砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

有馬記念登録馬チェック

アドマイヤデウス~ハイペースの

 今レースにおける1頭目アドマイヤドン産駒。基本はTom FoolHyperionで持続の鬼なのだが本馬の場合は母母アドマイヤラピスのFair Trial&Hyperionの影響によって加速の俊敏にもアドバンテージがある。ただ中長距離馬としてのスタミナには欠けるところがあってスローできっちりと折り合う感じはしない。前半はある程度流れた方が競馬がしやすいタイプであって、ベスト条件は有馬というより宝塚のイメージかも。秋天に挑むくせに宝塚には挑まない不思議。

 有馬記念はちょっと馬場が重いからペースダウンが早い。それだけに位置取りが難しいし折り合いにも難がある。岩田はペースが流れた時に上手く展開し、やや後出し気味に瞬間の脚を使わせる・・・という騎乗が持ち味。ハマった時の爆発力はG1級なのだが、それがG1で発揮されたことはない。

アルバートBold Ruler体質のステイヤー

 2頭目アドマイヤドン産駒。柔らかく動くピッチ走法で長距離のスタミナが強い。

 Halo≒Red God×Nijinsky×Tom Foolというダンスインザダークのツボを抑えた配合を支えるのはHyperion系&Nasrullahの緊張と緩和とMr. Prospector系のスピード→スタミナの変遷だ。よく出来た配合だからメルボルンカップに挑戦して欲しいものだけど、ベターな条件でも一発ぶちかまさないと大物感が薄い。

 馬体重の上限が激しいことから使い減りのするタイプである様子。今年は未だ4戦しか使っておらずピークを迎えた5歳馬としては落ち着いたレース選び。ステイヤーズSを二連覇した以外は好走に留まるが戦った相手は一流どころだけで、あまり空き巣を行わないところに陣営の強気が伺える。ていうか5歳になっても馬体が安定しないのは怖いわ。

 ステイヤー気質なおかげでトニービン持ちのわりには本格化が筋肉質でない。これは全く以って理由は謎なのだが体質がどうもBold Ruler的な感じで、これはまぁアンティックヴァリューの遺伝力で納得するしかない。そう言えばダンスインザダークNasrullah系のスピードを表現する名血統でもあった。狙うならば春天ではないかと。

キタサンブラック~柔らかスタミナブラックタイド

 こちらにて

 

ゴールドアクター~日本の誇る素晴らしきDanzig

 どうやら古馬としての本格化は内回りへ特化したらしい。内回りの機動力が上がったと思うのだけれどもオールカマーサトノノブレス相手に接戦とは物足りない内容。ジャパンカップキタサンブラックのペースでイマイチな反応だった。

 ジャパンカップキタサンブラックが最高の流れを掴んで逃げ切ったとは言え、流石にあの長いスパートでサウンズオブアースの差しが2着では物足りない。菊花賞を制した中長距離馬としてこれ以上ない本格化を遂げたにせよ、その流れの中でそれを超越する素質の持ち主が差さないのは勿体無いだろう。もちろんその一点を突いた武豊の神騎乗こそ褒められるべきだが、ジャパンカップという大舞台で他16頭に突かれるべき間隙を持っていたというのは。

 何よりも上がりで逃げ馬に劣るというのがきつい。2400mの適性で大負けしたのだから、もうこれはキタサンブラックの逃げる有馬記念だと本馬はノーチャンスだと考えたほうが良い。鞍上の吉田隼人騎手もそう考えているかも。

 すると分かりやすい逃げ潰しが行われることも考えられて、マルターズアポジーやサムソンズプライドと組む可能性が大。内を抑えて外の逃げ馬を迎えるというかなり消極的な潰し方もあり得る。中山二千五でこれをやられると武豊と言えども術なくしてやられるかもしれない。田辺がビッグアーサーを潰した時と同じやり方だから・・・。

 キタサンブラックに先着するための手段としては上々。しかし人気馬が勝ちに行く手段としてはやや劣るかな。誰かがやらねばならない貧乏くじであるし、他の人気が3歳馬っていうなら地力に頼むしかないかね。負けたら展開が向きませんでした、と。

