砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

函館記念展望

函館記念は函館2000mで施行されるレース。

本ブログでは「蟻地獄」と何度も表現している舞台である。登坂の厳しさは中距離世界でも屈指で、鋭さを展開する隙間は見られない。

歴代の勝ち馬たちの父を見れば一目瞭然というものだ。3連覇を成したエリモハリアーの父ジェネラスは英愛のダービーとKGⅥ&QESを制した生粋のクラシックホース。サンデー系はいまいちで、ディープインパクト産駒は一度しか馬券に絡んでいない。キングカメハメハ産駒もヤマカツエースがやっとという有様である。

サンデー系で信用が出来るのはマンハッタンカフェステイゴールド、あとはダンスインザダークくらい。馬群を捌いてどうこうする舞台ではないだろう。

だが古典的な英愛スタミナ、Pretty Pollyに代表されるスタミナ群では対応しづらい。

試されるジリ脚先行

追い込みでの勝ち馬は少なくないが、生粋の追い込み馬が勝つパターンは少ない。

前半にペースが流れることがほとんどだ。それでも残る舞台であるので逃げ先行らは勢いよく1角まで流れ込んでいく。それを追いかける様に追走することとなるので、自分のペースで走る類の後方待機は消し。買うべき馬は位置に関係なく先行能力を駆使するタイプだ。

例外の逃げ

注意したいのはマイネルミラノの様なタイプ。最高峰の登坂能力を持つA級のステイゴールドのくせに、ビュッと逃げ確定してスッとペースを落とせられる。

中山でしっかりとレースを作ることが出来る逃げ馬には要注意だ。ステイゴールドの好配合ならば逃げ切りまで計算する。

今年はヤマカツライデン・クラウンディバイダ・マイネルハニーらの逃げ先行がいる。これらは函館記念における定例の逃げと言えそうだ。

北米血統で登る

Pretty Pollyでの対応が難しいので、登坂能力は北米血統から引っ張るべきである。

特注はHail to ReasonCaerleonSeattle Slew・Sadler's Wells・Robertoを経由して持っていると良い。ここ2年間の勝ち馬はサンデーとのHail to Reasonクロス馬から出ている。

ただし13年~15年の勝ち馬はサンデーしか引いていない。この3頭は全てRibotから強いスタミナを引いていたことにも注意したい。Law Societyミルジョージは「Ribot×Princequillo×Count Fleet×Nasrullah×Hyperion×Tourbillon」を共通させる組み合わせだ。ファルブラヴの母Gift of the Nightも同様の血統である。

Ribotで駆け抜ける

上記の経由はよく走るが、Graustark=His Majestyはさほど走っていない。マヤノトップガン産駒などは走る様子だが、ブライアンズタイムグラスワンダーに有利の色はない。Robertoの条件を加味しても並くらい。

強いて言えばエルコンドルパサーが良い。希少な血統であるので短絡的に狙うことは出来ないが、英愛の名馬と一騎打ちを演じただけあってその類のスタミナには一家言ある。

Danehillはさっぱりでハービンジャー産駒などは函館2000mを1勝しかしていない。勝ち馬のバルデスは母がディアデラノビアの良血、その時の鞍上はハービンジャーと好相性のルメール、そして断然の1番人気だった。

Fair Trialを添えて

Hail to Reasonの好走パターンには色々あって、一番のベターパターンはFairy Bridgeの様にFair Trial持ちの名血と共に伝わる形。

英愛的なスタミナとはSon-in-Lawから外して考えられないものであり、これをよく表現する配合形が良いだろう。

ただしサンデー×Fair Trialの形は鋭さに出やすい。Lyphardが絡むと顕著であり、ローカルをじわじわと迫る様な脚質には出づらい。ディープやハーツのG3クラス配合は鋭さに特化した様な馬が多く、実績よりずっと下に見るべきだろう。

ただしHyperionが希薄な北米血統を4分の1で抱える馬には注意だ。ディープインパクト×フレンチデピュティなどは特たる例で、Hyperionの粘りと北米のパワーで走る脚質に出やすい配合形だ。極端に函館2000mを得意とするわけではないが、見直す機会とはなる。ただし、この配合の場合は母系に濃厚なHyperionを抱えた上で老齢であるべきだ。カデナは狙いづらい。

母Sun Again持ちはベタ買いで

Sun Againを持つ血統にサンデーサイレンスブレイヴェストローマン・モガミ・DamascusStorm Birdなどがある。それら全てをひっくるめたデータは単回収189円・複回収106円。ベタ買いプラスである。14年から17年まで勝ち馬を輩出しているデータでもある。

しかし年によって傾向がある。17年と15年はサンデーサイレンス経由だけで決着したが、16年はステイゴールド×Storm Birdが1着と3着、14年はマンハッタンカフェ×モガミとダンスインザダーク×Damascusが1着2着した。

勝ち時計からすれば17年(2分01秒2)と14年(2分00秒1)、16年(1分59秒0)と15年(1分59秒1)、それぞれで関係があってよさそうなものだ。また馬場状態からしても別のパターンがある。なぜ「17年・15年」「16年・14年」の組み合わせとなるのか、という話をSun Againから説明することは出来ない。表現に強く関わるような位置にある血統ではないのだ。

Princely Gift持ち

ステイゴールドメイショウサムソンがこのパターンに当たる種牡馬。17年と16年の勝ち馬を輩出しており、単回収はベタ買いプラスだ。

ステイゴールドはApelleとの絡みが特注で、Ribotのスタミナと好相性だ。上記のようにGraustark=His Majestyとの好配合はG3クラスでちんたらとしない。ただRibotとの組み合わせばかりならばマイネルミラノの様にローカルを走っていることもある。

メイショウサムソンはUmidwarやプリメロとの組み合わせに秀でる。非Pretty Pollyの英愛的スタミナであり、函館記念では欠かせない血統だ。母父メジロマックイーンラブイズブーシェもこの類の馬だ。メイショウサムソンは長らく重賞勝ちを出さなかったが、この配合で成功している。

スタミナ色の強いストライドを表現する血統であるから函館のスパート戦には適当だ。

La Troienneで一息に

近年の逃げ切りはマイネルミラノトウケイヘイローの2頭。この2頭はBuckpasserRibotを併せ持っていた。

またBlue Eyed Momo=BusandaやMr. Busher=Striking=Busher持ちも躍動している。後方待機の大まくりで勝ち切ったラブイズブーシェはこの観点から語るべき馬だ。

Sun Againとの絡みも濃厚であり、ブレイヴェストローマンNever Bendを抱える血統でモガミはLa Troienne直牝系。Storm BirdにおいてもマイネルミラノBuckpasser持ちで、ツクバアズマオーは母母父にSeattle Slewを持っている。ルミナスウォリアーの母は「サンデーサイレンス×Seattle Slew×Buckpasser」だった。

先行能力として、ズブさとして、スタミナとして、La Troienne一家の名血はそれぞれの担保として優秀である。

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