確かに頭をよぎったことが一度だけある。
「京都外で前受け馬に武豊・・・」
「なんか差しに回って快勝したレースがあったような」
「トゥザヴィクトリーしないとも限らないかねぇ」
元は差し馬であって武豊がそうさせていた。しかし吉田隼人とミルコによって逃げ先行へ開発されたスマートレイアーは東京新聞杯と阪神牝馬Sの快勝を以ってマイル路線で第二のピークを迎える。それは距離延長しても同じであって、前からジリジリと伸びる脚は前受けホワイトマズルのイメージそのものである。
ところがどっこい、ここで最内差し切り。「この競馬はミルコじゃないの?」と思わせられるイン差しである。ゲートを出なくて「揉まれたくない揉まれたくない」と逃げまとう様は武豊だけれど。「お、内ガラガラじゃん」と内に潜ってから緩々と下るのも武豊。でも突き抜けるの武豊じゃない・・・。蛯名とかミルコの競馬じゃん。マイルCSのダイワマッジョーレがオーバーラップした。あの頃のエビショーは京都で神がかっていたなぁ。内をスルッと進んでガーッと突っ込んでくる。フェノーメノもそうだった。
ただ内容としてはチャンピオンズカップの・・・ブエナビスタでなくて、スズカマンボ産駒のサンビスタに近いか。けれどやっぱりペース読みの巧さから直線で急がない様は武豊らしい。4角で後方にいるくせに尻を下げずに追走状態のままってのは本当に武豊らしい。
でもそこら辺はカンパニーのマイルCSっぽい。横ノリ。
それにしても7歳にしてなおこの持続斬れを表現し続けるとはディープのフィリーサイアーっぷりは化け物じみている。瞬間的にはスピルバーグなんかの様に牡馬でも表現出来るけれども、一線級をねじ伏せる斬れは1年ももたない。ディープ牡馬って同一G1連覇とは無縁だ。
人気勢はみんなスローだと思いこんでいて、斬れ馬に乗っているけど前に行こうという意思を持っていた。内が良いとは分かっているけれど、スローを想定すると前に馬を何頭も置きたくない。
ところがシュヴァルグランミルコがゴールドシップし始めたものだから「これ駄目なやつじゃん」と思いつつも人気が行くからついていかなきゃならず、フェイムゲームもそれで随分脚を使わされた。中長距離スローの溜めっぷりが武器な老齢騙馬なのに、油の乗ったハーツクライの中長距離馬に付き合っちゃ駄目よ。ルメール何してるの。真っ向勝負しすぎ。
14年の有馬記念で「やっぱりねぇ・・・ラストインパクト、逃げるんじゃないかなぁって。思うんですよぉ」とねっとり考えていたが、とうとう逃げたかラストインパクト。3年越しの夢叶う。おめでとう、俺。
しかし前走の追い込みが逃げの予兆とは思わない。田辺は可能な限り馬群とは無縁の競馬をしていて、直線では併せ馬を嫌うように右ムチを打っていた。単走状態の具合を確かめていたのだろうか。あと気持ちの回復かな。
ヴィルシーナもそうだが、気持ちが弱ってきた馬を追い込ませて、次で逃げ先行へ持ち込むってのはよくある。ノリマジックがその典型例であり、ポツンで回復、マジックで消耗というサイクル。ノリの逃げ先行は馬に対して精神的な緊張を強いるから・・・。たまに回復役だけで起用されることもある。エキストラエンドがそうだった。ヤラズヒーラー横ノリ。
ヒッタゲはもう完璧にハマった展開だったが・・・とっつぁんの弱点を突かれたな。「小牧さんは4角で膨れる」ってのを読まれた様な武豊のイン突きだった。地方出身らしく4角でスピードを乗せる人だから仕方がないかな。膨れてから内へ復帰する予定が、既にユタカがスルリと潜り込んでいた。仕方なしに馬群へ突っ込んで消耗させてしまったな。
あのヒッタゲが馬群を割るくらいなのだから手応えは抜群だったはずだ。あとは内でポツンすれば火が入ったのに、あそこでゴリゴリしちゃったらハイインローはトーンダウンしちゃう。切れ負けらしくもあるし、9歳じゃ仕方がないのかな。
幸四郎がいたら豊の進路を塞ぎながら2着くらいしていただろうに。兄殺しの弟は足を洗って健康になってしまった。
[追記]
福永がいなくて、おっかしいなぁ、おっかしいなぁとつぶやいていたが、そうか南部杯に旅立っていたのか。ていうか地方のレースって中央の無双状態じゃん。有力騎手すら中央に取られている始末。中野省吾騎手はさっさと中央においでなさい。それとも中央に適わないほどに粗野なのか。
[追記]
小牧のとっつぁんがコメントで自問自答している。コラムで何度も話していることなだけにそりゃそうだろう。あれを見ている人なら「なんでインにへばりつかなかったのかな」って話だ。京都外で負荷の強いスパート戦となった場合は、武豊の様に窮屈な4角で少し息を入れた方がいいのは分かっているだろうに。
「Hyperion×Son-in-Law」の影響が強い馬は早めに馬群から抜け出した方が良い。これにSpecialが強く作用しているなら別であるが、そうでない場合は前受けベターのしぶとい脚が表現されやすい。ましてや9歳。
ふと思ったがFriar's Daughterバックのハイインローはラチを頼って追走した方がパフォーマンスが上がるのではないだろうか。キタサンブラックは常にラチ沿いにあるわけではないが、内で溜めたり直線で内へ寄せたりで一伸びしている様に見える。
少なくとも内ラチを一度も頼らなかったダービーと宝塚記念は惨敗しているのは事実。この秋に向けてちょっと面白い材料ではないかと。
[追記]
検索かけたら普通に指摘されていたことだった。内ラチキタサンブラック。とりあえず血統面からアプローチかけてみるかな。秋天まで。
[fin]