サトノダイヤモンドの母の良さは、Haloクロスの影にLureっていう良い血統を組み込んでいるところ、それとナスキロ血脈を持たないところ、何よりもDanzigのニックス血統を重ねているところ、いっぱいある。
そしてその中に矛盾がある。ぶっちゃけDanzigとナスキロは相性が良いのだ。それを組み込まずして何がDanzigかと。なんで俺こんなキレてんの?どんだけDanzig好きなの。
ここまで言っておいてなんだけども、Danzigとナスキロは3番目くらいのニックスだ。一番はNative Dancer弄りを行うことで、そこにNasrullah≒Royal Chager≒Mahmoudを絡める。一言で言えばNatalmaをいじるわけだ。Danehillの直裁的なやり方は非推奨であるだろうが、緩和材料さえ揃っていればでかい奴が釣れる。
ということでOrpenはそれをやった。Lureの段階でかなり立派なことをやっているのだが、それに輪をかける徹底ぶり。4分の3Natalma≒Cosmahとかどんだけだ。しかも4分の1があんまり緩和していない。
なのでOrpen自身は競争生活も案外で種牡馬生活も案外だった。ただ強烈な緊張を持っているので新たな緩和材料があればなんとかなる。全ては代を経ることが解決してくれる。
ということでマルペンサの代で緩和を得た。サザンヘイローというアホなことをやるやつがやっぱりいるけれど、4分の1の緩和材料を得た。
すると今代、サトノダイヤモンドの代においてはここをオンにする仕組みが必要となる。そうしなければG1馬が生まれる理屈が立たない。ド緊張部分をオンにしたディープG1馬を俺は認めない。うがー。
全体のNDクロス、Haloクロスの影にある何かがオンになっているはずだ。そしてそれはNDやHaloによってオンになる仕組みである。さて、それはなんだろう・・・というのがこの「サトノダイヤモンド論」の入り口である。
その1において提唱したいのはサトノダイヤモンドとハーツクライの類似性である。
根拠はBusandaとRevokedを影に隠しつつド緊張を主体とした配合であること。オンにしなければならないものが同じなのだから、適性とか色々なあれこれが同じなのではないかと。それがHail to Reasonのスタミナなんじゃないかと。
ハーツクライはここから一気にトモのボリュームがアップして4歳時の有馬記念勝ちへ繋げていく。サトノダイヤモンドは父の影響を感じるトモであり、ディープ産駒のトモはそんなムッキムキにはならない。
ディープのムキムキポイントは結構難解なところがあり、ぶっちゃけディープの早熟説は間違っていないかと思う。あのムキムキの質はBurghclereから通じるもので、可動域を狭くして小さく動く類のやつだ。3歳の頃に見られた靭やかで躍動的なフォームは鳴りを潜め、テコテコ動くタイプの馬になる。
サトノダイヤモンドも3歳春は俊敏にズボッと抜ける様な切れ味を見せていた。それが秋になると不思議なくらいに鳴りを潜めてテコテコぶりがググッとアップ。その集大成が菊花賞の楽勝だ。追っても追ってもフォームは変わることなかった。
ハーツクライも似た特性を持つがこちらのほうが力っぽいフォーム。そのパワーは広いストライドを持つためであって、サトノダイヤモンドのフォームでは必要のないものと言える。ルーラーシップもそうであるが、一度エンジンがかかったらそのストライドが衰えることはないのだよね。
それだけにあの有馬記念で見せた先行策はすんげぇものであって、あのストライドを先行から活かすというのはなかなか考えつかない。そこを矯正したハーツクライの産駒たちでさえそれは難しいのだから。
ジャパンカップのワンアンドオンリーもキタサンブラックのスパートに遅れてしまった。武豊を殺そうとするならばコースの自由を奪うしかない。つまりまくり殺すしかないわけで、反応が鈍いハーツクライ産駒はロングスパートで先の先を取るしかなかった。あの動き出しでもまくり殺すには足りなかったわなぁ・・・。
田辺がキタサンブラック殺しに専念するのであれば差のない2番手から強引に仕掛けるべきだった。けれどそれは「俺もろとも殺っちゃってくれ!」と後方に頼むことと同じで、ワンアンドオンリーもろとも後方の馬がまくり殺してこそキタサンブラック破りが成立する。つまり自身のチャンスを放るわけであるから、レースの公平性からしてあり得ない選択だ。
ワンアンドオンリーの鞍上が「DSC以降もずっと乗り続けた横山典弘」という架空の存在であるなら話が違ってくる。それはもう自負の追走であるわけで、「どんなに戦績が悪かろうと東京二千四なら譲れないんだ」という気持ちからの逃げ馬殺し。それで潰れてしまってもみんな納得するわ。
その点においてサトノダイヤモンドはHaloクロスの恩恵もあって競馬が上手い。壁を作る必要があるくらいに意気込みが強く、また差されることを恐れない豪胆さもある。追い出しをギリギリまで我慢できるから大抵の場合でパフォーマンスが保証される。
けれどハマったときの一発というのがなくて、流れの中でベストを尽くすタイプだから惜敗も目立つだろう。スローの切れ勝負ならマカヒキに、中距離の持続戦ならディーマジェスティに敗れるのは目に見えている。これから古馬を相手にしていくとそれは浮き彫りになっていくだろうな。
大崩れしないだけの底力≒乱ペース耐性≒スタミナがあるけども、それはちょっと逃げ馬に頼むところが大きい。菊花賞の様に逃げの妙味で勝ち切りの見える中長距離戦ならいいけれど、ジャパンカップも有馬記念もそういった乱ペースにはなりづらい。今年は武豊がやってくれそうだけれども。
やはりペースがコロコロ変わるレースの方がこの馬は強くて、ざっくばらんな展開だと良くない。追走能力だけ突き抜けた馬だからなぁ。
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