ムスカテール~晩成の左回り馬

 ジャパンカップならともかく有馬記念で注意することはないかと。

ヤマカツエース~Ameriflora俊敏な中距離馬

 Kingmambo×グラスワンダーメイショウマンボと同じ。本馬はサンデーを引かないことが大きな弱点であり、中距離以上の大舞台で戦うには靭やかさの担保が足りない。キングカメハメハも中距離の靭やかさを出すには有用であるが、それでもサンデーサイレンスは突き抜けた存在だ。この2頭同士が相乗効果を引き出すからこそキンカメサンデーは美しい。

 その分だけ機動力と登坂力に特化しているため登坂小回りで立ち回ることが出来るが、やはりG1のペースになると溜めが足りない。池添のよくやるマーク戦法だと好走しづらいだろう。川田やミルコに乗って欲しい。

サムソンズプライド~メイショウサムソン×ダイナカールのニックス配合馬

 Sadler's Wells直系で母がエルコンサンデーなので中長距離以上が好み。東京二千四は1-3-0-1でダービーの大負け以外は安定している。この条件にたどり着いてからの出世は早かった。ダイナカール牝系だから東京は鬼だろう。

 中山でも安定はしているが1600万下を勝ち切るまでには至らなかった。ここで買うこともない。

サウンズオブアース~ネオユニディキシーでまくってからのSecretariat靭やか

 この惜敗っぷりはステイゴールドだとかとはちょっと違っていて、最近だとパールコードなんかに似ている。先行から流れこんでジワジワと伸びても機動力に差され、靭やかに差し込んでみても靭やか持続の前受けには届かない。決め打ちしづらい脚質と言えてそのあたりはミルコが上手に乗りこなしている。欧州のガチ勢は巧いわ。

 内回りの4角で一呼吸待ってなお突き抜ける機動力ってのはかなりのもの。これが本馬の持ち味なのだけれど、これでG1を勝ちきろうとするなら好展開&好位置が必須。エピファネイアみたいな形が理想だけれども、競走馬の素質としてこのレベルに到達しているわけではない。G2なら勝てると思うが。

 理想は札幌や京都内で先行まくりで突き抜けるパターンだろう。この曖昧な靭やかさが活きるとすればそのあたりだと思う。だがChief's Crownっぽいスタミナを抱えるだけに中長距離できっちりと伸びるあたりが厄介。ただそのスタミナも2400mでいっぱいかと思われて、あまり2500m以上で印を打つ気が起きない。菊花賞日経賞有馬記念と好走歴は多いんだけれども。

マルターズアポジー~Somethingroyal芝適性

 本来はダートでもまくってそうな馬なのだがSir GaylordSecretariatの靭やかさがオンになっているから芝がベストになっている。距離はおおよそマイルから千八あたりで福島2000mは中距離におけるベスト条件。

 Robertoクロスによる機動力≒加速力が武器であるが、それに伴うはずの登坂力はかき消されている。一気の下りを要する中山外回りや、下りからの機動力で立ち回れる京都外回り、この二つがマイルや千八ならベターかな。福島記念を見るとローカルで見たい気持ちが強い。

 最大の魅力は2000m重賞勝ち馬にあるまじきテンの速さ。気性ではなく地の速さでこんな逃げを打てる馬は、少なくとも俺の短い競馬歴の中にはなかった。1F目で逃げを確定させるほどに速く、内枠から不利を受ける間もなく突き抜けるその加速力はホントに魅力的。

 武士沢は非サンデーの名手であり力っぽい馬を御することが得意。重賞では芝での勝鞍が目立つものの、勝ち星の数ならここ数年はダートの方が上。特にダートでの追い込みは旨味あり。サンマルデュークの2桁人気で2連勝(先の師走Sは199倍の15番人気、後のボルックスSは36倍の12番人気)を追い込みで決めたのはすげぇ。芝はたいてい前受けで勝つ。