砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

Nijinskyの七夕賞

いつだって穴はNIjinsky経由


このNijinsky伝説の始まりは06年のメイショウカイドウから始まっていて、それからサンバレンティンミヤビランベリの二連覇、ドモナラズ、イタリアンレッドアスカクリチャンと6連勝。一昨年はマイネルラクリマにやられたけれど昨年はメイショウナルトが伝説をもう復活させた。メイショウから始まるこの伝説は非常に固い。

この伝説はまぁ半分くらいは眉唾で、イタリアンレッドなんかはNijinkyというよりネオユニで勝ったイメージだし、そもそも中山だからね。そんでNijinskyと一言で言ったって米血パワーに表現されることもあるし、胴長体型に表現されることもまたあるのだから、配合論をとなえるならば突き詰める必要はある。

Nijinkyというのはなんだかよく分からなくなるんだけども、たまになんか背中を使わないで脚だけシャカシャカ器用に動かす奴もいるし、かと思えば関節は固いくせに体全体を使ってストライドを伸ばす奴もいる。そしてディープ嵐猫においてはStorm Birdとニアリーしてパワーを補完しつつも、ちょいと柔らかく体も大きく使う加速のたっるい馬になっちゃったり。

結局その加速のたるさってのが光る。ラジニケを見たって加速の鋭い馬なんてのは上位陣にはいないわけで、アンビシャスもミュゼゴーストも東京のスローを弾けても強いわけじゃない。マルターズアポジーなんて以ての外。

それじゃなんで加速の鈍い馬が強いのか。

単純にそれは具合が良いからだろう。柔らかい馬はトップスピードに乗って味が出る。固い馬はまくって味が出る。でもNijinskyはどちらでもないことが多い。彼は硬くストライドを伸ばすことが多いからひどく中庸的なのだ。まくりながらトップスピードに乗る・・・というわけだろう。

有馬記念がわかりやすい。ジェンティやトゥザワールドが器用に加速していく大外を柔らかいハーツクライとステゴの化け物がまくりかかっていった。その間を必死に必死にまくっていったのはディープ嵐猫でStorm BirdNijinskyラキシスなのよな。

その曖昧な加速っぷりは大阪杯で華麗にキズナを差し切ったことからも分かる。あれはトップスピードに乗りすぎたキズナをダラッと差し切ったのだ。宝塚記念を見てもラキシスはもう中団から差せる馬ではなくなっていて、あれはもうダラッと前受けから流れ込むとかオーバーペースの馬を後ろからサクッと料理するくらいしか出来ないだろう。

でも・・・ラキシスNijinskyにディープ柔を融合させた馬となっているからあんまり比較対象としては正しくない。多分Nijinskyってのは硬さとストライドを両立出来る血統なのだよね。

そんで今の七夕賞で狙えるNijinskyはおそらく、ナスキロラトロなNijinskyだと思う。メイショウナルトのイメージがベストなはず。ただメイショウナルトのイメージってそれこそアンビシャスなのよね。サドウェル×Riverman(≒Seattle Slew)のスタミナでゴリ押しちゃうわけさ。ディープだって基本的にはハーツもサンデー×Lyphardのハイインローよ。そっちを刺激すりゃ大差ない。

・・・それじゃメイショウナルトってあんま関係なくね?Nijinskyあんま関係なくねぇか?

あー、メイショウナルトから入っていたらアンビシャスルメールの底力で待ったなしだったな。そこからスタミナでゴリ押しだね!と・・・予想の全体像は間違わずにすんだかも。

でもスタミナでゴリ押しというのは昔も今も七夕賞では変わらんね。ミヤビランベリだってAR共勝ちがあるし、アスカクリチャンだってAR共勝ちだろ?トレイルブレイザーだってAR共勝ちだ!トーセンラーNijinskyじゃない)だって春天2着!ケイアイドウソジンNijinskyじゃない)はダイヤモンドS勝ち!そっち方面で攻めるのも一つなんだわ。

・・・そう考えるとメイショウナルトは折り合いさえなんとかなれば長距離でもいけんじゃねぇか?いや、折り合い難こそメイショウナルトに携わるすべての人達の悩みだったわけで、さすがに気軽に考えられることじゃねぇ。タマタマなぁ。うん。タマタマがあればG1を勝たせてやりてぇ!と挑戦させることもあっただろうが、タマがないからそれ以前の問題だ。引退後の生活費を玉無しの彼は稼がなきゃならん。まさに走る労働者。

メイショウナルトは溜めがきかない暴走車だから分からんが、他の馬はロングストレートでも穴をぶちかますんだよね。アルコセニョーラ新潟記念で16番人気から勝っているし。アンビシャスも一応それにあたる。ニューダイナスティも外回りでオープンまで来た馬であるし(中京はロングストレートに当たるはず)、マイネルラクリマも外回りで走ってきた馬だ。

この曖昧さ加減が大切なのだ、とNijinskyは教えてくれる。アンビシャスさんだって内外どっちが好きかなんて誰にも分からない。ミュゼゴーストだってそうだ。福島向きの具合の良さってのを一頭一頭見ていかなきゃダメであるし、その具合さえ展開によって変わる。

今できることは過去のレースを振り返ることだけ。あんまり出走馬は見ないでおこう。

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