砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

武豊から考える京都2000m 秋華賞予想

ファレノプシスのときに武豊は登坂で少し動かして前に取り付いている。「あれ?武豊ってこういうことしないと思っていたのに」
ファインモーションの時は3角でポジションを下げているくらいだから、ファレノプシスって少しズブい感じに反応が一つ遅れる様な馬なのかな?実際にスパートがかかって前へ取り付いたのは坂を下りながらであるし、多分そうである。 キャットクイルの娘だからキズナ的に動かした感じと見ても悪くない。 にしても、エアデジャヴーファレノプシスで負かした武豊がその娘のエアメサイア秋華賞3勝目を決めるってのがねぇ。なんか競馬って感じするな。 面白いことに武豊を筆頭に3角でポジションが下がる馬が上位にくるんだよね。本当にこれって面白い。象徴的なのがファレノプシスの2着だったナリタルナパーク佐藤哲三。15-14-17-8という通貨順位で、ちょいとずつ上がっている様子が1角2角で見受けられるのに3角時点では後方2番手。そこからいきなりの1桁番手だからな。 中山だと2角直後にジワジワと順位を上げていくのがセオリーなんだけれどもねぇ。これは関東騎手には少し対応しづらいコース体形かもしれない。順応してるのは横ノリくらいかも。マンボの年にリボントリコロールが5着してて、これの通過が15-15-17-17。負け戦のにおいがプンプンするデータに見えるんだがね。 いや、本当にデニムアンドルビーは異端のデータだぜ。3角前からガシガシ進出していって2着の一線まで差し込んでくるってのはすごいことよ。4角でヨレるほどに消耗しているのにそこからHyperion振り絞って差し込んできた。通貨は15-15-11-8。 3角で順位を上げてはならぬ、ってわけじゃないんだ。2角直後にちょいちょいっと動くのは決して悪くない。ただそれが登坂まで残ってしまうと消耗してしまうわけで、馬のスピードはそんな簡単に落ちないから上のナリタルナパークみたいに2角時点で少し上がるくらいの調整がベストだろう。向こう正面に入るまではヌルヌルと前へ進むイメージを忘れない方がいいのだわ。 だから忙しい。ゲートを出してから前に置いていかれぬ様にジワジワと馬の緊張を途切れさせずに動かさなきゃならない。2角直後にフワッと落ち着かせて登坂を行き、直後の下りから気合をつけてスーッと音もなく上がっていく。そのまま行くと初開催のエアグルーヴみたいにかっ飛んでいくから、少し手綱を緩めて息を入れながらコーナーワークを意識。そしてもう一回スパート。 忙しいのなんのって・・・。中山2000mだったらポンッと出してスローに落として向こう正面でフワフワとスパートをかけていく、それだけよ。平坦だから選択肢は山ほどあるし、その中で分岐もまた多い。正答があまりにも多すぎるレースだ。 今年ならクイーンミラーグロとかさ。あれなんて中山の登坂をグガガガッて登って勝っているわけで、あのくらいのスタミナなら向こう正面の登坂を機に勝負を仕掛けても良さそうなものよ。最も正しい選択ではないけれども馬の特性を考えたら差し脚よりスタミナを信頼してもいい。Hoist the Flagクロスの馬を牝馬戦でのんびり構えるなんて勿体無いんじゃないかな。 そういやファレノプシス桜花賞は登坂をグイグイ登って差し切ったっけ。反応が遅れるから早めに手綱を動かしたというより、この馬なら登坂途中から動かしてももつと見たのかも。 この手法を最も忠実に最もやり過ぎている騎手は福永だね。本当にこの男は勤勉なくせに加減ってものを知らない。愛されキャラだねぇ、本当に、本当に。
福永祐一秋華賞の通過順位
97年メイプルシロップ6-8-11-123番人気8着35秒6
98年マルカコマチ7-9-9-69番人気6着36秒4
99年フサイチエアデール11-10-4-33番人気5着37秒0
00年ニホンピロスワン14-14-14-143番人気11着34秒1
02年トシザダンサー8-8-7-78番人気5着35秒2
03年ピースオブワールド 5-5-6-33番人気4着35秒2
04年インゴット6-6-7-79番人気15着36秒6
05年ラインクラフト5-5-4-2 1番人気2着34秒7(3番目)
06年フサイチパンドラ8-8-8-64番人気3着34秒6(2番目)
07年ローブデコルテ9-9-10-104番人気10着33秒9
08年ムードインディゴ13-12-11-118番人気2着34秒4(2番目)
09年ジェルミナル10-12-13-105番人気6着34秒7
10年エーシンリターンズ  4-4-4-49番人気15着35秒4
11年マルセリーナ15-16-16-173番人気7着34秒6(3番目)
12年メイショウスザンナ2-2-3-314番人気18着35秒7
13年サクラプレジール13-13-14-1513番人気17着35秒1
14年レッドリヴェール13-13-14-122番人気6着34秒4
人気の裏切りっぷりがすごい。ラインクラフトが絶妙だねぇ。1.8倍という絶大人気を背負って負けてしまうという。溜め癖のある福永であまり上がりを使わせていないというのも面白いデータ。つまり秋華賞福永祐一は「勝てる位置」で競馬をしているわけでもあるのよねぇ。 90年代は置いて行かれた感じのポジションの下がり方で、フサイチエアデールで少し押し上げるイメージを持ったと見える。ピースオブワールドで下りで一気に脚を使わせようという試みがあって、それからは3角落とし4角上がりの形が増えているな。 関東騎手が3角前で出入りするからポジションはどうしても流動的になるんだけれど、その中で安定し始めたのも2000年代の特徴だね。 こういう競馬をしていたら少なからず穴馬を持ってきそうなもんなんだけどね。ムードインディゴが一番上手かったんだけれども、4角で外へ持ちだしてはならないのが京都2000mにおけるもう一つのミソ。これは横綱相撲なのよ。 なぜかっていうと、4角でコーナーワークと溜めを意識しないと下りの勢いで想像以上に外へかっ飛んでいくわ脚はもたないわで良いことが何もない。武豊岩田康誠はそこでは手がチョイチョイと少ししか動かさないし、外側を追走していても膨れてくる奴の内を突くべく虎視眈々と狙っている。戦績が示す通りに彼らの戦法こそスタンダードだ。 開幕2週目という馬場でありながら差し追い込み勢が優位なのはその辺りだね。逃げ先行だと後半で脚の使い勝手があまりにも悪い。登坂→下りが短い区間で行われるからG1で速めのペースを刻んでしまうとどうしてもね。 もしエイシンヒカリみたいに逃げられるならいいのだけれど。二の脚いらずの一の脚でサッと逃げを決めて緩々ととラップを刻めばまるで無理のない楽勝ペースが出来上がる。向こう正面で更に緩めて下りを機に4角含みの緩々スパート・・・エイシンヒカリほど武豊の緩さに調教された馬もいまい。 Mahmoud様のツイッターから参照させていただけば、毎日王冠エイシンヒカリのラップ(暫定版)は12.9-11.4-11.7-11.9-12.0-11.7-11.2-11.3-11.5。道中の最大ラップ差は0秒8だ。スローペースを作ってこれほど上下差のない逃げをうつ騎手はそういないぜ。 [fin]