想定の1番人気ですけど怪しいんですよ。
有馬記念を2着。日経賞を楽勝。春天で強い2着。宝塚記念は展開的な惨敗。
屈腱炎の再発で秋前半を棒に振って、復帰戦が12月初戦の金鯱賞。
昨年は長い長い休養の復帰戦としての金鯱賞で3着ですから・・・。
故障明けの一戦だから、という不安はあまりない。
さて、その昨年の金鯱賞を振り返ってみましょう。
まずメイショウナルトが内枠から暴走の大逃げ。
昨年のジャパンカップで「行きたがっていたから」とヒットザターゲットで4角まくりに動いただけあって
かかりグセのひどいメイショウナルトでも行きたがっていれば行かせます。
(ナルトの基本戦術ですな。ポケットスタートの四つ角コースならG1級でしょう。
AJCC→京都記念→(鳴尾記念)→宝塚記念のローテで行こう!)
で、大逃げになりました。
2番手のカレンミロティックは淡々とペースを作って、淡々と4角で追いつく。
公式ラップは12.8-11.0-12.1-11.7-11.7-12.0-12.2-12.2-11.5-12.4。1600mまでがナルトペース。
「淡々」と表現する理由は単純。カレミロは道中はほぼ12秒フラットで刻んでいるのです。
おそらく12.9-11.1-12.0-11.9-11.9-12.0-12.0-11.9-11.5-12.4くらいで刻んでいる。(目測)
前半5Fが59.8。後半5Fが59.8。走破タイムが1分59秒6。完璧なイーブンペース。(目測です)
マジで池添は上手い。
2番手が完璧なイーブンペースという風に考えますので、3番手以降は後傾になりますね。
となると中団後ろに位置取りしたウインバリアシオンはバリバリの後傾。
カレンミロティックからは15馬身は離れた位置取りでした・・・。
それが残り400m地点で8馬身ほどに縮まっているわけです。
そして最終的な着差が3馬身1/2。時計にしてコンマ5秒差。
以前書いたように昨年の金鯱賞は今年の京都大賞典、ジャパンカップ的なのです。
京都大賞典は道悪とトーセンラー包囲網が関係して平均ペースながらも大逃げ展開。
ジャパンカップもジェンティル包囲網と穴馬のハイペース展開による大逃げ。
京都大賞典の公式ラップが
12.6-12.2-11.5-12.0-12.4-11.9-12.0-12.5-12.0-11.7-11.6-11.8。
60.7-23.9-59.6でバリバリの後傾ペース。7番手から3着まで届かせたトーセンラーは流石である。
次にジャパンカップの公式ラップ。
12.8-11.2-12.0-11.9-11.7-12.2-11.9-11.8-12.4-11.9-11.5-11.8。
59.6-24.1-59.4で見事なイーブンであります。(エピの弾け方がちょいと異常だが)
ジャパンカップはmahmoud様の計測ラップもあるので引用させて頂きます。
12.7-11.3-11.8-12.0-11.8-12.0-12.0-11.9-12.4-12.0-11.4-11.8。59.6-24.0-59.5。
この2レースに共通するのは目標とされる馬がいることです。
京都大賞典ではトーセンラーが異様なマークを受けて前が楽々追走していましたし、
JCもジェンティルドンナを目標に誰もが先行していって、前は手薄な状態。
こうなると前が平均で刻もうがちょいと溜めを作ろうが・・・勝手ですよ。
後ろは「トーセンラーに負けなきゃいい」「ジェンティに先着出来れば良い」という思考状態ですから。
騎手心理としてそうなのでしょうね。
1着になる可能性が最も高い馬に先着すれば自ずと1着を取れるはず、という。
それじゃ昨年の金鯱賞がこういった形になった原因は・・・
メイショウナルトが逃げ馬でないにも関わらず大逃げに突っ込んでいったことです。
だから全体的に「ちょっと抑えよう」という心理が生まれた。
ところが3番人気のカレンミロティックが最も理想的なラップを刻んでいた・・・というアホな話。
でもロスを取り戻そうと動いてしまうと他の馬に対して二つ分のロスを抱えこむわけですよ。
2つ分を承知に動ける騎手ってのは本当に少ない。和田竜二とかルメールとかくらいでしょう。
(和田竜は思い立ったら吉日的な動き方だけど・・・)
優等生たちはやっぱり2つ分のロスを背負い込むより1つのままにしておいて、あとは展開次第。
