砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

有馬記念展望

ダービーと有馬記念はやはり1年を感じさせる。「横ノリの執念が実ったワンアンドオンリーのダービーから1年」とか「ジェンティルドンナの鋭い勝ちきりから1年」とか。個人としてはヴィクトリアマイルという歴史の浅いG1マイルがこれに加わるのだが、これはヴィルシーナ好きだからだろう。

また有馬記念は総決算という意味合いがとても強い。今年が終わるのだと・・・。

モチジュン先生が書かれていた様に有馬記念にフロックがない。強い馬がきちんと勝つのが有馬記念であって、例えスローであっても・・・弩級のスローであってもその道のプロが勝つのが有馬記念だ。ジャイアントキリングを起こしてもその馬は必ず来年に結果を出すし、ハーツクライの様に種牡馬としても結果を出す馬も多い。マツリダゴッホも産駒の調子が良く今年はロードクエストって期待馬がいる。矛盾を抱えた血統では勝てないのが有馬記念とも言えるかと。

だから「ハマれば強い」というレベルでは足りず、「ハマれば現役最強」と言えなければ有馬記念でアタマから買う価値がない。スペシャルウィークブエナビスタ親子がどんなにきっちり届かせてもその上を行かれるレースでもある。

Nijinskyというのは良くも悪くもスピードの上下が緩やかであり、一端トップスピードに乗れば止まらない反面、登坂を登り切った後の再加速が鈍いのもまた事実である。スペシャルウィークブエナビスタが勝てなかったのはそこに起因していて、グラスワンダーヴィクトワールピサドリームジャーニーも登ってからもう一度グッとハナ先が伸びる。届いたはずなのに届かないというのは必然でもあった。

昨年のレースを見ても登坂後の一伸びが秀逸であるのはジェンティルドンナトゥザワールドジャスタウェイラストインパクトで、比較的ピッチで走る馬が多いのである。ラスパクとジャスタはHyperion的な中庸ストライドだが。

だからこんなこと言うのもなんだがゴールドシップの勝ちは事故みたいなもので、あれは馬場の荒れ方とかメンツの貧弱さとか色々な要因が重なった結果だろう。エイシンフラッシュが勝ってもおかしくないはずだったんだがねぇ・・・流石に馬場の悪いところ走らされすぎ。元々そんなに道悪は得意じゃない馬だから厳しかったわ。

なので残り100mの切れを求めて完歩の狭い馬を買うのがベストだろう。まぁそれまでに勝負が決まることもあるんだが・・・ハーツクライディープインパクトだったら完歩はディープの方が小さいし、最後の猛追が届かなかったのは古馬と3歳馬で後駆の強さが違ったからだろう。登坂時の伸びが段違いだった。

ディープインパクト自体がそもそも晩成血統であり、古馬を・・・それもハーツクライという永遠のライバルを相手にしてしまうと格で圧倒することは難しい。サンデー直仔中トップクラスのスタミナお化け(全盛期)を中山2500mで迎え撃つとなれば日本競馬史上最強切れ(発展途上)では分が悪かった。

では今年のメンツはどうだろう・・・ってことになるんだが。

リアファルが優勢にも思えるがロブロイのミスプロクロスの緩さがどう出るかだな。ホント、これがタップダンスシチーみたいなRibotだったら容赦なく本命だったのだけれども。ここがベストの舞台とは言いづらいだけに買い切れない。この靭やかな動きで残り100mを突き放せるかねぇ。

キタサンブラックサクラユタカオー×Lyphardクロスで胴が余り動かない燃費の良い走りが特徴で、リアファルよりじったりと動くからいささか難しいところ。レコード決着となったダービーで沈んでいったのはマイラーだからではなくステイヤーだったからであるし、また内回りで反応するというより外回りで反応するイメージが強い。これもまたどちらかと言えば阪神内回りの馬だろう。

リアファルキタサンブラックも、あるいはラブリーデイラストインパクトサウンズオブアースも。これらは俊敏に反応はしても突き放すほどに鋭くは伸びない。外回りで「お前いくらなんでもトップスピードに乗るの早すぎだよ」と突っ込みたくなる馬じゃない。尖ってない。

逆方向に尖った奴はゴールドシップなりルージュバックなりと豊富に揃っているんだがねぇ。これらの中で一番機動力があるのはマリアライトになるんだが・・・なんとも競馬のしづらい枠に入ってしまったよねぇ。

オールカマーっていうのは外回りだけあって残り100mの前に・・・いや200mで決着が突くレースで、アレを大外ぶん回しで5着に差し込んだ内容は素晴らしいもの。母父エルコンの牝馬でよくぞあそこまで追い込んだ。

距離が伸びる分とオールカマーの結果の分、蛯名は馬群を割りにくるだろうが相手関係から最内から割りに行きたいところだろう。大外枠に加えて骨っぽい牡馬が引っ張る展開だと厳しいものがある。最後方から展開することは考えられるし、それで勝てるほど有馬記念は甘くない。3歳のディープが馬群を割っていたら、というくらいに意味の分からないIFでも勝てるかどうか。

それだけにパンドラが怖かった。池添の機動力を使わない馬群割が一番怖かった。ジャパンカップで見せた非凡過ぎる持続切れ・・・持続力を背景にそこからもう一段上のギアに入れられる牝馬は強いからな。それが馬群を割って抜けてきたら・・・それもステゴ牝系のPretty Polly3代弄りの馬ともなると怖くて怖くて。「パンドラ最強伝説」とタイトル付けて予想を決定しかねないくらいに。

キャットコインを「邪道を進むステゴ娘」としたものだが、それの圧倒的上位互換がショウナンパンドラだよなぁ。まぁ、こっちはディープの娘なんだけどー。

やっぱり悩ましいのはアドマイヤドンの赤帽子2頭だわな。今秋のデウスは結果が出ていないが内容が内容であるし血統面からもここからが本番の馬だ。2000mは短い、2400mは強気の競馬からの不利、ウインバリアシオン日経賞でちぎった馬なのだからここで期待してしまうのは仕方がない。

アルバートアルバート・・・。アルバートドックだったならどれだけ悩まずにすんだものかは。

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