砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

マルターズアポジー雑感

ゴスホークケン朝日杯FSの勝ち馬。2着にレッツゴーキリシマ、3着にキャプテントゥーレがあり、レースレベルはそこまで低くはないと思う。9着にエーシンフォワード、7着にはヤマニンキングリー、8着セレスハント、とベスト条件を中山千六に求めはしないものの、素質馬は多く合ったのではないかと。

相似配合の馬なのだがあまりきれいなものではなく、SecrettameやKey to the Mint、Damascusといった面白い血統がゴロゴロ転がっているのに朝日杯FS一発屋に留まったのが惜しい。これをマルターズヒートに配したマルターズアポジーは緊張と緩和が実に素晴らしい塩梅となっている。

「4分の3ND、4分の1Old Trieste」「4分の3My Babu、4分の1Bernstein」「4分の3Secretariat、4分の1Heat Is On」「4分の3Hail to Reason、4分の1Bernstein」「4分の3Busanda、4分の1Heat Is On」

これら以外にめぼしいものはRobertoクロス、Graustarkクロスなど。早熟繁殖であるオールザウェイベイビーへ全てが脈絡しているから、この血統の再現を図っていると考えて良さそうだ。だが実際にマルターズアポジー古馬になってから力をつけた晩成馬である。何らかのトリックがあるのかもしれない。

こういうときは逆さにする。「オールザウェイベイビーへ脈絡している」のではなく「オールザウェイベイビーがそれぞれへ脈絡している」のだ。そうであればジェイドロバリーKingmamboなどに見られる最適化の作用が期待される。沈んだ名血たちが蘇るのだ。

肩が立って靭やかさに欠ける前駆であるが、回転力に富みBuckpasserの推進力を感じさせる。特筆すべきはRobertoクロスであるくせにひどい曲飛というわけではないところで、これはKris. SとサンシャインフォーエヴァーがそのたぐいのRobertoではないからだろう。

おそらく最も主張が強いのは母父のOld Triesteだ。わずか数世代を残して早世した種牡馬だが、後継にシニスターミニスターを残した様に能力は確かな血統。直系にはインカンテーションがあって、やはりこの馬もA.P. Indyの靭やかさを受け継ぎながらも可動域を狭くした千八走法である。

A.P. Indyの靭やかさはその母父Secretariatの影響が大きいわけで、それを表現するためにGone WestStorm Catがある。あとはChief's Crownがあれば母父Secretariat名血4頭が揃うな。

ディープインパクト×嵐猫の場合は短足にして可動域をそのままにするのが基本。けれど後継はみんな可動域を狭めているから母父父嵐猫はそこまでヒットしないのがディープ産駒の現実。マルターズアポジーにも同じことが言えて、Storm CatGone WestA.P. Indyの靭やかさを代々で削ぎ落としていく様な配合をしているのだ。だから3本のSecretariatがあっても柔らかくは動かないし、むしろ目標を同じくするだけあって可動域を狭くする仕組みをBernstein・オールザウェイベイビー・Old Trieste間で共通としている。そのせいで確実に可動域は狭くあり、その中で精一杯のスタミナを発揮している。

とまで書いたが、Grey Dawnの働きが分からないことには面白い話ではないな。In Realityに関することが一段落したらHerbagerについても探ろうか。

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