砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2022年マイルCS予想

ソダシがキンカメ牝馬であれば混合G1で本命を打つことはないでしょう。クロフネ産駒というのが絶妙に難しくありまして、アエロリット級であれば間違いなく勝ち負けの機会があります。

それでも展開の利は間違いなく必要で、歴戦の猛者が揃った以上は「スローの前受けなら勝てる」などのレベルで足りることもありません。フルパフォーマンスを発揮した上で人気馬が不利を受ける必要があるはずです。

クロフネが恵まれた種牡馬とすることはありませんが、牡馬を圧倒するレベルの優秀を牝馬へ伝えるような血統ではないと思うのです。ロードカナロアやディープインパクト、ハーツクライほどクロフネ自身の牝系は優れていません。

アーモンドアイやジェンティルドンナ、リスグラシュー、あるいはクロノジェネシス(父バゴ)の輩出は父の牝系に関わる部分が大きいという考えですねぇ。彼女らはガチガチの力勝負でG1級の牡馬を蹴散らすことが出来ました。

ダイワスカーレット(父アグネスタキオン)やウオッカ(父タニノギムレット)がそうであるかと言われますと、これまた難しくなるのですが・・・。あらゆる血統論の上に「父の牝系」という考えを置く考えでありますから、ちょっと過激です。

しかしこれを基本と据える考えがあっても頷ける程度には、歴史的傾向と言えるでしょう。数多の例外があるのですけれども。

 

それでも名牝系の怪物牡馬2騎を相手とする以上、血統マニアとしては言及せざるを得ません。Scheherezade=Suleikaは日本競馬で猛威を振るうドイツの名牝系で、これが暴れない年はなかったんではないかと思うほどです。

 

93年 ビワハイジ

95年 エアスマップ

98年 マンハッタンカフェ

02年 アドマイヤジャパン

03年 アドマイヤオーラ

06年 ブエナビスタ

07年 アプリコットフィズ

08年 トーセンレーヴ クレスコグランド

09年 ジョワドヴィーヴル

10年 ダービーフィズ

11年 サングレアル

14年 ソウルスターリング

15年 サラキア

16年 シェーングランツ

17年 サリオス

18年 シュネルマイスター

19年 スターズオンアース

 

ビワハイジの登場以降に競馬を初めた人からすれば、「どこでもいっしょ」ですね。バロクサイドやロイヤルサッシュがこのレベルで重賞勝ち馬を出したか、ということを考えると恐ろしくなります。

サトルチェンジ&ビワハイジからのサロミナ&スタセリタというリレーは爆笑ものの豪華さで、この一族からノーザンVS社台を語ることも可能でしょうね。

社台からすればノーザン2騎に凌がれて牝馬三冠を阻止されたわけで、S牝系の屈辱はS牝系で晴らす。ノーザンはノーザンでS牝系にS牝系で対抗するという姿勢。これはもうSuleika2騎の決着以外にありえません。あってほしくない。

 

難しい。シュネルマイスターはスプリンターズSを使っての参戦で、サリオスは最適条件とも言える東京1800mの毎日王冠を使っての参戦。ピュアマイラーの臨戦とは言いづらいところ。

そんなら富士S組を信頼するのかという話にもなるんですが、ピュアマイラー同士で戦わないのであれば、マイルでしんどい経験を重ねた馬が勝つのが道理。

そうなるとセリフォスかソウルダッシュの安田記念経験組が良さそうですが、セリフォスの差し切りは斤量が絡んでそうな。上位3頭に大差なしと読むならば、彼らの中で最も阪神替わりを味方につけるか。

Round Tableの影響を感じるダノンスコーピオンが上昇気配ですが、Native Dancer的緩慢を表現するセリフォスもなかなか。ソウルラッシュはパワフルMan o' Warなので阪神よりは東京でしょうね。

雨が降るようなので場合によっては道悪巧者のソウルラッシュが上昇。彼は上がり馬ですけれど、ウインシャーロットが普通に強敵だったのでG3×2くらいのキャリアをプラスしても良さそう。富士Sも良い内容だったと思うので、ここで戴冠しても不思議はなく。安田記念をきっちり走りきれなかったのは残念でしたね。

 

ダイワメジャーの差しをどこまで評価するのか、レーン騎手への乗り替わりでどう変わるのか、考えることはたくさんあってセリフォスは難しい。

Native Dancer的な差し味は爆発すると美しいのですが、マイルを差すには大味に過ぎて難しいところが。この秋に大きな成長を見られなかったのも残念で、成長曲線はカレンブラックヒル的です。

それだけに位置取りでどれだけ変わるかが未知数でして、ソングラインとポジションが逆であったなら安田記念を差し切っていたかも分かりません。このポジション取りが全てとも言えますから、それが騎手の乗り替わりで覆せるのかどうかも、やはり、分かりません。

多大な期待をかけづらいところで、母が4分の4Northern Dancerですから成長力に乏しい面はあるでしょう。それ故に美しいストライドを表現したとも言えますが、A級マイラーのストライドが美しかった記憶はありませんねぇ。

ダイワメジャー産駒ってストライドが美しく伸びる馬が多いんですが、アドマイヤマーズとかは別に美しくないんですよね。これは美しく映るような質のレースをしないということでして、前へ進む力を感じる力強いストライドで走ります。

