砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ダイナカールから長距離を絞り出す一手

ダイナカールオークス馬で、エアグルーヴも東京最強のオークス馬で、アドマイヤグルーヴエリ女勝ち馬で、そしてドゥラメンテ日本ダービーのレコードウィナー。4代にわたる中距離~中長距離のG1勝ちを為した社台が誇る名家。

この一家を支えるのはトニービンから抽出した突進力。Buchan的な突っ込みによって「Nasrullah×Hyperion」を活かしている。Victoria Parkの突進力は存外強烈であり、これをクロスしたオレハマッテルゼはスプリントG1を制したし、ダイワメ産駒も大抵はこれでかっ飛んでいく。

しかしダイナカールエアグルーヴにおいてそれは中距離に留まる。その理由はシャダイフェザーの素性の知れた英のスタミナに求められるが、大きな意味は持たない。重要なのはノーザンテーストオークスダイナカールより、速く鋭い突進力と英的スタミナを並行して促進し続けていることである。

長距離馬を作り出そうとするならば、その突進力を明確な血統に落とし込み、その上でそれを糧としたスタミナを持ってくるしかない。そのスタミナが英スタミナと被るならば一層良い。つまりフォゲッタブルがやっていることである。

すなわちBuchanスピードに関してはサンデーのHail to Reasonに留め、Buchanとの組み合わせで成功したRibot×Princequilloを非Buchanにて導入する。その上でHail to ReasonNijinskyを結ぶスタミナを表現する。

Omaha=Flaresの全兄弟クロス「したからこそ」、War Admiralクロス「したからこそ」の表現と言えよう。これが共通していなかったら表現がぶれてしまう。回転力やパワーを司るところは共通させるが、それを糧としたスタミナに関しては無関係のものを導入する。

長距離におけるスタミナとは靭やかさと頑強の判断が難しい部分であり、頑強で一定の動きしかできないからこそステイヤーであることも多い。むしろスプリンターの靭やかさの方がステイヤーへ導きやすいだろう。

Fair Trialの扱いが難しいのもそのあたりが関係している。燃える気性であるからこそスタミナ的であるし、それを糧としてスプリンターやマイラーはスピードを導入するのである。

今回菊花賞へ出走するダンビュライトとキセキのルーラーシップ二騎は「だからこそ」でRibot×Princequilloを表現しており、非常にスタミナ的な動きをする。親父がスタミナ的な靭やかさがオンになりすぎた馬なので、それを綺麗に固めてやるとテコテコの走りになりやすいのだろう。

特にダンビュライトはフォゲッタブル的な方向へ進んだ産駒である。「上がり馬も実績馬もいない」という風評が流れる今年の菊花賞だが、配合からすればダンビュライトは「上がり馬枠」にあるべきだろう。優れていたためにクラシックに間に合ったに過ぎない・・・というのは過剰な評価か。

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