砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

中京千六でスプリンターを買うために 中京記念予想

ほとんどが距離短縮で好走している中京マイル。距離延長馬には厳しいが。


それでも道悪スマートオリオンは侮れない存在。東京千四であんな勝ち方をする馬ならば・・・?

一応千四の好走した馬でも馬券になった例はあって、それはトライアンフマーチ。けれど彼は皐月賞2着馬で、中距離の実績があった。前走のパラダイスS勝ちも同じではあるがこっちは距離短縮的な差しきり勝ちで、前々から粘り込んだスマートオリオンとは異なる。つまり馬の本質もまた異なるわけなのであんまり比較対象としては正しくない。

けど気になる。「並んでからはハイインロー」というグラスワンダーかつウイニングチケット的手法で勝ち切ったこの馬を中京で買わないわけにはいくまい。何よりウイニングチケットという渋い血統が好ましい。優先順位は「趣味>適性」である。

そんで、過去に1000万下の中京マイルを距離延長で勝った馬は・・・

カフェブリリアントアスターピース(ダ千八経験)、フィエロ(芝千八経験)、マックスドリーム(芝二千経験)だけ。ほとんどが過去に1800m以上を経験した馬だった。

唯一の例外であるカフェブリリアントは・・・はい、重馬場の1分38秒7で決着した中京日経賞を3番人気で1着。ウインフェニックスを退けての勝利であった。次走で東京マイルを勝ってオープン入り。阪神牝馬Sを勝ち切って重賞勝ち。そしてヴィクトリアマイルでは5着にはいる健闘を見せた。

ブライアンズタイム×Caerleon×Woodman×Danzig×The Axeという配合。スマートオリオンとはRobertoとDanzigNijinsky、His Majesty=GraustarkRaise a Native、Swaps、BuckpasserPrincequilloなどの血統要素を同じくしている。味付けは異なるが主要な材料はほぼ同じ・・・というと少し乱暴かね。

モチジュン先生は重ならない要素、Amerigoとテスコボーイ間によってスマートオリオンはスプリンターに向いたのだろう、と仰っている。Suncourt≒Sanlineaですわ。

カフェブリリアントは姉にサウンドオブハートがいて、阪神牝馬を姉妹そろって制覇。父がブライアンズタイムアグネスタキオンで大分違ってるのに方向性が似通うというのは牝系に強いスピードが備わっていると予想できる。

その証拠と言わんばかりに親戚がシルポート。母が父サンデーのスプリンターで父がホワイトマズル。快速を活かして大逃げを放つマイラーシルポートが出たのは母系のスプリント力と父の偉大なるスタミナのなせるものだ。

カフェブリリアントらの母親もまたスプリンターであるので、そこにサンデー直仔やらブライアンズタイムが入ってもやはり米血スピードで突っ込んでしまう・・・という筋書きだろう。

対してスマートオリオンのニアリーは欧州血統によるもの。だがHurry onはスタミナを伝える種牡馬であるし、Precipitationもまたクラシック戦線で活躍した馬だった。ココらへんを刺激することでスプリントが表現されるとは考えづらいが・・・テスコボーイ自体が優れたスピードを伝えていたのだから、その源という可能性は否定出来ない。Suncourt自身は三冠馬Gainsboroughのクロスだからスタミナ豊富にも見えるが。

でもスタミナって心肺能力だけじゃなくて燃費の良さもまた関係しているのだろうし、「同じフォームで」のHyperionの話の様に高いスピードを維持する能力もまたスタミナなのだよね。スピードの維持というのは一流スプリンターに欠かせないものであるから、例え直仔の代ではクラシックディスタンスを伝えたとしても徐々にスピード血統が重ねられた先には短距離路線が待っているのかもしれない。ましてや母系に入ってしまえばな。

そういう血統を相手に柔らかさとか靭やかさを追加するのがサンデー直系種牡馬なのだよねぇ。一本調子に突っ込んで行く馬に溜めることを教えてあげる血統。ただただスタミナを重ね上げた様な繁殖を相手に強靭なストライドを授けるディープインパクトという神様もいらっしゃる。「ナスキロ一本あればいい。あとは俺に任せろ」という格好いい男。でもスタミナにニアリーが入るとトーセンラーのように一本調子なスピードによる距離短縮が要求される。キズナも以前ほどには溜めが効かなくなっているんじゃなかろうか。

スマートオリオンにその類の「中距離的溜め」を教えてくれる血統はないんだなぁ。パラダイスSは千四の仮面を被ったスプリントという見方も出来て、序盤を緩めにして淡々とペースを刻んだ様な形。

