砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Siskinを改めて見る

Siskinが社台入りしましたが、まー、これは如何なものか。

母系はBest in ShowでEl Gran Senor(=トライマイベスト)とかアーモンドアイとかと同じ。いわゆる名牝系ですな。

母父はOasis Dreamは日本に馴染みのないゴリゴリ欧州スプリンター。イタリアオークス勝ち馬などもありますが、基本的にはゴリゴリスプリントを伝える種牡馬という評価ですかね。1000m~1600mみたいな。

イタリアオークス勝ち馬フォレガとその母ローザデルドバイは島川オーナーが購入した様子。フォレガの全弟にあたるトーセンエドワードが今年の2歳にいます。

 

このままフォレガの話を進めますが、これは母系にゲイメセン・デインヒル・Limitasを引く血統です。母ローザデルドバイは「4分の4Ribot」で、母系の奥を覗けばApelleの名が見られます。

ApelleはRibotの父Teneraniの母父にあたる血統。ということはローザデルドバイの母母Oshimaはグラスワンダーの母Amerifloraに近いことをしているみたいですね。

Danzig系のスピードはRibotによってもスタミナ化出来るんですが、もっとも手堅いのはMill ReefとかSecretariatとかの、中長距離最強の「Nasrullah×Princequillo」血脈を持ってくるパターンです。

このパターンを生み出したのがDanzig系によるダービーS初制覇を成し遂げたSinndarです。ついでに凱旋門賞も勝ってます。Sinndarは父Grand LodgeがSecretariat≒Sir GaylordによるSomethingroyal4×4、母父がBCターフ勝ちのMill Reef直仔Lashkariでした。

フォレガは母がSir GaylordとAlleged、Seattle Slewを引きます。(Royal ChargerやMahmoudでもおおよそオッケーでしょう)

 

さてSiskinの話へ戻りましょう。

Siskinの母Bird FlownはDanzig系の中距離っぽい配合で、SecretariatもMill Reefも引きます。しかし、Sir Ivor4×3です。もっと言えばSir Ivor≒Drone4・5×3です。

ダンシングブレーヴの突進的切れ味こそが正しくDroneで、Sir Ivorもああいう系のスピードなんですよね。猪突猛進的切れ味。スイッチ入ったらズドドドドー。

 

日本におけるSir Ivorといったらディープインパクトで、あんまりディープってSir Ivorっぽい切れ味を伝えないというか、そういう方向で成功していないんですよね。

むしろそのスイッチの方を伝えることで成功していて、その集大成こそがコントレイルやジェンティルドンナで、好位から反応良く飛び出す表現が超種牡馬ディープインパクトの真骨頂だと思います。

 

ズドドドドーっぽいBird Flownに配されたのがFirst Defenceで、母系へのインブリードに加えて「Nasrullah×Princequillo」の血脈を重ねています。最も注目すべき点はBuckpasserの導入。

しかし4分の3叔父のエンパイアメーカーが中距離~中長距離であったのに対して、甥っ子のFirst Defenceは短距離なんですね。これはSeattle Slewが効いているのでしょう。Seattle SlewにBuckpasserがかかると、ダート的なSir Ivorになります。イノシシ・・・。

 

ということでSiskinは父も母もWild Riskと「Nasrullah(≒Royal Charger)×Princequillo×Tom Fool」的な突進力の馬と言えます。

Unbridled's Song的にも、コントレイルじゃなくてトーホウジャッカルやスワーヴリチャードっぽいですね。Unbridledならホッコータルマエとかカレンブラックヒルですか。

Gone WestもSecretariatを引くと言っても突進系ですしね。この後継であるSpeightstownの産駒なんてモズスーパーフレアとマテラスカイでしょう・・・?

 

4分の4短距離で、8分の6が短距離。もうゴリッゴリのマイラーであるのは確かでして、しかもそれが豪華なニアリークロスで表現されています。これは間違いなく伝えてくる。

なので結論は前回と変わりませんが、まー、アグネスタキオンとかキングカメハメハとか、そこらへんで弄るんがベストだろう、という予想ですね。

キンカメタキオンって中距離×中距離でしっかり1400mタイプを出すんで、多分、Siskinと気が合うと思うんですよ。このスピードの供給源とSiskinの持つスピードの源は同じなんじゃないですかね。(トライマイベスト=El Gran SenorとNijinskyとThe Minstrelとロイヤルスキーは同じ牝系)

 

ちょっと違う馬を出そうというなら、ノーザンテーストがいいと思います。Siskinからしたら「なんじゃそりゃ!」ってくらいの異系に仕上がっているでしょう。

ノーザンテーストに絡む血統って意味わからんものばっかりですからね。ドゥラメンテにオルフェーヴル、ゴールドシップですよ。トニービンとメジロマックイーンに絡めるやべぇやつです。グラスワンダーやカーネギー、ブライアンズタイムもオッケー。

そんならSiskinもオッケーじゃないの?っていうね。

 

 

うーん、現代競馬におけるSiskinの持つ最大のアドバンテージって非Nijisnkyであることかも分かりませんね。

グランアレグリアにしたってNijinskyの絡むスピードでビューン!って行っちゃった感じです。逆に考えたら非Nijinskyのゴリッゴリマイラーって優秀なのでは?

Nijinskyが絡むとSpecialもやってくるわけで、そのSpecialも引きませんもんね。してSpecialがいたらRobertoも降って湧いてくるわけで、そのRobertoも引かないと。

その絡みで引く血統はMr. Prospectorのみです。それも5×5で薄めで継続の頃合い。ここの継続を図る場合、Special・Roberto・Nijinskyがセットである可能性は高そう。

したらダート1800mあたりの繁殖でビタッとハマる可能性も?いや、厳しいかな?

 

大本命はサンデー3×4とかの繁殖相手ですかね。

今の日本競馬がサンデーのインブリードに拘るんは日本特有の性質を保持しつつ、全く新しい血筋を取り込むためとも言えます。母がサンデー3×4を完璧に伝えるならば、欧州や北米のゴリゴリ系を相手にする余地が。

欧州や北米が血筋的に凝り固まっているから、日本も日本で凝り固まっていいんですよね。ただ、凝り固まり続けているサラブレッドの血統は常に前例通りとはいかない・・・。

 

いずれどこかのタイミングで本物の異系を得るタイミングが来ると思いますが、全てのサラブレッドがそうなってしまえば終わりです。

最もアホらしくて間抜けで、根本的な解決方法ったら「8分の1以上の非サラ系血統を持つこと」を競争の条件に加えることだと思います。しかしそれが出来る様になるのは、「競争に耐えられないほどサラブレッド血統が弱ってしまったとき」ではないかと。「父非サラブレッドの方が走るわ!」みたいなね。

しかしその過渡期に競馬という興行が耐えられるか。「2分の1完全異系」ってのはどう転ぶか分かりません。そもそも人間の文化がなくなるのが先かもしれませんし。

 

そういう予測をした本とかないんですかね~。是非とも読みたい。そもそも北米競馬の例があるんですからね。ちょちょいと意味のわからない馬を交配しても競争能力は維持されるんじゃないんですか?8分の1ならセーフでは?

・・・うーん、10代くらいまで血統を追っている血統マニアのセリフじゃないような。しかし「パーフェクトな異系」のパワーを信じたいのも血統マニアですよね~。

こういうのも試している人はいるんでしょうかね。調べてみよう。

 

[fin]