砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

函館芝速っ! 函館記念回顧

2分台の馬においては2着だよ。ツクバコガネオー! 5着レッドレイヴン以下は時計の読み間違えとも言える負け方で、「2分台決着でミラノを交わしておけば良い」という競馬。ところがその上を容易く行った馬がなんと4頭もいて、上位2頭に至っては59秒1という規格外のタイム。この二頭は「少し緩い2200m」でそこそこ走っていた馬で、ダービーフィズセントライト記念2着でハギノハイブリッド京都新聞杯1着。こういう展開が合ったのだと思う。 2200mというのはどんなラップになっても差し追い込みは届かず、中団好位からジワッと行けば大抵届く。今回はそういう流れになったわけであって、「2200m的な位置取り」から「2200m的な持続脚」で勝ち切ったレースと言えよう。 [追記]
レッドレイヴンはエアソを追いかけてこの差であるから本当にスローでしか走らないのだね。 というか藤岡康太がまくるなんて雨でも降るのかね。台風は来ているらしいが。こんな風に4角で勝負を決めに行くようなことをする騎手ではなくて、ストライドロスなく直線へ流れこむことを重視した騎手のはずだ。ディアデラマドレでさえ流れこませる男だ。 それこそマイラーズCの後方待機に代表される様な「直線男」だから函館で勝ち切るイメージはなく、それどころかハギノハイブリッドテン乗りで先行させるだなんて考えもしない。言ってしまえば「出来損ないの福永祐一」であるからさ。重賞でこんな肝のすわった騎乗する男じゃないでしょ。 うーむ。これは2番手でジッと我慢していた池添ヤマカツエースが上手かったのかもしれない。 リードが広がるのは800m標識を過ぎた頃からだ。ラップはnetkeibaから参照。
200m400m600m800m1000m1200m1400m1600m1800m2000m
12.610.811.511.712.011.911.812.112.112.6
今回の予想の肝となった「蟻地獄のレイアウト」。まずスタートから平坦を交えながら900mほどの距離が下り区間となっている。つまり前半1000mは速くなる宿命。むしろペースを上げてもスタミナは消耗しないので逃げ馬はここでマージンを取ろうとペースを上げる傾向にある。今回はその傾向通りのラップとなった。 そして1000m通過の手前から登り区間への入る。これは4角手前まで続く長い登坂で、距離にして600mほどになる。1000m通過~1600m通過の区間までがその影響下にあるので、前半に比べるとラップは緩くなる。 そして初めの話に戻ると、丹内ミラノは800m標識を過ぎたあたりから突き放しているのだから1400m通過ラップの11.8秒。ここでマージンをとっている。逆を言えばヤマカツエース池添以降の馬はそこで全く無理をしていない。池添は600m標識手前から追い始めていて、すぐさま反応するわけではないから大体3Fスパートの体勢となる。 1400m通過ラップと1600m通過ラップをまるごと交換したようなことを池添はしているわけで、先行まくりで上位を独占したのは関東的な池添のペース判断によるものだろう。あそこでミラノを追わなかったことで中団以下にチャンスを与えなかったのだ。 なにせ4角の半ばから入線までは下りと平坦で構成されている。まくるその瞬間、その場にいなかった馬などにチャンスは与えられないのだ。大いに下って大いに登った。そこからの下りなのだからほとんどみんな同じ脚色でダラーッと突っ込むだけよ。何馬身も詰められるものじゃない。 一団馬群で突っ込めばみんなにチャンスはある。むしろ前が開いて勢いをつけられる分だけ外の方が有利なことすらある。それが昨年のラブイズブーシェ。 今年は池添が逃げとそれ以下を分断してしまった。関東的な「俺だけが差せる位置」に自分を持っていったわけで、あれをやられると手のうちようがない。 丹内がはやって仕掛けを誤れば前方総崩れとなって外からの流れ差しが決まる・・・というのもちょっと考えてたんだけどもな。まるっきり巴賞と同じことをしてしまえば200m分だけ無茶が出る。ミラノは千八ベストくさいから。 ところが2番手追走の池添が好判断よなぁ・・・。マイルから距離延長したヤマカツエースに乗っていたというのもあっただろうが、ちょいとココは年季の違いを見せた。 それでも少し仕掛けが早いくらいなんだよねぇ。もうちょっと後ろがのんびり構えてくれればいいんだけどもさすがに重賞ともなればまくってくるわ。池添も一緒に「マイネルミラノをきっかし」の競馬をしてしまうと、これまたみんな一緒に4角の土俵に上がってしまう。だから池添は3F+αでスパートをかけざるを得なかったし、まぁそれでもなかなか止まらずに行った行ったになったよねぇ。 これが外回りだと違うんだわ。VMケイアイエレガントみたいに「ミナレットをきっかし1馬身」の競馬をしていても後ろは全くつついてこない。長い直線があるから交わせるでしょ、みたいな感じになる。 どうも外回りでまくるのには勇気がいるらしくて。実際、東京2500mや京都2400mあたりはロングスパート戦になるから外を通る分だけ不利になるんだわな。「スローか!よしまくるぞ!」と外へ出したらスパートかかっちゃったよ、なんて目も当てられないし。出す勇気出さない勇気があるのだろう。それに「まくってこられたから」でペースを上げることも当然あるわけで、それは前半にたっぷり休んだ分だけペースアップの融通は効いてしまう。「スローで行かせちゃった!」と焦ったら終わりなんだわなぁ。 それでも誰かが動けば変わる。でもそれは貧乏くじなんだ。人気薄の追い込みならいざしらず、2番手3番手で貧乏くじを引ける騎手はそうそういない・・・ってのは桜花賞で散々知らされたこと。でもあの流れでレッツゴードンキを交わせると考えた松山弘平は拙いなと思う。 [fin]]