砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2022年ヴィクトリアマイル回顧

さっぱりまるで当たらんかった。何もかも違っていた。

 

内側は内側で争うしかない枠でしたが、レシステンシアだけが外に張り合えるかなぁという逃げ予想。ところが張り合うなんてことはなく、「脚力が違うんです」とばかりにレシステンシアとソダシがポーンと抜けてしまった。

メイチで押し上げていったローザノワールが結果として後出しの逃げ主張。レシステンシアとソダシはローザノワールを待っていたのか、それともこの2頭の間で折り合いがつき始めていたのか、抵抗出来るタイミングではなかったでしょう。

 

ただ結局は牝馬同士の争いねという感じで、混合G1戦ならあり得ない形と言って良いのではないかと。ローザノワールは10番の黄色帽子です。10番があれだけガーッと道を切り開いたのだから、11番以降の8頭は美味しく前受け出来る態勢。もちろん差し追い込みの後方勢がそれをする必要はないのですが、決してポジショニングが難しいレースじゃなかったなぁ。

この動きに利を見い出したのはレイパパレ(13番)、ファインルージュ(11番)くらいで、軒並み外枠勢は中団以降に位置しました。

だからこそローザノワールは決して好発でなかったゲートから逃げるまで行けたともいえます。しかしあの流れに乗る騎手がいてもよかったんじゃないかなぁと。じゃないとジャイキリ起こせない。

人気している内枠の先行馬が好発から位置を取ってるんです。こんなもん囲むんが常道でしょう。レシステンシアもソダシも前受けが不思議な馬じゃない。デアリングタクトだってソダシの直後につけてます。

 

これは騎手の判断が悪いというより、こういうレースが希少であることに要因があるかと。結果としてスローなんですが、今年の出走馬には厳しい流れだった。ローザノワールの流れに乗っかって3角に侵入するという経験が少ないのです。

そういうのは混合G1で育まれる要素とも言えるし、そもそもからして、日本の芝レースにおけるコーナーはペースを落とす要因でしかない。コーナーを回るからペースが落ちるのだ、というね。

それを逆手に取るのが混合G1の常道であり、コーナーを回っているからこそ外から圧力をかけるのだ、ペースが落ちるからこそ進出するのだ、という。

ゴールドシップで初めてまくったのが安藤勝己騎手で、ウインバリアシオンでジャパンカップをまくったのも安藤勝己騎手。こういう世界で戦って来たならば、外枠の馬はローザノワールに乗っかれたと思います。

 

事実、レイパパレは乗っかったし、ファインルージュも乗っかりました。しかもレイパパレはファインルージュの進路をカットしていますし。それまではローザノワールの直後にファインルージュがいたんです。

なんちゅうか、ルメール騎手の不調も仕方なしというか。川田にカットされて、福永が外を塞いで。松岡にきつい一撃食らわされて。それらを跳ね除けてきたのがルメールとも言えるんですが・・・。

2着が多いのも頷けます。もちろん全てがそうであるというわけでもありませんが、「ルメールに勝つことが1着の大前提」みたいな思想がトップジョッキー陣にはあるんじゃないでしょうか。ルメールにはリスクを取りにいく風潮が。

 

レシステンシアやソダシ、レイパパレ、ファインルージュ、デアリングタクト。トップクラスの馬がトップクラスたる所以を証明するレースを作った馬はローザノワール。18番人気ですがな。

強い馬であるかと言えばそうでもなし。しかしこの馬の強みが活かされるレースになれば、ソダシ・ファインルージュ・レシステンシアの4着にもなれるという、唯一、私の思い通りになった部分です。

彼女の様なキャリアが活かされるのが近年のヴィクトリアマイルと言えて、機動力≒スピードの世界に一歩踏み出さなくてはヴィクトリアマイルを勝つことは出来ないという。

直線でぶっこ抜くレースは終わったという話でもないんですが、マイラーに求められるのはそこでしょう。

 

ダノンシャークだってサトノアラジンだって機動力の配合じゃありません。マイルを走り続け、経験値によって対応を果たしたのです。そういうところで物足りない馬が多かったわけで、それがG1で露呈してしまうのは悲しいことです。

そりゃ「ヴィクトリアマイルを勝つんだ、名繁殖の登竜門をくぐるのだ!」なんてレースじゃありませんから。こういう結果もやむなし。

それでも、ヴィクトリアマイルを攻略するための春を過ごせた馬がどれだけいるのかなぁと。牝馬は重賞を勝てば格好がつきますけれどね・・・。

やっぱ牡馬を負かす牝馬ってのは一味違うんですわ。牡馬を負かすことを目標にしている馬ってのは、やはり違う。

 

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