砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

一頭一頭 新潟記念予想

おそらく最も楽しい時間がやってきた

1番ユキノサムライ 国分恭介

 Magicの牝系であるから親戚にはUnbridledが、マガロの枝葉だとダービー馬タヤスツヨシがいて一発の強さがある。牝系にあるLa TroineとCaroのRelicをダイヤモンドショールで拾って、ハイインローとナスキロを追加。GraustarkのAlibhaiをノーザンテーストのLady Angelaでニアリー、ダンスインザダークGraustark自体をクロス、今代のバゴがBustinoを持つから「Hyperion×Pretty Polly」でLady Angela弄りを完遂という流れ。外回りで走るならばSir GaylordとかSecretariatが欲しいところだけれどRed God≒HaloとNureyev×Mr. Prospectorの機動力がメインなので必要はない。9ヶ月の休養から復帰して2戦目で勝利をあげた6歳馬というのは少し馬券妙味として期待したいところで、血統的にもその裏付けは取れている。間違いなく今がピークだろう。かといって重賞で馬券になるほどのパフォーマンスがあるかは別個の問題だし、前走のメンツは決して強いものでもない。

2番ラブイズブーシェ 田辺裕信

 昨年に函館記念を勝ってからは札幌記念天皇賞秋を連続4着とブレイクを予感させたが今年は大ブレーキ。良い時は過ぎた・・・そういう負け方をしているのが気がかり。函館記念は目に見えて良い動きをしていたんだけれど4角以降はさっぱりで、上がり3Fが37秒というのは力尽きた格好だ。展開の帳尻を合わせられなかった・・・追い込み勢が4着から下を独占していることからそう考えられはするのだけれど、似た競馬をしたダービーフィズには完璧に負けた格好だ。昨年の勝ち時計が2分0秒1で今年が1分59秒1。昨年の勝ち馬ラブイズブーシェの今年のタイムは2分0秒7。復調には程遠い。

3番パッションダンス ミルコ・デムーロ

 Special持ちのLyphardクロスディープ産駒。反応が俊敏だけど最後のひと踏ん張りが足りない馬。新潟記念ならば横一線の一つ後ろで構えて最後に一脚を使って足らせられるかもしれないけど、ダコールとかマジェスティハーツとかそういうことが達者な奴はたくさんいるのだわ。ライバル達と同じ競馬をして劣ってしまうってのが最大のネックだろう。ジェイドロバリーってそんなもんだとモチジュン先生もおっしゃる。前走もKingmambo持ちのディープ牝馬マローブルーと同じ競馬をして劣ってしまった。

4番ファントムライト 戸崎圭太

 オペラハウス×サンデー×ダイナカールというトニービンのいない枝葉。サンデー×ノーザンテーストは逆ニックスであるから褒められた配合ではないが主要血脈をサドラーズウェルズがクロスしてColorspinがアウトするので形は綺麗にまとまっている。ただオペラハウスの黄金配合としては比較的軽い血統を母に持ってきて、オペラハウスのスタミナ的Fair Trialを緩めていくスタイルで歌劇王やサムソンが輩出された。その経緯を考えると日本においては決まった展開でしか活躍しづらいのかと思うのだが・・・とりあえず関東圏では前走を除いてハズレ無しだな。回転力もあるし図太い切れ方をするから大負けはしない。けれどこの堅実性は条件クラスでこそだろうし、試金石の一戦かな。

5番ユールシンギング 吉田隼人

 Roberto走りのまくり馬だから距離を伸ばすなりダートを走らせるなり挑戦をしたほうが良さそう。2000mではスピード負けしていて、馬場が渋らないと通用しないはず。

6番マイネルミラノ 柴田大知

 ステゴ産駒としてPretty Polly弄りが足りないことやTourbillon的要素の不在が気になるがベターの配合。欧州ではなく北米でまとめ上げられた頑強であるから千八あたりがベストで、巴賞がベストパフォーマンスだ。ただスローで3着まで残した中日新聞杯も面白く、2000mならこの競馬が良いのだろう。今回の鞍上がそのときの柴田大知であるから似たラップを刻みたいが新潟では直線が長すぎて差し込みやすい。それを加味してどう乗ってくるか見ものだ。

