砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

突き抜けることを要求する有馬記念

馬場改修後の有馬はまくれない・・・というのは何度も書いた。ゴールドシップのまくりでさえも尻目に見られる程度に終わる。

ジャパンカップは機動力に依る「まくりまくられ」であったわけだが、あの類の機動力はかなり有効に働くだろう。馬群を捌ける機動力は喉から手が出るほどに欲しい。上位陣がそのまま通用するレースになると思うが、それも枠次第かな。

母父に短距離血統を据えて先行力を得るのは非常に大きな武器で、やはりキタサンブラックがものさしになる。ダイワスカーレット以来の逃げ切りとなるかが、まず一つ、大きな焦点だ。トウメイ以来の勝ち馬である偉大な名牝であるけれども、配合そのものを言えばキタサンの方が想像がつきやすい。

アグネスタキオンよりもブラックタイドの方が中長距離のスタミナを供給するだろう。その分だけ先行力や中距離への対応に弱くあるが、別に秋天ウオッカと争うわけでもない。そういった適性にあったなら、それはそれで大阪杯宝塚記念でめちゃんこ楽しめたと思うけれど。

菊花賞馬は有馬を制するものである。なので最大のライバルはサトノダイヤモンドだろう。これは様々な観点で楽しめる組み合わせなので堂々と争う枠を組んで欲しい。

まず「ディープキラー」と「ディープの異端児」という観点。キタサンブラックは常にディープの名血統と争い、その上を行くことで名を上げてきた。今回の相手はディープインパクトの庭であるマイル~中距離から逸脱した菊花賞で適性を見せたサトノダイヤモンドだ。自らの庭で敗れることは許されない。

「ディープの異端児」という観点も一つ。ここでブラックタイドの最強馬を破ることで、父の血をも破り離れることとなる。世界にも進出する日本の名血統から逸脱した証明をし、また競争能力の高さをも認めさせる。その試金石としてキタサンブラックほどのものはないし、有馬記念というのもセカンドベスト。有馬記念春天の二戦でホームアンドアウェーだな。サトノダイヤモンドは4歳春の春天がベストパフォーマンスだ。

そして鞍上からの観点。武豊ルメールにしてやられた歴史を持つ。また今回の鞍下は脚質が逆転していて、武豊が逃げてルメールが追う立場。また古馬と3歳馬も逆転しているし、ルメールディープインパクトの仔で迫るというのも面白い。・・・脚質の逆転が起こるかどうかは分からないかなぁ。

ただ二頭とも抜け出せる脚があるわけではない。残る脚はあるけれども。

昨年の流れでゴールドアクターが突き抜けるというのはなかなかすごいことで、これの切れを削ぐ展開はちょっと思いつかない。というか有馬の舞台にハメ技というのは存在しない。だから有馬記念をフロックで勝つなんてことはダイユウサクくらいしか)ないわけで、有馬を勝つ馬は強く、強い馬は有馬を勝つものなのだ。

そういった意味でも突き抜けた強さを有馬記念は要求してくる。「お前、マツリダゴッホみたいに1勝だけで満足するつもりか?」「まぁあいつは種牡馬としてやっていけそうだからいいけどな。」という風に有馬頼寧氏が草葉の陰から囁いてくる。(「よりやす」と読むらしい。)

ゴールドアクターも1勝で満足するべき馬ではなくて、ドリームジャーニーの様に春秋のグランプリを荒らし回る存在だ。来年からは大阪杯も加わるからいい時代だね。

シュヴァルグランも前走の内容を見ればG1で十分に通用する器である。だがHaloクロスの馬が突き抜ける舞台であるとは考えづらい。マカヒキシンハライトは勝ち負けになったと思うが、きっちりとした2500mの争いになったときにはHaloクロスの中距離馬としての適性が露わになることだろう。かといってシュヴァルグランの様なステイヤー体質であると突き抜ける脚がない。ちょうどよい塩梅になりづらいクロスだと言える。

サトノダイヤモンドもそこがネックになるだろう。

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