砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

大野将平の柔道がちょっと面白い

73kg級と言ったら結構靭やかな動きをするクラスで、決勝の相手であったオルジョフも搦め手を突くのが好きそうなタイプ。現代の柔道はポイント制みたいなものであるから、どうにか相手を転ばしてやろう、みたいなしょうもない柔道ばかり見ることになる。

けれど大野将平は最初っから決め打ちの柔道。腰を合わせりゃどうとでも料理出来るんだよ、と一貫して特攻の選択を取っていた。そう、特攻なのだ。なのに大野は当たり前の様に懐へ入っていく。

大野が上手いってのもあるのだろうけれども、五輪の舞台で圧倒的な組手を誇るというのは想像しがたい。素人目線でもそのあたりで圧倒しているようには見えない。けれど大野は完封勝利を遂げた。なんでだ、と。

おそらくこれは決め手の違いだろう。オルジョフはオルジョフで懐に呼び込んだ先に戦術を持っていて、大野も大野で懐へ潜り込んだ先に戦術を持っている。そこから先は「どう決めさせないか、どう決めるか」の世界。

大野の決め手の強さはえげつないものだった。あの体勢から内股をすかすしさ、一本を決めたあれだって変なことになってるしさ。腰が入った瞬間に逃げた相手の左足を追って内股には行かず、軸に残った右足を刈り取ってしまう。なぜ右足を残したまま相手の体を崩せるのか・・・。

さらにオルジョフは腰が入った時に釣り手を外そうとしてるのに大野の引き手はビクともしなかった。あの引手のホールドっぷりも化物。五輪決勝の舞台であれが振りほどけないのは圧倒的すぎる。

まるでジャスタウェイの様な男だ。本領へ巻き込んでしまえば粘りの効いた決め手で完勝してしまう。大野を倒すなら・・・組まないことだろうな。どうにかしてうっちゃるしかない。

けれど今のルールって確か脚をすくえないんだものな。

うーん、こういう柔道の方が見ていて楽しいのは確かだよな。けれど対抗策に乏しいというのもまたつまらない話である。剛を制する柔の姿が思いつかない。どうやって大野将平の間隙を突くべきだろうか。

それともこれを上回る剛があるのだろうか。2000mのハイペース条件から離れようとしないジャスタウェイを上回るってどんな化物?

[fin]