ウインテンダネスは母父がマジックマイルズというヘンテコ異系のMr. Prospector直仔種牡馬で、イメージ通りの「ダート短距離」。
ただBMSに立っては芝優勢の戦績で、ウインテンダネスの前にいた代表産駒がフェスティヴタロー。覚えているよ。15年のエプソムカップの悲劇・・・。(一人悲劇)
15年エプソムカップではエイシンヒカリ-サトノアラジン-フルアクセルの3連単を買っていて、もうそれは最初から残り50mまでが想定通りの内容だった。展開読みがこれほど当たるのも珍しいってくらいに。
エイシンヒカリに猛追をかけれども2着が一杯のサトノアラジン。外からピンク帽が飛んできて入線と。「おしっ、当たった!」と叫んだのもつかの間。飛んできたピンク帽はディサイファだった。(フルアクセルは10着)
その予想にあたり、要所を担ったのがフェスティヴタローだった。これが外から飛んでくることを決定打とし、エイシンヒカリのスロー逃げが確定。この番手競馬がワンツーを定めて、また大穴のスリーが滑り込む余地を生むという筋書きだった・・・。
で、マジックマイルズとは何者かと。えぇ、これは番手スローの変態ミスプロなのだわ。面白いくらいに粘る。スローならば、いくらでも粘る。
まぁ血統表を見てください。カンパニーはトニービン・Sadler's Wells・ノーザンテーストといった「ザ・ハイペリオン」の血統なのだけれど、それはSun Princessやクラフティワイフといったスーパー名繁殖による「4分の1非Hyperion」の累代によって支えられているのだわ。
いつも書いている様で、きちんと明言はしていなかったと思う。
「4分の4」で「コレは◯◯なんだー」という話にはならない。「4分の3・4分の1」だから「コレはHyperionなんだ」「コレはHaloなんだ」という話になる。
4分の4ってのは新たな表現の土台となるべきもので、それ自体が表現されることは少ない。DanzigはNorthern Dancer過多配合を許容すると書いてきたが、逆を言えば、Northern Dancer過多配合であるからこそ、そのDanzig表現が評価されるのである。
ウインテンダネスは母父マジックマイルズが「ほぼ非Hyperion」で、完璧な継続とはなっていないけれども、トニービンから4代続けての「Hyperion4分の1緩和配合」だ。
普通の配合なら「これは出来損ないだ。とても4分の1とは言えないよ。」と言うべきであるが・・・マジックマイルズは母ちゃんがヤバイから。超異系で、普通のHyperionじゃないから。これは「4分の1」扱いでいい。
(Rustom Pasha×Congreveによる「Calpurnia≒Bambuca2×3」なんて配合にHyperionが混ざったとて、何の意味が生じるだろうか。)
もしもコレがRoi Normandの様に「非Hyperion」として完遂されていたならば・・・配合として成立するかを別として、緊張と緩和の流れからすればG1級といえる。
「本格化した春に500万下クラスからG2勝ち馬まで登り詰めました~」なんてサクセスストーリーが入る余地もない。4歳時に「これ強いんでないの?」という勝ち方でオープン入りをして、5歳時にG1を勝ち、以降もG1勝ち負けクラスとして君臨するような、超晩成強豪タイプの配合よ。
A級血統の肌馬たち、ノーザンファームの肌馬たちを退けてカンパニーへ初重賞制覇をプレゼントしたのは、零細とも言うべきアサヒ牧場生産のウインテンダネス。これはアサヒ牧場にとっても初めての重賞制覇だった。
やっていることはただの一つ。異系血脈によるHyperionの4分の1ほぼアウト。それだけでノーザンファームよりずっといい馬を作り得るのだ。
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