砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Robertoの感動

Robertoは非常な馬群嫌いを伝える血統だ。しかし馬群から抜け出た時のパフォーマンスは圧倒的。

「こんなにお前は強かったのか!」と思わせるのがRobertoで、ゴールドシップエピファネイアマヤノトップガンもGiant's Causewayもナリタブライアングラスワンダーも・・・負けるときは「まぁこんなもの」で、勝つときは「こんなの誰も勝てないじゃん」である。

だから騎手・舞台・展開にはとても敏感だ。ダノンプレミアムを大きく評価していないのは、多少なりとも「ハマったRoberto」の競馬をしているから。Tom Foolの器用さも見え隠れするのがね、なんとも微妙に小物臭い。臭いだけで小物とは言わない。言えるわけがない。

Roberto専門の魔法使い

Robertoを表現した馬は案外なことが多い。というのも、Robertoの体質は小回り向き≒ステイヤー的。「お前そんなんでまくるつもり?逃げるつもり?差すつもり?」というくらいなもので、気性とのアンマッチが顕著となる。

それを展開へハメるのが横山典弘という騎手で、多くのRoberto馬をG1勝利へ導いてきた。ブラックホークゴールドシップサクセスブロッケン、そんでイングランディーレ。あとはクロフネ産駒のホエールキャプチャクラリティスカイ、アエロリットも。

重賞3連勝中のミスパンテールもRoberto持ちで、ブレイブスマッシュもRoberto。ココロノアイスマートオリオンデスペラード、ケイアイチョウサン、サクラプレジール、メイケイペガスターランフォルセフィフスペトルキングトップガンアリゼオホクトスルタンクーベルチュールナイキアースワークフェリシアマイネヌーヴェルエリモブライアン、そして最後にフューチャサンデーなど、重賞勝ちのRobertoにも事欠かない。

Robertoノリデータ

重賞×Roberto持ち種牡馬×ノリ
16-10-5-98/129 単回収77 複回収66
騎乗数1位 勝利数5位 ミルコ×ハービンジャーが馬鹿げた強さ

重賞×Roberto持ち繁殖牝馬×ノリ
22-16-6-93/137 単回収227 複回収118
騎乗数1位 勝利数1位 ジャンパーを除けば20騎乗以上で勝率1位 無双状態

母系にRobertoを引いていたら横ノリ買っておけばいい、というくらいの最強っぷり。父Roberto持ちは案外だが、クロフネ産駒では池添とツートップを張る。クロフネ以外は壊滅状態。

Robertoの遺伝

牡馬優勢の血統で、Roberto系というべき枝葉を構築している。

だが名牝がいないわけでもなく、スノーフェアリーやFoundなどIntikhabの血が欧州では躍動している。また、Kris S.Zenyattaを出したし、日本でも母父Robertoの三冠牝馬スティルインラブが。他にも活躍馬は多数。

それでも実際問題として「Robertoの名繁殖」が不在である。Robertoの繁殖牝馬は繁殖実績が安定せず、出たもの勝負だ。その割には今年の3歳牡馬の様にやたらめったらRobertoのいい馬が集まったりもするし、神様を信じたくなることがある。(逆に全く出ない世代もある)

神様を信じてる

だがそれは単純な話。Robertoは競争能力が高くなければ二束三文なのだ。それもずば抜けている必要がある。

「展開次第では」という勝ち方をする割には、展開が味方をしてくれないというジレンマ。だから最強クラスのRobertoは自力で展開を作ったり捻じ曲げたりする。逃げる、まくる、だ。

なのでエピファネイアの快勝は着差通りの強さではあっても、安定して発揮する様なパフォーマンスではない。あれは神様が用意した台本みたいなもんで、ミステイクとエスコートの連鎖反応。

だから人気になるほどRobertoは裏切るし、人気薄ほどRobertoは神様の世界へ流れ込んでいく。横ノリやスミヨンは神の使い、天使みたいなもんだね。エンジェルノリさん。

代償の裏切り

だもんで、前走でボロ負けしたグレイルやタイムフライヤーは実にRobertoらしい負け方をしたと言える。ダノンプレミアムもどこかしらで裏切る時が来るだろうし、というか一生懸命走りすぎて大舞台の前で問題発生回避しますってのもRobertoらしい。(シルバーステート=ヘンリーバローズがその典型例)

「ここは勝つだけでいいよ」という前哨戦でも目一杯のパフォーマンスを見せてしまう。だから過剰な人気を得るし、それだけの裏切りがある。最初から手の内をさらけ出すし、意味のない消耗を得るスタイル。

ただ無償の愛

「一生懸命」がRobertoのキーワードと思う。何に迫られるわけでもなく、ただただ一生懸命にRobertoは走り続ける。華麗に勝つことなんて早々ないけれども、鞍上ともども全部を背負い込んで、一生懸命に走り続ける。

それはRobertoへ禍根を強いた人間への皮肉かもしれないし、家畜としての性根かもしれない。あるいは馬としての本能なのか。

俺は愛だと信じたい。ともに歴史を歩んだ同胞からの。


Robertoの愛を受け取れる騎手が今年の皐月賞にいるのか、という落ち。


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