悪い言い方をすれば事なかれ主義だし、良い言い方をすれば腰が据わってる。
どっちが正解とかもないんだけどね。
秋天のルメールは上手かった。遅いな、と感じ取ったらスーッと上がっていったもんね。
あのタイミングで動けるからこそ騎手買いの標的になれる。
余談をはさみまくってよく分からなくなっていますが・・・
つまりあれです。
「イーブンペースないし後傾ペースで先行馬が勝つ展開での差し追い込みは困難」
という話です。基本的な話ですね。
ところがジャパンカップも京都大賞典も金鯱賞もそこそこに届かせてきた奴らがいますよね。
みなG1級です。G1を勝ち負けする意味でのG1級。
ヒットザターゲットなんてのは京都2200m~2400mの混合G1があれば勝ち負け出来ますし、
ウインバリアシオンだってオルフェーヴルがいなけりゃG1を2勝くらい出来ていたんじゃないのか。
つまり昨年の金鯱賞においてウインバリアシオンは完調であったと言えますね。
そのくらいのパフォーマンスだった。
mahmoud様のブログからジャパンカップのラップデータを引用させてもらうと分かりやすいです。
ジャパンカップの後6Fのデータですが・・・
ジャスタウェイ 12.1-11.9-12.0-11.6-11.6-11.9
スピルバーグ 12.1-11.6-11.7-11.5-11.5-11.8
エピファネイア 12.0-11.9-12.4-11.8-11.4-11.8
てなわけです。
こういった脚を使えなければ前残りの展開で差し追い込みことは不可能。
大逃げ展開からイーブンペースで淡々と刻み倒したカレミロ。
それに差し追い込んだウインバリアシオンもまたこういう類のラップを刻める馬なのです。
それじゃお前、今年も万全じゃないか。
とも思えますが・・・。過信は出来ない。元来2000mはこなす程度だ。
2Fからシュパーンッと切れる展開になれば絶対に飛んでくることはない。
カレンブラックヒルはそういった展開に持ち込むタイプであるのだ。
もちろん「2Fで弾けるなんて俺には無理だ!」とトウカイパラダイスがプレッシャーをかけてくるだろう。
4角前から仕掛けても伸びるのが中京であるから完全な2F勝負にはならないとも思う。
クランモンタナが外枠に入ったらそういう競馬でしか対応は出来ないからね。4角まくりはあるよ。
それでも慌てないのがカレブラ秋山ですよ。
「まくるの?いいよ。こっちは最内の利があるし」とマイペースに行くでしょう。
もう秋山は悟りを開いているレベルでマイペース信者だぜっ!
11.9-11.0-11.8くらいに納めれば結果はついてくるさ、とか考えてるイメージです。
だから逃げに拘らない。それだけに他に逃げ馬が出てくる可能性はあるんだけども・・・
可能性止まりですわ。中京2000mで逃げるのは並大抵の話じゃないんです。
例えばトウカイパラダイスが逃げようとすれば絶対にかかるね。
ポケットスタートから一気に押していった函館記念でかかってしまうのだから
中京2000mの短い区間で競われる先行争いでは100%かかるでしょう。飛んで行くね。
他には・・・トゥザグローリーか。これもまた逃げられない。
京都2400mはポケットスタートであるからこそゴルシの様に先行したりすることが出来る。
長い直線を使って逃げたのだからやはり中京2000mでは厳しい。
もちろんトウパラやトゥグロが内に入って大外枠にカレブラ、という形なら別だよ。
マイペースに行ったら逃げになった・・・みたいな形なら悪くない。
秋天なんかは面白かったね。内の馬たちは逃げたくないもんだからカレブラを待っていたよ。
カレブラ秋山「なんだい、俺に逃げて欲しいのか。まぁ、ゆっくり行くから待ってろよ」
と言わんばかりにマイペースに秋山は逃げていった。そのスローを読み取ってイスラルメールは先行していったわけですね。
テンの速さに関しては秋山ってすんごい敏感なんですよ。あくまでマイペースさ。
またその形が功を奏する様な展開が今年は多いよねぇ。
だから今年はスロー展開からの2F競馬になる。つまり千八的です。
2000mでさえ長いのに1800mまで落ち込めばウインバリアシオンは消すしかないと思うよ。
・・・ん?あれ。狙える馬がいねぇぞ。
小回りでナデ切れる馬がいない。
