砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

関屋記念登録馬チェック

かける時間もないので素早く手早く簡潔に。 アルマディヴァン~夏のパワー瞬発  メジロベイリーメジロライアンメジロ配合。やっていることはシーザリオに近いがノーザンテーストRivermanとSadler's Wellsで大きな差がある。分かりやすいスピード源はないがLa TroienneとRomanを配合の幹としてパワー加速型の1400m馬に出た。  中山や中京などの急坂コースを好み、勝ちパターンはスローからの瞬発戦。平坦だと切れ負けする傾向にあり、昨年の関屋記念でも4着に好走しているがパワーのいる馬場でないとこれほどは走らない。 カレンケカリーナ~器用貧乏な好位馬  ハーツクライLyphardクロス。4分の3姉にアカンサスがあり、近親にはジャイアントレッカーがある牝系。趣の異なる枝葉においてはA.P. IndyKingmamboと名血統を連ねたホットマンボがあり、この娘にハーツクライの差し乙女であるコウエイオトメがある。  Promised Landクロスのハーツクライウインバリアシオンを筆頭に差し馬として長じる傾向にあり、それはコウエイオトメも同様だった。しかし本馬の場合はLyphardクロスも発生しているために前受けする俊敏性を持ち、更に母父がUnbridled's Songであるために平坦ベターの馬に出た。ハーツクライ産駒として色んな要素に手を出した配合形。  位置も取れる、差し脚も効く、持続戦もこなす、という玉虫の展開巧者にも思えるが、いづれかに特化したハーツクライではないために伏兵的に飛んでくるしか能が無い。左回りならどこでもそれなりに走るので、上位陣が枠や展開などの致命的な不利を受けた際にベストパフォーマンスを叩き出せるかどうか。 クラリティスカイズブいのに馬群嫌い  NHKマイルC勝ちのG1馬。ここ数戦は精彩を欠く走りを続けている。クロフネのLa Troienne基幹配合なのでベストを叩き出すのは夏であることに間違いはなく、糞暑い日本海側の新潟で一変を期待するのも悪くない。  しかしこういった先行馬が潰れグセを持つと扱いが難しくなる。横ノリは後方の追い出しを待つ様な先行の仕方をするので馬の精神疲労が大きくなりがちである。横ノリはホエールキャプチャでも同じ潰し方をしている常習犯だ。こうなると後方から追い抜く喜びを新しく刷り込むことしか人間には出来ない。ホエールキャプチャヴィルシーナも一旦は差し競馬に転向してG1勝ち負け級に戻ってきたのだ。  あるいは粘り腰を活かした早め先頭の突き抜けパターンに持っていくしかなく、これが小倉記念の高配当を演出したクランモンタナのパターン。馬群を怖がるならば馬群に追われる恐怖で走らせるのも一つである。  フレンチデピュティMiswakiを経由したナスキロラトロのクロスなので外回りベター。それもしぶとく粘るクロフネの特性を活かした東京が・・・まぁG1を勝った舞台だから当然ちゃ当然。クロフネが新潟で俊敏に動くイメージもなく、もし夏馬だったならば中京を走るしか手がなくなる。 クリノタカラチャン~辛抱たまらんNTナスペリオン  ナスペリオン基調のアドコジ✕マンカフェ。ノーザンテーストクロスの小柄な牝馬でアドコジ由来の短距離力が魅力。トライバルチーフテスコボーイを経由したPrincely Giftクロスを持つので平坦ベターである。  ここ数戦は2桁着を連続しているが今春の山城Sではコンマ4秒差で走っている。やはり終いが甘くなるのは同じだが短距離の方が気持ちが切れないのかもしれない。またイスラボニータと同じように大きいストライドを気性で回転させる性質であるようにも見える。北村友一藤岡佑介に騎乗して欲しい一頭。(関東馬だけど) ケントオー~Nijinskyの短距離馬  ダンスインザダークトウカイテイオーの好配合馬。ダンスインザダークNasrullahのスピードを活かして中距離~短距離馬を出す種牡馬であり、トウカイテイオーはMy Babu✕Royal Chager✕Nasrullahをよく伝える。実はよく出来た配合である。  そして当然ダンスインザダークの短距離馬であるから超一流ではない。非Nasrullahダンシングキイを使った緊張と緩和が完璧に決まるだけの配合形であるためだ。スピード源である母がどれほど優れたNasrullahスピードを伝えるかが鍵で、クラレントダークシャドウザレマも名繁殖の母を持つ点を同じくする。究極的には「ダンスインザダークを底力として母を表現する」ということと言える。  Nijinskyを使ってスピードを補完する手もある。Nijinskyノーザンテーストツルマルボーイを筆頭にオーソドックスな手段で、ジョリーダンスやザレマののNijinskyThe Minstrel繁殖牝馬としての価値を大幅に向上させる妙手。NijinskyMr. Prospectorも活躍馬多数であり、NashuaがいいならNantallahのSpecialも使える。  本馬の場合はNijinskyRed Godというオーソドックスながらもダンスインザダークに有用なのかが分からない手法を用いているところがユニークである。Sir Ivorが使えるならRed Godも使えるはずで、逆ニックスであったりはしないと思う。  