勝利の匂いを撒き散らす王者のストライド。セリフォスがそれを見せられる馬かどうかは分かりませんが、そういう質の馬ではないでしょう。

セリフォスというか、中内田厩舎がそうなのでしょう。速いとか効率的とか、そういうところとは別のところ、芸術性のあるストライドで走る馬が多いイメージを抱きます。

 

ダノンスコーピオンは、むしろ驚きの3着という富士Sでした。NHKマイルC勝ち馬が更に成長してくるのかと。

これはアーモンドアイやサートゥルナーリアに感じたものと似ていて、ダノンスマッシュも適距離へ戻ってのレースであったとはいえ、夏にしっかり上昇しているんですよね。

富士Sを圧勝していたら当然のように1番人気だったと思いますが、化けの皮が剥がれた3着というわけではなさそう。ダノンスマッシュは1戦ごとに成長し続けて、戴冠したのは5歳時の香港スプリントです。

あれだけ走り回って5歳時に戴冠というのは驚きだったし、次走の高松宮記念も勝ってますからねぇ。ダノンスコーピオンもここは経験の1戦という見方が出来るだけに、素質を買っても本命は打ちがたいか。

Round Table的ですから京都外1600mの方が計算は立ちやすい。阪神外はちょっと脚の使い所が難しいかもしれません。最後までしっかり、というには直線が長すぎるのです。

 

うーん、一眠りしてから印を打ちますかね。

 

中断

 

再開

 

逃げ想定がホウオウアマゾンなので、速いペースにはならないだろうというG1。先行組で逃げを考えられるのはソダシくらいなものですが・・・他馬が駆けつけてこないなら流れに乗って逃げてしまう可能性はありますね。

スムーズにゲートを出て、行き足よく流れて、でも逃げ馬が来ないからペースを落とす、なんてことはないでしょう。いい流れで走る馬のペースを乱してまで前に馬を置きたいということは。

かといって「イーブンに出して周りを伺う」という騎手でも馬でもありません。中長距離なら可能でしょうけれど、マイル戦でそれをやるのは厳しいでしょうね。

ホウオウアマゾンからしても安田記念より楽に走られる条件。安田記念に比べると阪神外1600mのマイルCSはスローにしやすいでしょう。スローにしやすいということは、逃げ馬のペースに依存しやすいということですから、ホウオウアマゾンのストロングポイントを表現しやすい環境です。安田を逃げるならマイルCSも逃げるでしょ、という。

 

こういうときにイタズラしてくるのが横ノリ騎手。マテンロウオリオンの前受けがあっても不思議はありません。逃げは流石にないでしょう。

前走はダイアトニックが完勝する程度には引き締まった1400m戦でした。これをおおよそ46.8-33.5で踏破していますから、12.3-11.8-11.5-11.2-11.2-11.0-11.3くらいのイメージですかね。

この延長線上にマイルCSを描くならば、ある程度位置は前になりそうです。しかしスローになるとマイペースが崩れてしまいますし、マイペースを維持しやすい外を走ることが難しい最内枠。絶対的な展開を描きづらいのが内枠ですから、後方からが基本でしょう。

マイペースに描いて内に突っ込む・・・というのは3歳馬でやりたくないでしょう。外を回って伸びるかどうか、伸びはするけど届かない。他がどれだけしんどい思いをしたかだな、というノリイズムな追い込みかなぁ。それを嫌っての前受けというのは、勝算がないとしないと思います。

そもそもガチガチのマイル戦にならなかったらソダシがそれを描くわけでね。自分の馬がそういう苦労をする必要がないなら、それに便乗した方が美味しいじゃん、というのは自然な発想でしょう。

横ノリ騎手の怖いところは、他人に自分の結果を任せられるところでしょう。だからこそ、信用ならんときは自分で最適の結果を求めにいける。他の騎手とはモノサシの精度が違います。

 

ダノンザキッドも内枠に入ってしまったのがどうかなぁと。Dansiliのフワッとした感じが表現されている馬ですから、スムーズに走ることが先決でしょう。

それだけに内枠からそれを表現できた時の爆発力が恐ろしいわけで、乗り替わりの北村友一騎手はそういう怖いことをしてくるタイプですね。

ペースがしっかりとしたマイル戦となったとき、マテンロウオリオンとダノンザキッドはマイペースの中で展開利も距離得も得られるわけで、あとは直線で道さえ出来ればヒットザターゲットとアンコイルドみたいに突っ込んできても不思議はありません。

サリオスとシュネルマイスターは万全の気配でありません。万全なのはソダシくらいで、白い名馬を打ち負かすならヒッタゲアンコイの京都大賞典パターンを妄想しても面白い。

Suleikaを倒すのはソダシかセリフォスかソウルラッシュか、「Suleikaの頂上決戦かと思ったら違うSが来た」という安田記念の傾向を踏襲するのかと思っていたんですが・・・。内枠の強襲もまた競馬の基本ですね。

いささかに役者が揃いすぎている気もしますし、それで遊びますかね。

 

◎ダノンザキッド

○マテンロウオリオン

△ソダシ

 

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