昨年の覇者アドマイヤリードはやや精細に欠いていて、2着だったデンコウアンジュは特たる成長が見られない。3着だったジュールボレールも同様。
ハイレベルな4歳世代が一気に世代交代を進めそうな気配だ。果たして古豪がどれほどの内容で迫るか。過去の勝ち馬も多くは4歳で、特に牝馬三冠の勢いままに勝ち切ることが多い。
不調の4歳トップクラス
ところがG1勝ちはみな不調である。桜花賞馬レーヌミノル・阪神JF&優駿牝馬ソウルスターリング・秋華賞馬ディアドラはみな精彩に欠ける状態。あのころのパフォーマンスは何処に。レーヌミノルは相手関係に苦しんでいるものの走りそのものに不調は見られない。桜花賞馬は早熟の完成で駆け上がるケースもあるだけに、こういう具合に落ち着くことも多いだろう。するとG1勝ちの格はすでに失われているか。
対してソウルスターリングは完成の途上にある。秋には目処がつきそうであるが、春においては安定することがないだろう。なにせ昨秋は厳しいレースが続いた。牝馬の身には心体ともに疲弊が強くあるはずで、徐々に調整を重ねていくしかない。
ディアドラはそもそも出走していない。これもまた調子を上げるのに大変そうな状態で、秋に戻るかどうかも怪しい。
駆け上がった覇道凡走
目覚ましい連勝でここへ駒を進めてきたのがミスパンンテール。昨春はボロ負けで、昨秋初戦のローズSも案外。しかしターコイズSの大接戦を制してからは重賞3連勝。トップクラスへ躍り出た。ダイワメジャーはHyperionの濃い配合であるから、母はそれが希薄であることがまず一つの要求。カレンブラックヒルなんかもその類の配合であり、上級産駒は大概にしてそんなものだ。その点でミスパンテールの配合はG1を勝つに相応しいレベルにある。
牝馬のダイワメジャー産駒は名牝スカーレットブーケの影響を簡単に受けるので、コレへの強い脈絡は不要だろう。脚質や表現はラッキーライラックによく似ているが、Robertoらしい火の入れづらさが見られる。
ところが鞍上は横山典弘。世界でも屈指であろうRoberto使いはそのあたりの機微を心得ているらしい。ターコイズでは脚色で圧倒し、京都牝馬と阪神牝馬では併せ馬で抜かさせなかった。どれも見応えたっぷりの好騎乗で、「これが横ノリ流のRoberto騎乗だ!」てなくらい。
以前書いたが「重賞でもG1でも横ノリの母Roberto持ちはベタ買いプラス」である。当のミスパンテールで稼がれた部分はあるにせよ、それを省いても圧倒的な数字を誇る。
それにしても全く毛色の違う重賞を一気に3連勝するとは、思っている以上にこの馬は強いのだろうなぁ。横ノリが展開を作る以上はRobertoとしてのデメリットは沈むに違いないが、その展開づくりを許すだけの速さを持っている。これって絶対的な強豪馬が持つ素質よねぇ。
Northern DancerがHyperionを望み、Hyperionを軸とした配合が世にはびこる。そこで米血統の巧みをレースの中で表現できるってのは、そりゃ強いよ。
キタサンブラックもそうだけれど、Hyperion的に粘るのは当たり前だのクラッカーなのだわ。それをレースに描くための速さと巧みさが絶対の強さに繋がる。4分の1サンデーにおける最強馬ってのはそんなものだ。
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