ウキヨノカゼは重賞2勝目。
父オンファイアはディープインパクトとブラックタイドの弟で、この3頭の全兄弟は長兄ブラックタイドが毎年毎年重賞勝ちの産駒を送り出し、次兄ディープインパクトが毎年毎年G1勝ちの産駒を送り出し、末弟オンファイアは毎年毎年5勝前後をあげる・・・そんな力関係。
それでもウキヨノカゼという孝行娘によって長兄の重賞4勝に近づく重賞2勝目をあげた末弟オンファイア。ディープが絶対正義なのは父サンデーサイレンスと母ウインドインハーヘアの配合が絶対正義であるからで、それを正義至らしめているのは長兄と末弟が空き巣ではない重賞勝ちをあげているからなのだという理屈。
今回もトーホウジャッカルの4分の3姉のトーホウアマポーラと、香港スプリントの生き字引ラッキーナインやサドンストームを兄に持つティーハーフ、名繁殖コートアウトとディープインパクトの娘であるレッドオーヴァルを下したのだから本当に孝行娘である。
ブラックタイドもそうだけれども、重賞くらいだとディープとか他の名血をねじ伏せるくらいのことが出来るのだわな。Fairway=Pharosの全兄弟みたいに語られる日もくるだろう。
でも今回は四位洋文が上手かったという点に尽きる。唯一と言ってもいい札幌巧者が2週連続の重賞制覇を決めた。弟分である福永が2着だから田原組の若頭と末弟がワンツーフィニッシュという見方も・・・側面も・・・まぁ面白がってそう考える程度には出来るかと。
それにしたってこんなアホなペースに誘導したのは少し間違いだったわなぁ。ド平坦の札幌の旨味ってペース的なタイミングさえ良ければいつ動いても構わないという点にある。だから後ろに動かせない様に淡々とペースを刻まなきゃならないのだが・・・オーバーペースにビビって11.8秒ってのは拙いかと。
札幌はまくってなんぼだ。あんなところでペースを落としたらまくってくださいと言っているようなもんよ。国分兄貴も好スタートからじんわり下げて外を空けようとしたんだが戸崎が「お、本命馬下がって来たぞ」とじんわりマーク。それでも「本命馬のお通りやで」と無理矢理外へ出して3着。斜行じみた外出しにペイシャオブロー戸崎は沈没。
福永はこういうスプリント戦で流れ込ませたらやはり一流。そうか札幌スプリントでは四位-福永が華麗に決まる時もあるのか勿体無い。牝馬のワンツーというよりも牝馬スプリンターで華麗にまくれる二人が本命を食った、という図式だろう。
新潟2歳は圧勝も圧勝・・・。
「2歳だからまぁゲートはそんなに速くないわなぁー」
「おーおー、ピンクのウインがかかっとるかかっとる。ペースは速くないみたいだなぁ」
「でも感覚としては決して遅く見えないし、縦長気味なのも気になる。ドスローではないのかな」
「4角への流れ方を見るに単純な3F瞬発ではない。差し馬は馬群圧縮もあって長い脚を使わされてる・・・これは前残りかもしれんな」
「ロードクエストは進路が内しか開いてない・・・こりゃ大波乱まであるか?」
「外から伸びそうなのはなにかなぁ。差し馬は厳しそうだし・・・お、ウインの後ろにいたウインが来たぞ」
「さすがに逃げ先行は潰れるだろうし・・・ってなんだあいつ。ダイワか?いやロードだなぁ。白帽子ってロードクエストだわ・・・。」
「ちょっと目を離した隙にあんなところにいるなんてびっくりよ。お前何様?」
「あー、追い込み馬が直線半ばで差し切っちゃうなんてすごい事になったな。やっぱりペースはそんなに遅くないんだわ」
「伸びる伸びる伸びる・・・圧勝じゃん、これ。」
ウインファビラスが血統的にはお好みかな。ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディにミスプロ+ニジンスキークロス+Buckpasser+Specialのオールフォーゲランというのは面白い。
アドマイヤマカディが「ノーザンテースト×Princely Gift」でニアリーしつつ、母がFair Trialクロスを持っているから脚の回転力へ派生しやすくなっている。ノーザンテーストの米血がミスプロへ流れ込む・・・そのミスプロはSpecialへ流し込む、そのSpecialが「Nasrullah×Fair Trial×Hyperion」なわけで、これがアドマイヤマカディへ流れこんで万々歳、と。
やってることはステイゴールドというよりサクラバクシンオー的。でも中距離的素質は確かに受け継いでいる・・・クロスの具合からするに3歳春は千八ベストで、秋になるとマイラーになってしまうパターンかな。明け4歳の京都牝馬Sにヒモ穴一考、という感じか。
上位陣はノーザンテーストの見本市みたいだな。Mr.Prospector、リアルシャダイ、Special、Le Fabuleux、リンドシェーバー・・・まるで「こうやって弄るんよ」という牧場の方々が語りかけてくる様。
ロードクエストはGold Digger×RobertoでNashuaをクロス、Robertoの経由がリアルシャダイだからAlibhaiも込みでノーザンテーストへ流れ込むパターン。父マツリダゴッホはGraustarkを含むから頑強さは父まで累代で重ねられていると見ていい。これで靭やかに新潟マイルを32秒8で上がったのだから朝日杯まではとりあえずの安泰を得た形。だけどマツリダゴッホのDanzig含みでどれだけ中距離で誤魔化していられるかねぇ。Gallant Fox=Fighting Foxがらみのパワー加速が強いからマイル路線がベストだろう。そう考えるとマイラーが勝つべくして勝った一戦だな。
ウインファビラスは上記参照。
マコトルーメンはダイワメジャーにリンドシェーバーだから新潟スローの上がり戦がセカンドベスト。本来は小回りでヤーレンソーランするタイプだろう。ぜひとも北海道でまくり倒して欲しい。加えてダイワメジャーにLe FabuluexでPretty Polly弄りまでしているので長きにわたって千四~千六の小回りで稼いでくれる馬だろう。加速が鋭くて脚が粘っこいタイプだね。
ペルソナリテはステイゴールド×アドマイヤコジーンまでがウインファビラスと一緒。母母以降がさっぱり色合いが違っていて、こちらはFair Trialとハイインローに特化しているからその辺りで少しCozzeneと喧嘩してしまいそうな気配が。ステゴとしてはノーザンテーストをクロスしてしまえばまくり馬とするのがベストなんだが・・・。
ステゴ×アドマイヤコジーンはゴールドシップを鋭くするイメージとしたいところだが、ナスキロが入る分とノーザンテーストをガチクロスしてしまう分が難しい。ノーザンテーストクロスってのはオルフェドリジャニ兄弟らの様にピッチで走らせるのが適当なのだけど、ナスキロが入るとその辺りが宙ぶらりんになってしまう。なのでそのあたりの調和を取れるSpecialを入れたウインファビラスの方が配合的には上だわなぁ・・・。
でもナスキロが入るだけに重賞級であるかどうかは・・・微妙ねぇ。今回はナスキロを上手く扱える馬が少なかったからこそ2着まで粘れたけれど、これからどんどん一流のナスキロ馬が現れる中で着順はどんどん下がって行くだろう。この新潟マイルでロードクエストほどに差し込める馬は少ないだろうが、この4馬身差に滑りこむナスキロ馬は少なくないのだわ。
稍重新潟マイルで1分33秒8。十分に速いタイムと言えるが見かけほど強い内容ではない。過度の期待は禁物かと。
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