かといってカレブラが逃げ切れるとも思わんなぁ・・・。
あらぁ。これはクランモンタナが勝ち切るかもしれんね。
あとはサトノノブレスかな。
枠発表待ちだな。
[追記]
「イーブンペースないし後傾ペースで先行馬が勝つ展開での差し追い込みは困難」
なんて書きましたが太文字にしちゃうほど根っこを捉えた言葉ではないと反省。
今年のレースで言えばジャパンカップと京都大賞典を例に出させていただいたが
昨年でも例えば・・・秋の天皇賞がそんな感じだったと記憶しています。
「ジェンティルドンナがスロー巧者と言うけどトウケイヘイローの二番手で2着したじゃん」
という考えがしばらーく俺の中でグルグルしていて、それを解決したのがmahmoud様のラップである、と。
トウケイヘイローの逃げというのは自爆的ではなく、あくまでも自分が残れるペースなのです。
それはメイショウナルトも同じであって、小回り四つ角ポケットスタートなら、という話。
ではこれらの代表されるハイペース逃げとはなんなのか。
ハイペース逃げの最強馬・・・というとサイレンススズカとダイワスカーレットの二強でしょうか。
この二頭は大きな違いがあって・・・
サイレンススズカは突き放して差す。ダイワスカーレットは従えて突き放す。
あれ、日本語が不自由な気分だ。
スズカはハイペースで一気にマージンを作るわけです。大逃げってやつですね。
そして3角4角あたりで溜めに入って、直線を後ろの馬たちと似た脚色で突き抜ける。
毎日王冠がまさにその典型とも言える・・・典型というか完成された大逃げ。
12.7-11.0-10.9-11.4-11.7-12.1-11.6-11.4-12.1。大逃げと言えばサイレンススズカですよ。
対してダイワスカーレットはイーブンペースで淡々と刻む。
2008年の秋天では12.6-11.1-11.5-11.9-11.6-11.6-11.7-11.3-11.3-12.6で逃げた。
58.7-58.5。35.2-46.8-35.2。47.1-23.2-46.9。5F-5Fでも3F-4F-3Fでも4F-2F-4Fで見てもほぼイーブン。
鏡の如き華麗なるハイペース。これはもう騎手の比重が高い走りだ。
トウケイヘイローとメイショウナルトはダイワスカーレット的ですな。
でも前傾ペースなんですよ。あのペースからイーブンに持っていくだけの脚がないからこそのローカル専用馬です。
そういった前傾ペースを刻まれると・・・とくに東京で刻まれてしまうと。
大逃げになるんですよね。至極当然。
イーブンだと直線半ばで突き放せるんです。
ハイペースイーブンのダスカを差すということはハイペース後傾ペースへ転じさせるという意味ですから。
追走にほとんど溜めのない状態から差し脚を使う・・・それがレコードペースならなおさら難しい。
対して前傾ハイペースは追走できていれば勝機はあります。
昨年の金鯱賞では前傾のナルトをイーブンのカレミロが差し切った。
上手い騎手が馬を把握していれば時計次第になる面が多い。
つまりは・・・秋天のジェンティルドンナはペースによる恩恵をむしろ受けていた立場であるのだ。
それじゃ金鯱賞も秋天も後ろの馬は何をしていたんだ。ハイペースの前傾ペースで、と。
彼らはペースに対して後傾になりすぎていたのですな。
13.0-11.0-12.0-12.0-12.0-12.0-12.0-12.0-11.0-13.0というイーブンペースがあるとして。
前傾ペースにすると12.5-11.0-11.5-11.5-11.5-12.0-12.0-12.0-12.5-13.5という風に。
後傾ペースにすると13.5-12.0-12.5-12.0-12.0-12.0-11.5-11.0-11.0-11.5です。
これが大体無理のない程度でしょう。
それらをふまえて、13.5-12.5-12.5-12.5-12.0というラップを刻んでみたらどうなるか。
前5Fで63秒を刻んでいる。つまり後5Fを57秒で収めなければ前へは届かない。
5Fを57秒で走破するというのは平均1F11.4である。
それを可能とする馬は・・・それこそジャスタウェイとかスピルバーグくらいか。
あとハープスター。凱旋門賞では後5Fを56.99秒で・・・。
(両データはmahmoud様のブログより)
[中断]