砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

シュヴァルグランから学ぶこと Haloの年 その3

HaloクロスとHyperion的成長力との両立は無理筋だよ、ということをその1と2で書いた。

その例外というのはMachiavellianとGrolious Songを経由したパターンで、サトノダイヤモンドの母父Orpenがその血を両立した血統。この母父Devil's BagがGrolious Songと全きょうだいで母母Raise the StandardがMachiavelianの母と全姉妹の関係。

ヴィルシーナの4分の3弟という良血が先日の阪神大賞典を勝ったシュヴァルグランで、これは言わずともしれた母父MachiavellianのGrolious Song牝系。したらなにも問題はないのでは・・・という話になる。

だがMachivelianであるのかOrpenであるのかというのは非常に大きな問題であり、それはネオユニの中距離代表産駒であるロジユニヴァースヴィクトワールピサからも伺えること。Mr. ProspectorThe Tetrarch力をなめちゃいけない。

「サンデー✕Mr. ProspectorBuckpasser」という骨っぽく見える配合系から靭やかに躍動したゼンノロブロイが出て、その産駒のミスプロクロスが柔らかく動くのはその証明である。Danzig後継の中でも特に骨っぽい血統のLureとは趣が異なるわけだ。だからOrpenは傷となりうるし、Machiavelianと一緒くたにはしづらい。

またシュヴァルグランWar AdmiralのクロスをBupersとHoist the Flag間でしか行っていない。ココらへんは出たとこ勝負の感が強いのだが・・・サトノダイヤモンドほどに完璧な累代クロスを施しているとほぼ間違いなく表現される特性となるだろう。

別にそれが悪いわけじゃなくて、むしろマルペンサが名繁殖である証明だろう。あくまでも古馬になったときの本格化の仕方に疑念が生じるだけで、それはサトノクラウンにもあったことだから来年にならなきゃ何も分からない。馬はいつだって想像を超えたところにある、とお茶にごす。

シュヴァルグランHalo3✕4*5に負けず本格化を遂げたのはトニービンの影響が大きい。ナスペリオンをSpecialとBlushing Groomで重ねていて、Glorious SongがHalo✕ラトロ✕ハイインローだからハーツクライトニービン✕ラトロときっちり噛み合う。

Ribot肩もラトロ肩もHyperion的にしぶとく動くには持って来いの習性で、メイショウナルトタップダンスシチーもズバッとは切れないけれど道悪で鈍らず延々と動き続けるタイプだった。つまりそれは距離的なスタミナにも繋がる。

MachiavelianのHaloはRibot肩を動かす仕組みで、Grolious songのHaloはナスペリオンとラトロに繋がってしぶとく動く仕組みだ。両者ともにステイヤー血統ではないがハーツクライが統べてみれば中長距離馬として有効なHaloクロスになる。

またヴィルシーナと違ってPocahontasクロスではなくWar Admiralクロスであることも大きな要因。PocahontasクロスはAlzaoの強烈なパワー源になっているから牡馬は刺激しない方が靭やかに動ける。AllegedWar Admiralクロスだが凱旋門賞連覇の邪魔にはならなかった。

でもPocahontasを経由したRoman突進力のおかげでヴィルシーナは東京マイルでも逃げを打てたわけで、Lureと同配合のDanzigAlydarを母父に据えたジェンティルドンナ牝馬三冠を争う早熟性を身に付けられた側面もある。DanzigAlydarにしてもPocahontasクロスにしても男馬にはちょいと毒気があるが女馬には良好なのよねぇ。いや3歳時にはどっちでも薬だけれど。

これはハルーワスウィートのファインプレーだな。ハーツの牝馬でディープの牡馬だったらどちらもG1に手が届かなかったかもしれない。クリソプレーズもそうだけれども名繁殖って種牡馬に応じて男女を産み分ける特技でも持ってるのかもしれない。

とまれナスペリオン基調のハーツクライ牡馬だから完成は遅めだ。それでも配合をみればそこまで完成が遅れる形ではなく、これは春の結果を受けて友道のとっつぁんが仕上げを急がなかったことが原因なのだろう。無駄に使わず一戦一戦を大事に大事に勝たせてきた。

京都新聞杯を敗れた時点で菊花賞すら見切った様子がある。8月末に500万下を走らせているのでは・・・。順調にいけば3戦目に菊花賞ということもあっただろうけれど消極的な両睨みのローテだわな。そもそも福永はリアルスティールで予約入っていたし。

だから多分・・・4歳春にはピーク入っているだろう。春天の距離なら十分勝負になるはずだが京都の坂下りをHaloでこなすとなれば前受けがマストだな。ナスキロなしで差しにまわるのは無謀だ。昨年のカレンミロティックみたいに4角で捌く形がハマるんだろうな。

最後にサトノダイヤモンドについてまたもう一つ。この馬がドナウブルーに対するジェンティルドンナである可能性は否めず、もしかしたらHalo的に靭やかに動く中距離馬として完成するのであれば三冠とは言わないが二冠は取れるのではないかと思う。

血統表を読めばWar Admiral≒War Relicの累代が強いのだが実際に表現されているのはHaloの堅実さである。マイラーの鋭さを中距離で発揮できるジェンティルドンナのようなディープ牡馬が出てきた可能性ってのは・・・やっぱりあるんだろうなぁ。

ディープインパクト産駒の枠組みから逸脱したオリジナルという可能性もある。ここまで脚が太くて筋骨隆々のディープ牡馬というのは重賞級で見た覚えはないし、ましてそれが三歳となるとねぇ・・・。ホント、マンハッタンカフェの古牡馬と言われた方が納得いくよ。

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