砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

春天展望

大混乱のG1が明日に迫っている。

予想の難しい混戦のG1ってのは、大抵の場合、人気で固く収まるものだ。展開や条件による予想を地力で制圧する馬ってのは決して少なくないし、G1でもそういうことが起こる。

しかもそれは実績馬に限る話ではない。「これは大物かもしれない」という期待混じりの人気馬がそれに応え、その後に最前線の強者として振る舞うことも少なくない。つまり「人気買っておけば大丈V!」である。

穴馬候補その1

すなわちミッキーロケットであった。「母系にTudor Minstrelを引く」「京都得意」「ズブズブしてきていい塩梅のスタミナ具合」。

昨年の今頃は「非サンデーのキンカメから凄いのが出てきたぞ」とワクワクドキドキしていたもんで、京都記念大阪杯で敗れても逸材だと信じていた。しかし今年に入ってからの凡走っぷりがひどすぎる。

スローの番手で下った日経新春杯はトップハンデでも勝負になるレースだった。ところが3着に4馬身差をつけられて上がりは35秒3という惨敗っぷり。馬場が重かったにせよ、もう少し走っても良いはず・・・。

これらに説明をつけるならば「フェノーメノ的なTudor Minstrelのスタミナがオンになっていて、春天ドンピシャの適性に落ち着いている」という理屈だけだった。あくまで素質を見込むのであれば。

この配合の悪いところはMiswakiがあること。これのせいでやや配合があやふやになってしまっている。そのためにキングカメハメハとの相似配合が成功したとも言えるわけであるが、配合に浮いたところが出来てしまった。

母マネーキャントバイミーラヴはNorthern Dancer4×4で、その母SabreonはPrincequilloNative DancerHail to Reasonによる相似配合。だから「Hail to Reason4×4」をまんまにしつつも「Northern Dancer4×4」を取った緊張の緩和のリズムが素晴らしい配合だ。(Princequilloもちょこちょこクロス入っている)

だからミッキーロケットの代におけるNureyev4×4ってのは「緊張→緊張→緊張」であり、これらの絡みにはひたすら緩和材料がつきまとう。Pivotalというアウトサイダーを使っていることで、ある程度のレベルでクリアされる問題だ。

ここにMr. ProspectorBuckpasserのクロスが発生すると状況が一変する。ある程度血統を見る人間からすると「あれ?」と思うのだ。ちょっと過去の名馬にはない形・・・というのはソフトな表現。重賞を辛うじて勝つタイプの拙さだ。

春天はランクの低いG1でもない

穴馬候補その2

今もまだ悩んでいる。トミケンスラーヴァ。

Tudor Minstrelの強さについては書いたが、実はGood Exampleもエグい。フレンチデピュティを介さないパターンだと打率バリ高で、人気薄でも飛んでくる。割と・・・エグいくらい。

ただナリタトップロードメイショウドトウが稼いだところの大きいデータである。そのためわざわざ掘り下げずに放っている。サンデー×フレンチデピュティなんかへ安易に適用出来ない類のデータなのよねぇ。

だがサンデー×ブライアンズタイム×Good Exampleが超特注。17番人気マカニビスティー単勝234.4倍)が4着までぶっ差していて、極めつけは14番人気ビートブラック単勝159.6倍)が押し切り勝ち。買っておいて損のない組み合わせだ。(フレンチデピュティ×リアルシャダイアドマイヤジュピタに似た配合形とも言える)

ということで悩むのだわ。RobertoもRibotもないけれど、トミケンスラーヴァがここで上昇する可能性は高い。というより直近2走の惨敗を払拭する走りは間違いのないところだ。ここで一気にパフォーマンスを上げてくるような配合。

それでもHyperion系の強いスタミナを持っていないことは大きな難しさを伴う。ビートブラックってトニービンを抱えていたからこそ春天を踏破出来たのよねぇ・・・。Thatchなんかじゃ足りない足りない。

短距離~中距離のスタミナをどれだけ重ねたところで春天を制するだけの底力ってのは得られない。どこかしらでアウトブリード系の凱旋門賞馬や英ダービー馬の力が必要である。Robertoってこの観点からとっても頼りになる血統なのだわ。(元祖「刺客」にして英ダービー馬)

よってこれでは勝てない。春天はやはり甘くない。

やはり強い人気馬

今年の予想で難しいのは「特注血統だけれども、特注としての形が整っていない」という馬が非常に人気をしていることにある。

だから確たる本命ってのが打ちづらくって、どこか一点突破の伏兵が勝ちきってもおかしくはない。けれど上記の通り、頼りない。何度も書くけれど春天は勝ち馬に対してはかなり厳しい採点をするレースだもんで、配合を褒めづらい馬に本命は打てないのだわ。

今年の上位人気に配合が拙い馬はいなくて、だから人気で上位を独占しても全く不思議はない。そういうパターンこそきちんと当てたいのが血統マニアでもあり・・・的確に穴馬を当てたいのも血統マニアである、と。(人気・穴・人気で50万くらい当てたい)

シュヴァルグラン

ボウマンのやっている競馬はハーツクライ的なのだが、このハーツクライ的ってのが問題。

馬群に入れて、それを捌く。このイメージってジャスタウェイに依る部分が非常に大きくあって、これは「ハーツクライ×Tudor Minstrel」のイメージでもあるのだわ。

だから超がつくロングスパートで追い掛けたジャパンカップジャスタウェイはさほど反応しなかった。今にして思えば。あの切れ味はTudor Minstrel的なものであって、マイルでアホかと思うくらいにズバッと切れていた。

シュヴァルグランもやっていることはほとんど同じで、こっちはNative Dancer周りの具合が良いだけに優れたスタミナを誇る。だから、むしろ、長めの仕掛けで四苦八苦していたためにキタサンブラックの後塵を拝していたとも言えるだろう。

かといって下りからのスパートが得意ということもないが、最も適性に優れた人気といえばシュヴァルグランに違いない。

穴馬候補その3

ずばり、ソールインパクト。これってすごく面白い配合で、惚れる寸前までは行く。けれど一味足りない。Good ExampleもないしTudor Minstrelもない。Robertoもない。Ribotもない。

ただDanzigとしては「これでもか」ってくらいにニックス血統を詰め込んでいて、これはなかなか面白いことをして長距離適性を持ち込んでいる。

これをどう考えるか・・・ってのが今の悩みねぇ。


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