さて、ここで中京記念の結果を見てみよう。ガリバルディはともかくピークトラム(母父スペシャルウィーク)、ケントオー(父ダンスインザダーク)、ダンスアミーガ(母母ダンスパートナー)と2着から6着までがNijinsky持ちであることが分かる。  それらを制したガリバルディとは何なのかという話である。上記にあるザレマの4分の3弟であることは周知の事だろう。Nijinskyのスピードを活かすということはNijinskyと類似したスピード血統を用意するということと同じで、実際にザレマを一流馬としたのはNijinskyThe Minstrelのニアリークロスが大きな要因である。また同時に、母シェンクはダンスインザダークを許容する優れたスピード繁殖ということの証明とも言える。そしてダンスインザダークを相手に短距離馬を輩出することの出来る主張の強い繁殖であろうことも想像できる。  中京記念Nijinskyの天下だった。だが、ダラダラと脚を伸ばし続けるNijinskyたちをその斜め半歩先(Mr. ProspectorThe Minstrel)を行ったディープ産駒が平坦部分で差しきってしまった。  ケントオーは典型的なダンスインザダーク産駒であるから平坦がベター。けれどマイルは少し長いからどこかでマージンを得なければ勝負にならない。前走の中京記念は追い込むことでそれを解決したが勝ち負けに絡むこと敵わなかった。  なのでスローで前受けすることが必要条件で、可能であれば道悪、叶うならば前が手薄であって欲しい。クラレントレッドスパーダは自分で展開を作れるから強かったな。 サトノギャラント~ピッチの追い込み名血  横ノリとヒロシが鍛え上げた名血の凡馬。母は男勝りの短距離馬スティンガーで、近親には数えるのも面倒な日本の名馬たちが列をなす。社台の誇る名血がスティンガーであり、その母レガシーオブストレングスである。  だが凡馬だ。これはSeattle SlewとChieftainを介するボルキロクロスが原因で、シンボリクリスエスのツボはそこではない。ボリクリさんはNashua≒NantallahやTri Argo≒BuckpasserKris S.Habitatなどを望まれている。Seattle SlewなんぞはHail to Reasonをサンデー経由でクロスするだけで十分である。  配合妙味が薄い名血の凡馬サトノギャラントだが、二人の名手が実に我慢強く末脚を使わせているおかげっでソコソコに勝負になっている。この二人はギリギリ届く位置取りから、ギリギリ届くタイミングまで追い出しを我慢し、そしてそこから優れた瞬発力を発揮させることでOP戦を勝ち負けしてきたのである。アイルランドTなど勝ちに行く騎乗も見られるが、基本的には勝ち負け度外視とも受け取れる博打追い込みで人気に応えてきたのだ。この馬を乗りこなした事実が北村宏司という騎手の素晴らしさを物語る。  新潟は鬼であるが高速馬場であることが条件。前のペースが大きく狂っていなければ難しい。 ストーミーシー~決め打ちのアドマイヤムーン  期待の3歳馬。アドマイヤムーンとモガミの組み合わせはハクサンムーンと同じ。そして見るファーム✕エダテルはミナレットと同じ。立派にNZTで穴をあけている。  アドマイヤムーン産駒はマイケイティーズというHyperion祭りを異系としてNorthern Dancerクロスを許容する。ディープなどより1代だけサンデーが遠い分だけNatalma≒Cosmahが重要で、ほとんどの馬がNorthern Dancerを3本連ねて賞金を稼いでいる。  しかしアルキメデスオースミムーンは例外で、オースミムーンは障害だから更に例外で。アルキメデスはMr. Prospector3*4という強いクロスを持っている。そしてその経由であるSeeking the Goldアドマイヤムーンに対する最高の血統だ。  そのあたりを語るのはケントオーの二の舞いになるのでやめる。とりあえずNijinskyのクロスをMr. Prospectorかますことは悪くなく、母リーベストラウムの相似配合の綺麗さにおいても素晴らしいと評価できる。なかなかの好配合・・・と締める。  傷らしい傷もなく、母父ゼンノエルシドとか地味な血統を上手に使っている。DasturとHyperionPrincely Giftを共通とするDominion≒テスコボーイとか実にあざとい。テスコボーイもまたアドマイヤムーンと同じ要素だな。  基本としてアドマイヤムーンってのはキタサンブラックと似たようなもので走っていると言っていいだろう。だから位置取り上手く展開して自分なりの脚を使って穴をあけるもので、成功例に縛られてしまうと旨味がなくなる。まぁハクサンムーンは上手い位置取りってのがおかしな領域にあるんだがね・・・。  ストーミーシーのそれがどこであるか・・・これもやはり前目である様子があるんだよね。ハクサンムーンと同じように行ってから一息入れて、もう一度脚を使うタイプに思える。しかもこの馬はマイルでも長いタイプだな。おそらくスプリント寄りの千四馬に育つのではないか。おそらく今もそんな感じだと思う。  マイル重賞で馬券になるなら中山と中京だろう。新潟はもう少し長い脚を使えるタイプの方がいい。スプリントを走るなら阪神がベストで、次点に京都ってところか。 何を以って簡潔だというのか [fin]