砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

駆け上がらないノーザンテースト

今にして思えば・・・というとすごく残念な血統マニアですが、とまれ、今更になり、改めてかもしれませんが、気づきました。ダイワメジャー産駒って駆け上がらない。

急坂で粘り尽くす!とか、登ってから更に差し脚を伸ばす!とか、そういうダイワメジャー産駒っていないんですよ。

多分、どっかに書いているんだと思います。けれど「これだ!」という確信を持って書いたことはありません。

 

ダイワメジャーは筋肉モリモリのイメージで、おおよそ間違っていないと思います。そんでもって、私感としては、本来、ダイワメジャーって柔らかさを伝えるんじゃないかって思っています。だって母親がマッスルなんですもん。

正しく言えば、マッスルの中に光る柔らかさってのをしっかり表現できる種牡馬ではないかと。Flambetteによる仏系の靭やかさですよねぇ。

Flambetteの靭やかさったらRabelaisに依るもんで、非RabelaisのMumtaz Mahalの靭やかさってのは、Rabelaisの靭やかさと表裏一体だと思います。ダイワメジャーはどちらかと言えば、Rabelaisの方が表に出ているタイプではないか・・・なんてのは、まぁ、現代にゃ分からんこってすが。言葉遊びの域ですね。

このRabelaisの靭やかさが表に出ていると、血統表の上で分かりやすいのがシゲルピンクダイヤでしょう。DjeddahにWild Riskが盛りだくさん!

 

そもそもの話・・・ダイワメジャーという種牡馬の産駒がですね、先行するために逃げるために狂気を必要とするってのが変な話ですよね。これもまた「ダイワメジャーは柔らかい」という根拠です。

この柔らかさを矯正するのも上手くいかないから、柔らかいまんまで突っ込ませる仕組みが適切だった。その最適解がWild Riskだった、という読み。マッスルでも靭やかなのがダイワメジャーの真骨頂でしょう。

故に、ダイワメジャーは登坂能力に乏しいのではないか。つまるところ、仏系であるということは北米系であるのと表裏一体。山を走り回るレースを頂きに置く英愛の血統との親和性はあんまり良くありません。

 

ステイゴールドとダイワメジャーの差、その明確なポイントが「Prince Chavalierを許容したか、許容するか」だったんじゃないかと思います。

トニービン経由でPrince Chavalierを引くことに成功したコパノリチャードとソルヴェイグは想像よりずっと稀有な例。コパノリチャードは中京を、ソルヴェイグは函館を攻略した、それぞれ唯一の例なのです。

Prince JohnやRound Tableの方がダイワメジャーと相性が良いのは間違いない。だからこそダイワメジャー×キンカメは微妙であり、対してステイゴールド×キンカメは成功しています。

 

そんじゃコパノリチャードとソルヴェイグに共通するトニービン×Caerleonの組み合わせってなんなんじゃいって話で・・・。結局それはRound Tableと違うんかいって。

違うとは言わないんですが、Caerleonの母系Regal GleamってのがHail to Reason×Stymie×Pharamondの組み合わせで、サンデーサイレンスからHyperionとMumtaz MahalとFlambetteを抜いたような構成なのです。

 

www.jbis.or.jp

 

ニアリークロスとは呼べない範囲において、一定の相似をサンデーサイレンスとCaerleonは持っているわけですよ。Northern DancerからHyperionとAlmahmoud、Flaming PageからFlambette、Round TableからAloeで。

だからフサイチコンコルドはダンスインザダークの土俵でライバル関係を結ぶことが出来たし、フサイチコンコルドが母系にPrince Chavalierを引くのも偶然でなくて、キンカメとトニービンのサンドイッチになったダンスインザダークからラブリーデイが出たのもやっぱり偶然じゃないと思います。

極論、フサイチコンコルドがダービーのラスト1Fで差し切ったのはPrince Chavalierの底力であり、ダンスインザダークはライバルの血を引くことで中距離チャンピオンを出すことが出来た。

むしろダイワメジャーが秋天を凌いだのがすげぇわけで、ディープ・ハーツ・ステゴと鎬を削り合うだけあるんですよ。

 

ここまで書くと「ダンスインザダークはフサイチコンコルドに勝てなかったけれど、スペシャルウィークは最強だったよね?」という話にまた飛び火。

これはもうBuckpasserを取り入れたもん勝ちみたいなところあって、La Troienne的なパワーで加速して長い胴でストライドを伸ばすという仕組みは世界共通の最強ですもん。

スペシャルウィークがすげぇのは現代欧州競馬的な最強を当時に作り上げたことで、極端なことを言えば、現代欧州の配合はみんなスペシャルウィークの後追いでしょう。あれが究極の形で、原典ですよ。

社台はスペシャルウィークを作る気満々だと思うんですが、ノーザンテーストの方が上手いんですよね。材料が揃えられているのはデアリングタクトやコントレイルからも確かなのに。

吉田の救世主とスペシャルウィークはそれぞれ別の最強を表現する間柄です。ノーザンテーストとスペシャルウィークが最強の血統表の中で邂逅するんは、しばらく先になりそう・・・。

