砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

日本ダービー展望に代えて

日本ダービーは夢の舞台。この場において血統の偏りだとかは言いたくない。

惚れた血統を買いたい。とことん。

であるからして、気になる馬の血統について書いておく。

エポカドーロ

オルフェーヴルは小回り内回り特化の最強中距離牡馬で、ノーザンテースト4×3+Lt. Stevernsの機動力が持ち味。持続力自慢のゴールドシップと同世代のライバルであったウインバリアシオンを相手に楽勝したラストランは語り草となっている。

Flambette血脈が飽和した父に対して「4分の1非Flambette」を構成し、またFlares=OmahaではなくLa Franceのラインを引くMr. Prospectorを持つ。

ノーザンテースト4×3へはNorthern Dancerを一本繋げるのみで、他は些細な遠いクロス群を形成するのみ。三冠馬の父から受ける素晴らしい遺伝を邪魔しない配合。

「8分の1サンデー」の宿命たる「4分の4Native Dancer」を基本骨子とした鈍重さがある。オルフェーヴル産駒の成功パターンとも言える骨子であり、それゆえにMr. Prospector由来のスピードが求められる。

切れは凡、持続力は優秀、競馬は達者、気性はやや際どい。皐月賞戸崎圭太の好騎乗ありきの勝利であるが、穴馬然とした競馬ではなかった。強い内容ではなくとも、G1勝ち級の配合を使い切った結果である。つまり格に問題はない。

ダービーに際しては外回り適性が問題視される。不得手ではないが他に達者がいることに違いはない。逃げ先行馬であるから極端なストライドが要求されることはないだろう。

ただ戸崎圭太は東京だと差したがる傾向がある。オークス週は前受け馬場であったが、ダービー週は差し馬場となるだろう。華々しい皐月賞勝利から一転、諸々のウィークポイントを明らかとするかもしれない。

ダノンプレミアム

連勝街道をひた走り、4戦4勝で全てが快勝。内訳は新馬サウジアラビアRC・朝日FS・弥生賞で王道オブ王道。つまり現3歳世代では最強の牡馬だ。

皐月賞は回避の憂き目にあったが故障と言うほどのものではない些細な怪我が理由。この時期に叩くべきレースを叩けなかった弱みはあれども、能力面では圧倒している。

インディアナギャルはZienelle≒Danehill3×2という強烈な遺伝を誇る。これに対してゆったりとアウトを取った流れが最高によく、ディープインパクトの早熟配合としては屈指のものだ。

外回りはむしろ得意の部類。しかし距離延長はあんまり好ましくない類の馬で、弥生賞もスローだった。皐月賞のあのペースだったらこの馬は沈んでいた可能性も無きにしろあらず。Danzigクロス+Lyphardで「4分の1サンデー」の牡馬であるから、中距離馬には出づらいところはあるかと。

マイラーとは言わなくとも、ダノックスの馬は基本的に「パワー&スピード」なので古馬になったらマイルが主戦場だろう。イスラボニータの様に変幻自在のカメレオンでもないから、距離に融通が効くタイプでもなさそう。(イスラは壁を作られれば距離をこなした)

馬券を買う立場からしても皐月賞の回避は痛手だ。春に一気に調子を上げてきた面々との差はどれほど縮まっているのかが分からない。未だ絶対王者のパフォーマンスを誇るのか、魔法は解けたのか。

ワグネリアン

祖母ブロードアピール譲りの強烈な末脚が武器。Buckpasserの影響が見られる素晴らしい登坂能力があり、ヘンリーバローズとの新馬戦は見事な勝利だった。登ってなお粘り込むディープRoberto、登ってなお伸びるディープBuckpasser

Cherokee Rose(Woodbine一家の名繁殖とは違う)=Howの継続に光るものがある配合で、切れるというより突進する様な末脚に特徴がある。競馬ぶりは不器用の一言。ただし気性に難しさはない。

皐月賞で魔法が解けてしまった一頭で、外回りで見直すにしたって負け方が派手すぎる。また極端に外回りで切れる馬でもないから切れ味に一片を見込むことも難しい。

見直すならばやはり菊花賞で、スロー耐性に優れたBuckpasserが機動力との調和を果たした時にこそ京都3000mはデレてくれる。皐月賞で35秒2の末脚を使ったことは、そこで評価の場へ上がるだろう。

ディープ×キンカメの配合はかっちょいいのだが、基本は早熟だろう。対ダービーにおけるディープ産駒にはBurghclereニアリーが求められ、つまり3歳春の終わりにもう一段階の上積みがなくてはならない。

東スポ2歳Sの圧勝は、むしろ勝ちすぎだろう。サトノクラウンくらいの渋さこそ、将来の楽しみに繋がる。

ブラストワンピース

とうとう出た「16分の1サンデー」の重賞勝ち馬。ギベオンを超えるTom Foolっぷりで毎日杯を制した。

母ツルマルワンピースの「トライマイベスト=El Gran Senor4×3」に評価が集約される。この全兄弟クロスは格好いい。ハービンジャー配合に求められる「母の独自性」と見るには十分だ。

モズカッチャンと同じハービンジャー×キングカメハメハであるがカッチャンの方が配合は上手か。ただこの配合らしい達者な競馬は見どころであるし、距離延長も問題はない。内枠を引けばヒモで遊べるだろう。

日本ダービーではBlue Larkspurの緩和が強く求められ、その箇所から成長力を引くことが勝ち馬への絶対条件だ。ハービンジャーは母が非Blue Larkspurであるからダービー馬の輩出が可能だろう。

問題はそこから如何に成長力を引き込むかである。この段階まで行くと勝ち負けの話で、本馬とは関係がない。いずれ考える時が来るだろう。


[fin]