砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

出走馬チェックその1 エリ女予想

2枠2番マリアライト 蛯名正義

 ベストは道悪小回りの持続戦。Ribotスタミナの名繁殖クリソプレーズの娘という観点で見たほうが正しく、あまりディープインパクト牝馬らしくない。ウインドインハーヘアの影響力が強いのでブラックタイド的な雰囲気もある。

 Halo≒Sir Ivorを弄っていないわけではないが、RivermanSeattle Slewでは切れっぽい感じはしない。また出走した5頭の産駒のうち、G1級が3頭という驚異的な名繁殖クリソプレーズの特徴がパワー&スタミナである点を考えても間違いないところかと。マリアライトは切れない。

 京都二千二の良馬場が舞台となると怪しさが目立つ。オールカマーで敗退している様に切れ負けの仕方がわりと深刻なものでもある。適距離であることやピッチ走法であることを考えれば大負けすることはないだろうし、また内枠のエビショーであるなら馬群を捌くことは難しくない。馬券に絡めるのはやぶさかでないが、やはり2着3着ではないだろうか。

2枠3番クイーンズリング ミルコ・デムーロ

 マンハッタンカフェDanzigはダートや短距離のパワーを伝えがちで、これはHeliopolisの継続が根拠なのでAureoleや短距離HyperionTudor Minstrelをも巻き込む大事件へ発展する。そしてその類のスピードはLavendulaへ脈絡するので、大体の仕組みはGay Missileへ流れ込む。

 こなしてきた距離に対しては脚長で懐が深く、距離延長を歓迎しそうな馬体になりがちなのが「DanzigRiverman」の仕組み。Hyperionのスピードで走るのでワンペースな展開を好み、切れっぽい脚も使えるがスローマストで距離は千八まで。距離適性はおおよそスマートレイアーと同じくらいだろう。

 「半端者のG3最強ハーツクライマイラー」たるマジックタイムを京都千四で退けたのは中距離馬の仕業ではなく、Tudor MinstrelでDanzi✕Lyphardを回転させる短距離的な仕組みがオンになっているのだろう。そして例によってRivermanの「馬群嫌いじゃないけど一人が好き」という気性もオンになっている。馬群から突き抜けるタイプの馬ではない。

 距離延長のミルコだから後方から差しにまわる可能性もある。しかしそれでは前哨戦の勝ち方はなんだったのかって話にもなる。ミルコが最も手応えを感じたのは秋華賞のときだろうし、外も届くエリ女の舞台であれば差しに構える疑念も拭いきれない。

 まぁいずれにしても買うつもりはないのだけれど。

3枠4番ヒルノマテーラ 四位洋文

 ブロードアピールばりの追い込みを見せているマンカフェ産駒。ナスキロ柔さはConcern由来だがCherokee Rose=HowのPrincequilloを使用した珍しいタイプ。他にはChieftainなどがある。

 配合自体は「Hail to Reasonのスタミナを表現する」ことがまず第一目標で、第二目標に「La TroienneとRibotの共存」があり、第三には「Hyperionを底力として活用する」というものだろう。それらの目標を達成した結果にあったのは「Canterburry Pirglim✕Gallinule✕GainsboroughTourbillon」だ。

 しぶとくもジリジリと伸びるナスキロの脚・・・しかも距離延長も完璧にこなすというマンカフェ娘にしては珍しいタイプ。欧州の主要血統を使わずにここまでスタミナの脚を表現したことがまず褒められるべきだろうし、またそのたぐいの脚でクラリティシチーを撫で切ったことも評価したい。

 この馬に「ヒルノ」の冠名が付いていることもそれらしく思う。昆貢調教師が見出したのか蛭川正文オーナーが見出したのかは分からないが、正しくこのコンビが走らせるのに適切な馬だ。四位洋文の起用も心憎い。

 もし距離が二千四まで伸びるなら内で溜める競馬も良いだろうし、ぜひ日経新春杯に出て欲しい。今回は二千二、それも牝馬戦なので外に回していく手しかなく、しかもこの内枠に入っては追い込むのも苦労がある。悪い枠を引いてしまったかな。

 ブロードアピールよろしく前が持続戦となったところをビュンビュン差し切る馬なので勝ち味は薄いかと。前走はメンツが弱いわけではないがそれぞれがセカンドベストの展開で争った感が強い。その中で最もハマったのがこの馬であろうし、やや棚ぼただったかなぁ。

 買うならもう1F伸びたときであって、それこそ日経新春杯あたりかと。それでも買えてヒモまでであり、本命視するのであれば前走くらいのレベルが一杯かな。配合は褒めるところが多いし、遺伝の仕方を間違えなければ名繁殖になってくれそう。だが競走馬として一線級と見る気にはなれない。

3枠5番メイショウマンボ 池添謙一

 ベストは東京マイルであるし気の悪さも改善される気配もない。さらに言えばそのたぐいの弱点を克服するなら池添謙一は不適切である。池添大好きな俺からしたら池添の無駄遣いと言うべきで、なんとも面白くない采配である。メイショウマンボ武幸四郎と心中してこそ美しく、そしてその仔を以って幸四郎をG1トレーナーへ導き、それで彼と彼女の関係は完遂されるのだ。

 でもこれが馬券になってもいいのだわ。池添ファンの俺は喜びのあまり30cmほど飛び上がり、血統データが増えることでキーボードを叩く指にも炎症性の熱がこもる。

4枠6番プロレタリアト。 杉原誠人

 

 母父キンカメはハーツクライ産駒として悪くないもの。ただ本馬の場合はナスキロ血脈まみれであることから変な靭やかさが身についてしまっている。こうなるとホームストレッチ一杯を使って逃げ先行するか、追い込むかの二択しかないから牝馬だと競馬はしづらいだろう。配合と実績の通りに距離は長い方がいい。

 G1ではエリ女がベストなのだろうが、これではやや距離が足りないかも。またハーツクライ産駒ということが京都G1では問題であるのだし、力関係を含めて本命視するのは難しい。ベストの舞台は特に思いつかないが鞍上が上手くやれば全てのコースに適応出来るのではないか。それだけに一発を予感させない。

 母アガルタは出走馬3頭が勝ち上がり、また長姉である本馬、長兄であるマイネルオフィールが4勝を挙げているのだから繁殖実績は優秀。次兄クラウンマグマも晩成気味に1勝を挙げたばかりなのでこれからに期待出来る。

 非Hyperionブロードアピールに対してキンカメ、ハーツと配したのはバラの一族を感じさせる配合である。けれどナスキロ過多の傾向は間違いなくあるし、個人的にはIn Realityを活かした配合を目指したほうが格好がつくと思う。キンカメとのニックスを持つダンスインザダークなんかの仔も見てみたい。

値落ちした

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