れるところがあって、それはむしろ「Nasrullah×Hyperion」に依って和らげられる部分である。本馬の場合は更にそこへTom FoolNative Dancerを通じるPompey=Laughing Queenがそれに絡むのが秀逸で、特にNative DancerGrey Sovereignの関係が面白い。

またGrey Flightも面白い。これはRaise a Nativeと同族であり、Romanと同じ「最速の英米Woodbine融合」である。

こういったスタミナがよく見られるわりにはSnippets自身はスプリンターであったらしい。スタミナを支える様な頑強や、あるいはスタミナとしての頑強が強い血統であるから当然と言えば当然。そもそもMumtaz Mahalスピードが強い配合である。


このたぐいの速さを削いで、スタミナへ与えるのがNorthern Dancerというか、Almahmoudという見方もできる。もうちっと言えばLady Angela弄りのNorthern Dancer直仔種牡馬の仕事だろう。

こういう速さの根本が異なる短距離血統の出会いは予想以上に中距離へ寄せることとなる。ましてそれがNorthern Dancerを同源とするならばなおさらである。こんだけの大種牡馬だとレパートリーも豊富であって、色々ごちゃまぜに出来る。「大丈夫、同じ小麦だから。パンに出来てうどんに出来ないわけがない」という理論でシチューうどんを作ることが出来る。

もちろんシチューうどんはそのまんまだと大して美味くない。案外美味いが。

そこでかつおだし。かつおだしを入れてもシチューはそんなに不味くならない。けれどうどん適性は跳ね上がる。

この場合はスプリンターとしての純度を削ぐものが同じであれば良いわけであり、それを表現すれば勝ちである。


それを「Tom Fool×Apelle」に託して良いのか・・・というのがまずまず難しいところ。わりかし急坂小回り向きの要素だ。有馬記念で見たくもあったが・・・荒れた良馬場のスローならむしろベストか。Tom Foolは場所を選ばない。

それだけに大物感がないし、過去の戦績が安定しないのが嫌なところだな。まぁ、Tom Foolの競馬巧者ってのはテンがクソ速い日本だからこそとも言える。すぐに落ち着ける、すぐに加速できる、っていうのはサンデーサイレンスによる日本競馬でこそ輝くものだろう。


[追記]

ブラックキャビアの近親であるという新事実。


[fin]