7番ダコール 小牧太

 サンデーミスプロバックパサなので靭やかに動くが米血頑強で可動域はさほど広くはない。ディープのSir Ivorを弄っていないこともまた柔らかさを阻害している。ただFappianoUnbridledもUnblidled's Song(アジアンミーティアの全兄)も非NDの名配合であるから毒ではないのだ、という結論。けれどNDもまたサラブレッドには薬であって、それを母が持たないことは競争能力に関しては損をしているだろう。その分だけ競馬の質が軽くて粘りが足りないから、前走の様にある程度はスローにならないと差しづらいか。

8番クランモンタナ 内田博幸

 Burghclere×トニービンのスタミナが表現されて2000mでは短い印象。緩慢だが粘り強い走りをするから差すより前目で勝負をかけたい。

9番マジェスティハーツ 森一馬

 エアソミュールウインバリアシオンに近い「差し込んでからが粘っこい」馬。差し脚が鋭いくせにその後のなかなか鈍らない脚を持っていて、新潟記念には持ってこい。好位でじっくりと溜める競馬で上手く差してくるだろう。

10番ミュゼスルタン 柴田善臣

 キングカメハメハの差し馬らしくきっちりと脚を使う馬で、ボルキロを供給しているフレンチデピュティも一役買っているのだろう。中庸的な脚だが血統表はハイインローを強く示している。だからこそNHKマイルCでも東京優駿でも堅実な差し脚を見せられたのだし疑う余地はなく、キャラクターとしてはディサイファに近いかもしれない。2000mならある程度流れても良いだろう。

11番メイショウカンパク 大野拓弥

 グラスワンダーの小回り馬だから「まくってから競り落とす」タイプ。悪くないが年が年だから加速もだるくなってハイインローを振り絞るだけの爺ちゃんになってしまった。前走の33秒3をどれだけ前で使えるかが鍵となるのだが、根っこが差し追い込み馬だからまさかここで前受けに期待するわけにもいくまい。

12番アルフレード 柴山雄一

 母母がサクラバクシンオーの全妹でそこからサンデー、ボリクリと配されたのが本馬。母プリンセスカメリアはスプリンターの様子だが、全妹アルフォンシーヌフラワーCを3着している。サクラバクシンオーも母系に入ればキタサンブラックアデイインザライフを出せるのだからそんなに気にしなくとも良さそうである。復帰してからは1400m-1600mで振るわなかったが稍重馬場で1分35秒7の遅い決着となった東京新聞杯で2着。それから2000mの新潟大賞典で3着まで差し込み、前走七夕賞もコンマ3秒差の5着。勝つまでには至らないものの好調をキープしている。ボリクリサンデーと見ればストライドで走りそうだがRoberto×サクラハゴロモと見ればピッチ。東京新聞杯では直線に入ると鋭く加速して好位で受けたヴァンセンヌへ猛追をかけ、直線侵入後に見せた斜めに外へ切れ込むというよりも真横にスライドしてる様にすら見える機動力はピッチ走法ならではか。中山マイル時代の朝日杯FS勝ち馬なのだから機動して当然か。それを踏まえて新潟大賞典を見ると上位は全て小回り馬で構成されているのがよく分かる。夏のローカル好走馬ダコールに中山大好きナカヤマナイト、そして本馬。七夕賞の好走も納得である。ただ新潟大賞典七夕賞もスローの上がり勝負であるからやはり2000mは長いのかもしれない。

13番ロンギングダンサー 吉田豊

 シンボリクリスエス×ダンスパートナーの配合。二つ上の兄貴にはフェデラリストがいる。一応これもボリクリサンデーだからストライドかなぁーと思ったらめっちゃくっちゃピッチで動いてるわ。これはちょいと衝撃的。ナス(ボル)キロクロスがなく、RobertoとNijinskyってBull Leaが脈絡するからストライドには動かない。そしてSeattle Slew自体がピッチ的な靭やかさを実現する血統なのだわ、エルコン的に考えると。ダンスパートナーダンシングキイのスタミナを強く受け継いだ馬であるから2000mあたりで一番脚を使いやすいのだろうし、前走も後傾ペースのロングスパート戦でよく追い込んだ。新潟記念にしては珍しい正統派の追い込み馬だな。