ここまで辿り着いてみると・・・道悪中京千六の出口が見えてくる気も。

中京千六のレイアウトそのものは東京千八に似て3つのコーナーがある。それに加えて登坂の要素。これで序盤は速いが向こう正面に入ればスローに落としやすい。

けれど雨が降ることによって積極的なスタート争いは行われなくなる。そうなるとテンはスローになる代わりに道中はミドルペースで展開されるし道悪だから追い出しはかなり遅れる。そうなると全体のラップ傾向は起伏の少ないダラダラとしたものになる。

中京日経賞のラップは13.1-12.2-12.1-12.3-12.9-12.2-11.9-12.0。勝ち時計は98秒7なので1Fのアベレージは12.3125。カフェブリリアントは道中の最遅ラップ12.9の区間で大きくまくり上げている。この当たりの一本調子な競馬がハマったのだろう。鞍上はムーア。周りが溜めに入ったところを狙い撃ちしたのだな。

もちろんカレンブラックヒルが勇敢に飛び出して行ってから

秋山「僕達の競馬」

という感じでドスローに落としこむ完全な中距離戦とする可能性もありえる。そうなるとスマートオリオンはなすすべなく沈むかペースの主導権を獲りに行くかの二択。。今回はメイケイペガスターやオツウ、オリービン、ネオウィズダム、と逃げ経験者は多いけれどオリーとネオウィは消極的であるし、メイケイとオツウは外に入ってしまった。となれば内に入った選択式逃げ馬であるカレンブラックヒルが外枠の奴らと折り合いをつけながらジワッと逃げる、という図式かと。

これはエプソムカップのパターンに似ていて、外からおもいっきり出してきた馬というのは道中で無理をしてこない。ポジションを取ってスローで折り合いがつくのであればそれでよいのだ。無理をした自分が余裕のある人気馬を相手に競りかけたところで面白いことは何もない。それならこのポジションから流れ込んで2着3着を拾えればよい、と。オツウもメイケイも人気薄だからな。掲示板まで保たせれば「よくやった」だろう。

また道悪で逃げるというのは度胸がいるから誰も積極的には行かない。「ポジション欲しいけど逃げたくない」である。前に目標をおかずに無理のないペースで折り合いをつける・・・ということは難しいのだろう。それに差しの方が届くレースなのだから前受けに旨味を感じないし。

秋山の場合に至ってはスローに対してのこだわり故に自分が先行争いの火種になると思えば退くくらいよ。「カレブラを楽に逃げさせたくねぇな!」という馬がぴょんっ!とやってきたらすぐに下げる。ネオウィズダムあたりがガーッと行ったら「そんなら二番手でいいよいいよ」だわ。

そうなったとき秋山はわりと前の馬をマークしに動くんだよね。その時後続が離れれば逃げ馬を交わす勢いで突き放しに行く。そしてさりげな~くペースを落とす。前がまだ追いかけたくないタイミングでジワッと落とす。いやらしい男っ!

後続がついてきたら交わさない。馬群に飲まれても知らんぷり。これは東京マイルG1を勝ち切ったカレンブラックヒルの瞬発力と底力を信じているからだろう。

瞬発力も底力も持続力も兼備しているがために決め手のない馬、それがカレンブラックヒル。総合力では間違いなくG1級。けれど一つ一つの要素は重賞級でしかなく、その時その時に秋山がどっかのタンスからササッと適切な要素を引っ張りだして勝ち切っている。自在型の逃げ先行馬だ。

でもルメールが逃げるとなればどうなのかねぇ。どんな形になるべか。ネオウィズダムは結構フワフワした馬で、息が入らないと走らないタイプだからカレンブラックヒルの望むがままにスローへ持っていく可能性がある。

というかカレンブラックヒルが行くならまぁいいや、と追従する可能性の方が高そう。それを言ったらカレンブラックヒルも「オツウが飛んで行くならどうでもいいや」と番手でのんびり構えそう。先に行かせた上で、その更に外へ回りこむ・・・という競馬になるかな。

やっぱりテンはスローじゃねぇか。中谷とかいうおっさんが何をするか知らないけど。中京記念で目一杯出していくだけの理由はクロフネサプライズくらいのこだわりがなけりゃありえない。その類の馬がいない以上、あまり前へ傾くことはないはず。

ならドスローのまま展開するのかと言えば・・・

あれ、天気予報変わってる。26日は晴れかよ。

晴れならば・・・スマートオリオンいらないじゃん。

[fin]