砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ガチンコマイル製造機と驚愕の高速馬場

紫苑Sは2分を切る速い時計でありながらも限界を攻めた様な展開ではなかった。むしろスローからの末脚勝負であり、それだけにディアドラの強さが際立った一戦。

土曜の中山は総じてスロー展開であったが、馬場状態を読んだか読まなかったか、12Rでは追い込み馬ネバーリグレットが逃げて強い押し切りを見せた。ラップは12.3-10.6-11.1-11.4-11.2-11.4。中山外のラップなのでおそらく過信はできない。

ただ前傾ラップであったことは確かであり、2勝馬が10.6を含む前3F34秒で逃げて1分8秒きっかしで逃げ切れる馬場だった。それも終いに大きな衰えもなく。

芝レースは6回あったが、終い1F目と2F目の差が大きく合ったレースはなく、終い1Fの方が速く計測されたレースは3回、同ラップだったのが紫苑Sの1回、コンマ1秒だけ終い1Fが遅かったレースが1回、コンマ2秒遅かったのが1回。とにもかくにも前が止まらない展開だった。

500万下クラスで上記のラップでミドルペースであったわけであり、これでマルターズアポジーが淀みなく逃げたらいったいどうなってしまうのか・・・というところまではレース前にたどり着かなかった。

高速なのだ、とファンや騎手たちが実感したのは日曜1R2歳未勝利の後。2番人気レトリックがウチパクを背に12.0-10.5-11.1-11.9-11.7-12.1の1分9秒3で押し切ったのだ。この時期の2歳未勝利でこの時計は破格であろう。それも逃げ切りでの時計である。

その後は「新馬はともかく出来上がっている馬なら何をしても構わない」という意識で凄いことになってしまった。思い切った奴が一等賞、というくらいに各騎手が押し切り戦術サーカス開催。2Rで大知とツムツムが残り5Fから一気にまくって3角先頭策で結果を出したのもきっかけだっただろう。

5Rは新馬戦なので土曜と同じ様な展開だが8Rの500万下ではツムツムが逃げからの5Fスパートをぶちかまして2着に残した。木更津特別は横山息子が12秒に落とさぬ淀みのない逃げを展開。1番人気に乗っていた親父がその流れを殿から華麗に抜き去り親子でワンツー。

そして京成杯AH、メインレース。こうなったらもう武士沢を止めるものはなく、1000m通過57秒1で後続を振り切る高速の流れを展開。だが流石にこれを押し切る器はない・・・というのとは違うかな。窮屈な4角と登坂がなかったらノンストップで押し切っていた。

もちろん、下りっぱなしの直線千六なんてこの世にはないが。

ただ、こういった高速の小回り戦で物を言うのはBold Rulerなのだということを知らしめられた。俺、ステイゴールド産駒としてグランシルクを褒めるつもりはないけれど、緊張と緩和におけるNDの在り方と、Bold Rulerの表現の仕方は最高級だと思う。

ガリバルディはなぁ・・・5歳のときだったらあと1馬身詰められたよ。ダノンリバティ程度の馬をギリギリ差し切るという様な配合ではない。登坂の時にもう差し切っていて、あとはグランシルクを猛追するばかり、という画を描ける馬だ。

この類のラップを刻むとは思ったんだが最後方にまで脚を使わせる展開になるとは思いもしない。その上でまくったロベルトボールドルーラーが登坂込みの終い1Fを11秒4で踏破するとは。

なんだあの末脚。ショウナンパンドラか。(ゴールデンサッシュフレンチデピュティが同じ)

あるいは、「外にいる限りは無敵」というRoberto地味た部分も見せたかと。ライスシャワーナリタブライアンマヤノトップガンも、いつも彼らは外にいた。ディーマジェスティもそうであるし、あるいはゴールドシップもそうだろう。あとシンボリクリスエスもそう。

こう・・・まくって競り落とした瞬間にRobertoってスイッチが入るよね。でもその瞬間に内の馬がスルリと伸びたら「あ、俺のレースじゃないんだぁ」って沈んでいく。Robertoの恐ろしさはスイッチが入ったあとでも脚を止めないところであり、春天で見せたマヤノトップガンの差し切りを見ると実感を強くする。

ピッチが一段階上がる様なものではなく、限界の脚で最強を証明させてあげると直線でも脚が持続するんだよね。最強ドンドコ最強ドンドコ、俺は最強ドンドコ。

ゴールドシップの気性ってRoberto由来だと思う。あの緩さでRoberto気性とか失敗作以外の何でもないんだけれども、三冠ニックスによるメジロマックイーンの表現を行ったときには「ライスシャワーメジロマックイーン」という春天的スタミナを背景としてしまう。

春天最強馬由来のスタミナでRoberto気性を発揮するとか変態的過ぎてやばい。

あと、俺は97年の春天杉本清アナより刈屋富士雄アナの方が好き。

ごく平凡な盛り上がりを見せるアナウンサーの声を更にもう一つ上のギアに上げてしまうマヤノトップガンの末脚。競馬実況としては杉本アナの方が上なんだろうけども、スポーツ実況として見るなら刈屋アナの方が面白い。

あと親父が「ヨシッ、ヨシッ」って言ってるのも評価高い。

あと、あと

ステファノスとアドマイヤミヤビに共通するあの大外ドンドコはRoberto的なのかな。クロフネはあんまりRobertoのまくり脚は伝えないけれど、ソフトなRoberto気性は伝える様子。もしかするとBurghclere-ウインドインハーヘアでそれを増幅する仕掛けがあるのかもしれない。

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