貶めるために作られた競馬場。
函館2000mは前半を下り、後半を上る。なのでイーブンペースで差し込むことも難しく、どうしても前のめりに差し込まなければならない。どうあがいてもスタミナ勝負になる。
「スタミナ勝負なら内で立ち回れば良い」と一概に言えないのも特筆すべきところで、上り切ったところで力尽きる逃げ先行馬がいるし、余力を残してまくってくる馬もまたいるので内をついた余力のある馬が抜け出すスペースは少ない。昨年の三浦皇成とかめちゃくちゃ上手い競馬をしているけど抜け出しが遅れてしまっているからね。
ステラウインドは機動力があるからああやって立ちまわった方がいいんだけど、どうしても展開としては諸刃の剣になってしまう。蛯名正義で七夕賞を突っ込んできたのは納得である。エビショーはストライドロスと距離ロスを天秤にかけるのが上手い騎手だから。
スタミナ面で完璧な形・・・それを0地点とする。それより無理のある前目の位置をプラス、無理のない後方の位置をマイナスとしよう。東京なんかは0地点から競馬をすると勝ちやすい。長い直線があるのでほとんどの騎手が前を空けることを優先する。必然的に皆ふさがりづらい。
しかし函館は0地点が正義とは限らなくて、何らかのロスによって帳消しになるパターンがほとんど。トウケイヘイローの年はロスらしいロスが現れなかったシンプルな展開と言える。
０地点がどこになるか、そしてプラス地点にどんな馬がいるか、それによってどのようなロスが生じるか、そんなことを延々と考えなければならない。楽しい。
０地点を探すにあたり・・・やはりレイアウトが敵になる。逃げ馬にとってこのレイアウトはマージンを取らざるを得ないものであるからだ。
仮にスローへ持ち込んでも一団馬群で登ることになる。前半がスローならばこの登り区間でペースを上げなければならないのだから函館記念に関しては「スローこそ消耗戦」だろう。前半で脚を使ってマージンをとり、登坂区間でのペースアップを最小限に抑える方が理に適うのだ。
関東騎手が逃げると前崩れ、関西騎手が逃げると前残り。そんな図式が成り立つ様に思える。
関西騎手は京都や阪神などで前半にマージンを取る競馬をよくする。京都は本当にその傾向が強く、前半に脚を使っても後半は流れこむ分だけなんだかんだ残るのだ。
関東騎手は中山がベースなのでスローを前で受けることにこだわりやすい。東京でさえもその傾向が強く、同じ関東騎手である江田照男や横山典弘はその弱点を突く騎乗で春競馬を盛り上げた。
これは別に「関西騎手はスローに落とさない」という話じゃなくて、スロー区間が前半にくるか後半にくるかってだけの話。関西の内回りは向こう正面でスローのピークを迎えるけれど、中山ってのは正面登坂から向こう正面入り口までスローに落ち込むのだ。
例外は阪神2200mだろう。ゴールドシップがクソ強かったのは一頭だけ関東的なペースで競馬を進めていたからだろう。今年は川田が中山的にまくって勝った・・・という見方をすると面白くないかな？ウチパク－ヨコノリと関東騎手でゴールドシップは宝塚記念を勝っているのだし、実は関東的な競馬が上手い騎手が勝ちやすいレースなのでは。
そんで、今年は誰が逃げるかと言えばマイネルミラノ丹内！これはもうバリバリの関東騎手で、大外枠に入ったのだから序盤のツケを払う様にスローへ落としたがるはずだ。間違いなく1角からジワッと来るね。巴賞もそういう競馬をしていた。
それに食ってかかるような馬もいないし、これは一団馬群で向こう正面の登り区間へ進むだろう。その時マイネルミラノさんがどこまで余力を残しているか・・・1800mベストの馬だから前走ほどの強さはない。枠にも大いに嫌われた。さてどうなるかな？
もしミラノさんが頑張れるとすれば番手の関西騎手が無理をしなかった時だ。「ミラノは行かしておけ」と。巴賞をアレだけキッチリ逃げ切った馬だからそんなことはないかもしれないが武豊あたりは流れこんでからの直線勝負をしたがるかもしれない。つまりペースを番手の関西騎手が担うというパターンだね。こうなると丹内ミラノが関西ペースへ誘導することは考えられる。
でも兄デムがいるから3角以降はある程度負荷をかける展開になるだろうな。武豊は「入線時に1馬身きっかし交わせりゃいいよ」って競馬だけど、小回り兄デムは「4角で併せていたいよ」という競馬だ。交わす競馬と競り落とす競馬の違いがあって、吉田隼人あたりも競り落としたいタイプだろう。1番人気馬に呼応して一気にミラノをぶっ倒しに行くのは違いない。
そうなると武豊アーデントが０地点にいたとしても前が塞がる可能性は高いし、マイナス地点のフルキチラブイズブーシェがもう一回ぶちかましてくる可能性は高い。丹内－Mデムの関東アタックによってマイナス馬が活きることになりそうだ。
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