砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

七夕賞展望

今年はもうとんでもない低レベル戦となりそう。

マイネルは必勝態勢を敷く。ツムツムと大知に田辺を陣営に加え、Hyperion表現によるゴリ押し戦法で後続を突き放す狙いだ。これは重賞勝ち負け級配合がピークを迎えていないと捉えきれない。

JRA騎手最強の先行達者として本格化した戸崎圭太がこれを捉えられるかどうか。鞍下サーブルオールがその格にあるのか。それともプラチナムバレットの調整が間に合っているのか。それともそれともイタリアンレッド以来となる牝馬の勝ち馬が現れるのか。

レベルがどうであろうと楽しみ方はいくらでもある。

Nijinsky神話の崩壊

福島の馬場は年々高速となっていて、特たる負荷なく1分58秒台へ勝ち時計を乗せる様になってからは非Nijinskyの勝ち馬が連続している。

昨年などは3着までが母にDanzigを持つ馬が独占しており、また傾向に変化があったと思われる。一昨年までは曲りなりにもNijinskyから好走馬や勝ち馬が輩出されていた。

関東騎手の熱き舞台

福島2000mはかなりトリッキーな舞台。起伏の多いコースではあるが高低差は2mほどに留まる。よって好走手段は多岐に及び、個性豊かな関東騎手達は様々の手段で馬を持ってくる。

ある意味で象徴的だったのがグランデッツァ川田の勝利だ。小倉大賞典小倉記念か、というくらいの展開が見事にハマった。

一まくりに他馬を薙ぐ、という関東まくりが見られるレースだ。けれど関西流の妨害工作じみた向正面まくりも決まる舞台である様で、本当に福島2000mは器の大きい条件である。G1クラスが集まると勝ち方は煮詰まると思うが、ハンデG3なのでね。

騎手買いも一つの手だろう。

マイネルの晩成Hyperion

「頑丈で長い活躍を」というのがマイネル馬への評価。総帥がうそぶくように英ダービー向きの馬作りとも言えるが、長く楽しめるクラブ馬の育成理論とも受け取れる。

それだけにHyperion的にゴリゴリする馬が多く、目立つ位置にいて、勝ち負けの土俵に残る様な配合が多い。それでG1を勝ち切れるならば良いのだが、社台の様に研ぎ澄まされた配合は見られない。

柔くないのよね。社台のHyperionはとにかく柔い。どれだけHyperionを軸とした配合であっても、ドゥラメンテルーラーシップを見ての通りに柔いのよ。オルフェーヴルディープインパクトも柔い。

このHyperion的柔さが必ずしも是とされるわけではない。けれどそれが日本競馬であるわけで、英ダービーにそれが見られないわけでもない。総帥の選ぶ馬はみんなHyperion的に柔くないし、ステイゴールドの素質を見抜けても活かせなかったのは、それが理由だろう。

社台の柔さ

キンショーユキヒメもワンブレスアウェイも柔い馬であるが、少し芯の入っていないダラダラとした脚質に仕上がっている。社台系列でもノーザンファームほど上品な柔さを白老ファーム社台ファームは持たない。

だからこそ密に柔い馬が突然変異的に現れる。「柔いくせに頑強」なのが社台ファームで、「柔いくせに鋭い」のが白老ファーム。キンショーユキヒメは社台ファーム、ワンプレスアウェイが白老ファームだ。

サーブルオールとメドウラークがノーザンファーム生産である。この柔さと硬さの高度な融合がノーザンファームの身上であるが・・・気性との兼ね合いに不安が多いのもノーザンファーム

競馬ぶりは優れているの気性の問題で上品になりきれないのが大きな問題だ。ノーザンファームの良血&好表現が失敗する理由ナンバーワン。好位に沈められる気性なのに鋭い脚がなかったり、鋭い脚があるのに馬群嫌いだったり、ジェンティルドンナの様に二重三重のコンボが決まる表現はそうそうない。

例えば、馬群嫌いなジェンティルドンナとか、ゲートが下手くそなジェンティルドンナとか、そういう馬はちょくちょく出しているはずよ。けれど一本道でヴィクトリーロードを突き進める様な正統派はジェンティルドンナくらいしかいない。

基本、ノーザンファームの馬は潰しやすいはず。素質に対しての話ではあるし、ハープスターとかブエナビスタとかを止める手段は限られるよねぇ。

Sir Gaylordで靭やかに

2000m戦でもマイル気味の適性を求められるのが高速福島で、また特たる登坂を持たない平坦的なローカルであるから靭やかさも重要。

この類の柔さはSir Gaylordが得手である様子だ。ディープ産駒が連勝しているのもこれが理由かと思う。

なんともはや、中距離重賞で父ディープが不在とは実に珍しい。しかも圧倒的な人気はいなさそうで、加えてジジばっかり。油の乗った5歳牝馬が3頭、故障明けの好配合4歳が1頭。カオスだなぁ。

ゼーヴィントアルバートドックは当時4歳であり、Hyperion的な素早さの全盛期にあった頃合いだ。そこにSir Gaylordの手助けがあったことは、そりゃディープ産駒なので当然だ。

ただグランデッツァは6歳であった。変わらない平坦適性Sir Gaylordってなものねぇ。どれだけHyperionであっても平坦適性を損なわない。

「平坦ベスト世界における持久戦」が近年の七夕賞にあるコンセプトだ。持久力=Hyperionと密接に関わる平坦ベスト血統はSir Gaylordにほかならない。Secretariatはそれ自体がスタミナだからなぁ・・・。

だからハーツクライとかステイゴールドじゃスピード負けするのよね。


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