まぁ、スカイグルーヴをPOG指名した私が言うんだから間違いない。私は学びました。

 

ただ、これは、ミスプロという世界的な名血統を除外した考え方なのですよね。Mr. Prospectorって日本競馬だと邪魔者みたいな扱いですから。

キンカメだって「ミスプロ・・・?」みたいな種牡馬です。ダート馬を出すときにしか自分がMr. Prospector直系であることを思い出せません。

直父系ってのはそんなものですな。ステゴもダイワメもディープもハーツもサンデーであることを忘れるときが来ます。その健忘こそが配合の妙味というべきで、ニアリークロスってのは「忘れ物はなんですか?」と馬に歌いかけることだと。

 

話を戻しますが、ダイワメジャー×トニービン×CaerleonってのはCaerleonとダイワメジャーが強い関係を結んでいて、そのためにトニービンという得体のしれないものを取り込むに至った、という、そういう結論です。

トニービンとジャンポケが異系であるからこそ成り立つ、という考え方をするならばMan o' Warが大きく関係しているんでしょうね。これがダイワメジャーの急所かな。

 

うーん、逆を言えばですね、ニアリークロスって忘れたことを思い出させることも出来るんですよね。どちらかと言えばダイワメジャーは「Victoria ParkはTeddy直系だよ」と思い出させられたような格好かもしれません。

これ以上は研究の外になる完全な思いつきですけれど・・・。

 

 

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「もう何について書いてるんだよ」と自分にツッコミを入れてお蔵入りになった記事ですが、シゲルピンクルビーが勝ったのでアップします。

余談というのもあれですが、堀田茂氏の自費出版本をポチりました。まだ実本が手元にないのでTwitterとかで書くのも違うなぁ、ということでこういう書き方に。実本を読んで、おそらくそうでありましょうが、素晴らしいものだと思ったときに改めて、ですね。

 

私は生産者でないので筆者の意図には添えませんが・・・うーん、これはめちゃくちゃ面白い本だと予想するのですよね。

 

ずーっと疑問に感じていたのが「○○がニアリークロスだから」という話でして、「それなら全ての牝系において、そのニアリークロスが作用するんかい。」という嫌味な話を展開したいのが私なのです。だってそうじゃん。

むしろそのニアリークロスが作用する形に持ち込んだ歴代の生産者の手技こそが注目されるべきではないかと私は思いました。

先生とその先生の考え方からすれば「馬体と血統を照らし合わせるのがめっちゃ大事」って話でして、そんなんアマチュア血統マニアに出来るわけないんですよ。それが出来るからプロなわけで。それで飯を食えるわけで。

 

私はサラブレッドの血統が好きなだけで、サラブレッドは別に好きじゃないのです。だから馬体を見ろったって人並みにしか興味は持てない。

先生は実馬を見るというチートを使うんで、そこらへんに理屈を設けるつもりはないでしょう。しかしアマチュアはそこに理屈がなけりゃ、マニュアルがなけりゃ、戦えないのです。ここで私は自分の道へ進むことになりました。

一つの手が「ニアリークロスを補足する血統の存在」であるわけですが、まぁ、これは、チクチク進めるとして・・・。とまれ、私は血統を勉強する教材が必要である。

 

そこで牝系です。牝系というものの理解を進めることは、生産者の知恵とか意図を学ぶことに近いと思います。

実は、一番欲しいのは、牝系じゃなくて生産者の樹形図なのですよ。どういう血統にどういう血統をつけたのか、ってのを網羅した本。こればっかりはJBISサーチなんかでも地道な作業を強いられる、難しいところです。

種牡馬や1頭の繁殖牝馬なら簡単にソート出来ますし、現代競馬の領域ならTARGETで完璧。しかし「Sir Ivorはどういった意図で運用されたのか」みたいなことを考えたとき、めちゃくちゃ大変なんです。

生産者のデータが出てこないので、広いくくりを用いることとなります。「北米はこう!」って話になっちゃうんですよ。そうじゃない、北米の生産者でも○○はこういう配合馬を出す傾向があって、△△はこういう意図でSir Ivorを使っている、みたいなのを知りたいんですわ。

○○牧場のお家芸、みたいなのあるじゃないですか。そういうのをね、まとめた本ってないかしら。色んな牧場のお家芸の延長線上に現代競馬はあるはずなので、それを理解しないで現代の血統を見るって浅はかだと思うのですよ。

もちろんプロは「この馬の2代母が○○3×4だからー」って実馬を見て言えますよ。アマチュアは言えんのです。根拠が出てこない。

 

どうでしょう、そこでアマチュアが「ここの○○3×4は○○牧場のお家芸で、同牧場の似た傾向の配合馬からは△△などが出ており、この影響が強いのではないか。」と言えたら!格好いいじゃないか!

これをもうちっと変化させて「この牝系からは○○や△△が出ており、✕✕の影響が受けやすいこの牝系らしい脚質と言える。」みたいなね。そういうこと言いたいよね。

 

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