14番ネオブラックダイヤ 秋山真一郎

 「Hyperion×Pretty Polly」の終着点がノーザンテーストなのかトニービンなのかで判断が別れるところだがこのダラッとした感じはトニービンなのだろう。2400mくらいでジワジワと脚を使う展開が良さそうで、オープン級の中長距離馬というところか。大体スズカデヴィアスくらいのパフォーマンスはあるだろうし、京都2200m-2400mのスローをジワジワと前受けしてみると良いのではないか。新潟記念は条件としてベターではあるが一つ二つ足りずの掲示板止まりだろう。

15番スイートサルサ 蛯名正義

 Habitatクロスだから平坦ベストで下りを活かしてじっくりとスパートをかけたいが新潟外回り、特に2000mというのはそういう競馬にはなりづらい。だが外回り向きだし福島千八で10番手を取れるならここの先行争いは苦にしないから展開を味方につけることは出来そう。あとは千六気味の千八牝馬が2000mの混合重賞でどれだけやれるかだろう。府中牝馬Sを目標とした叩きだろうし仕上げてくるとも思えない。

16番メドウラーク 田中勝春

 年始の6着から調子を上げていって2着1着1着1着1着と条件を4連勝。軽い放牧を挟んで重賞挑戦となる。フェアリードール牝系のトゥザヴィクトリー枝だから叔父にトゥザヴィクトリートゥザワールドがある主流。母アゲヒバリは文句なしのクロペリオン配合で地方4勝。本馬が父タニノギムレットだからその傾向に拍車がかかる。タニギムの代表産駒は言わずと知れたウオッカだが彼女の強さってのは好位からズルズルと抜け出た後の牝馬らしからぬしぶとさだった。本馬もその傾向が強く、条件戦止まりの素質ではないことを伺わせる力強い勝ちを重ねている。これは確かに小牧のとっつぁんでは脚を使い切れなかったわなぁ・・・。Robertoクロスの分だけ内回りが良いのだろうが粘り強さを活かせば外回りでも勝負になるはずだし、前受け前提ならば固いかと。ただ前走で差しにまわったタナカツが続行なのであまり前への意識は持っていないのでは。

17番アヴニールマルシェ 北村宏司

 母母母母トキノシュリリーが「NearcoとHurry OnとBlandfordGainsboroughとThe Tetrardh」の組み合わせで、これは大体サクラユタカオーの構成要素と重なる。母母母インターシャルマンが父ブレイヴェストローマンなのでNasrullahをクロス。「4分の1Teddy4分の3異血」の形となって一応の安定。母母キョウエイマーチが父ダンシングブレーヴで、Lyphardの母Goofedの「Hurry On とGainsborough」が上記のトキノシュリリーと同じ。母ヴィートマルシェの代になるとその父フレンチデピュティによりTourbillonとラトロがNever Bendに流れて緩和を緊張へ。この辺りのやり方はクロフネ的である。Teddy控えめでRock Sand&Domino&Fair Playなどの要素が強い。しかし当代アヴニールマルシェAlzaoダンシングブレーヴなのでその類の頑強さは結構大切で、結果としてどこかでWar Relic≒Eight Thirtyくらいはやっておくべきであった。Bimelechクロスはあれどもいささか緩い印象である。しかもフレンチデピュティ自身がボルキロ持ちだからな。新潟記念は緩いディープが走りやすい条件ではあるが、前受けを前提とした話である。頑強な古馬たちを相手に3歳重賞善戦マンがどれだけ戦えるというのか。

18番アーデント 石川裕紀人

 分かりやすいスピードの血のない馬で、ディープ産駒にしてはかなり切れないタイプ。おそらく二千寄りの千八馬だろう。能力が今ひとつ足りていないからハナに立っても安心して見られるが問題は気性。勝手にスパートをかけるほどの激気性を抱えていて、稍重以上では3-0-1-2。オーダーが出ているかは知らないが前には行くだろうし、ドスローなら逃げまであるはず。雨が降れば面白いが・・・。

石川騎手は一発変換されるよう頑張ってください。

き、き、世紀末の「き」が頭にくる熟語はなんだろう。・・・そうか!

「紀霊」

なんてことをさせないように。

[fin]