砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

有馬記念の精神

過去に書いた記事を読み直してみると「ブラックタイドディープインパクトに敗れる」というようなことが書かれていた。随分と気合に入った言葉である。(他人事)

ブラックタイドよりディープインパクトの方が靭やかであって、それだけに良質な頑強を受け入れる余地があるという話なのだね。逆に言えばブラックタイドのほうが良質な靭やかさを取り入れやすいという話でもあり、昨年のジャパンカップ春天二連覇からそれは伺える。

その伝手で行くと有馬記念勝ち馬の父は柔らかくて速い馬が良いということとなる。速ければ中長距離のスタミナを積み込みやすい。マイラーが走るという説も、父の速さで活躍したタイプが望ましいという考え方ができるかな。実際に速いとどうにもならんが。

またこれは牡馬の理屈だな。牝馬だとほとんど真逆の発想になるな。母のスタミナと靭やかさで走った父が望ましい。

そこで悩むのは以下の三つのことだわ。


ハーツクライの取捨。

ハーツクライは「靭やか」で「ズブい」馬だった。だから大抵は「鋭く」て「機敏」な馬に出やすいわけだが・・・生半可な配合じゃ千八へ寄せきれない。このイメージを体現出来たのはジャスタウェイだけだろう。

その事情からして「鋭い中長距離馬」を作り出すことは困難であり、スワーヴリチャードを二千ベストとするのはそのためだ。ハーツクライからHaloをくり抜いた結果としても順当なこと。

Haloから話を続けると、これで有馬を勝ちきったのはヴィクトワールピサだけだと考える。スワーヴリチャードのHaloぶりでは足りないだろう。舞うHaloではなくて後出しのHaloであるし。サンデーのHaloではなくハーツクライのHaloであるし。


キタサンブラックの着順

内枠を引いたからには好走はマストだ。では勝ちを見込むか、惜敗を見込むか、負けを見込むか。

準Tiznow配合が内から抜け出してくるわけだからRobertoかSpecialで捕まえるしかないだろう。400mの直線があれば捕まえられることはないが、中山ならば捕まえられる。だけれど最強を示したがるRobertoはいない。ヤマカツエースは気性がソフトすぎる。ゴールドシップくらいに極端だったら迷わずに本命を打った。中距離馬であっても。

「前の馬を抜き殺す」というSpecialはトーセンビクトリーだけ。馬群を割ることに快感を覚えているのではないか、と思わせるあの気性は本当に素晴らしい。けれど兄たちほど距離はもたないと思う。クイーンSの負け方は千四馬≒千八馬の負け方だ。千八馬ならフワッと舞ってアエロリットに猛追をかけられたし、エリ女も33秒台で追い込んだろう。何より府中牝馬を勝てないわけがない。

では何が果たしてキタサンを捕まえられるというのか。4角でまくり殺すとか、4角直後の末脚がダンチとか、そういう展開でしか捕まえられないだろう。こいつは内々を回りながら後続を引き離す現役最強古馬なのだよ?

サトクロがジェンティルドンナする可能性は否定されつつある。どうする・・・?


牝馬によりて

ということなので、破れかぶれの◎ルージュバックを考えている。右回りが下手くそなのだから4角で引き離されて終わりでしょ?って話なのだが・・・Promised LandとDynamoの血統的コンビネーションに俺は夢を諦めきれない。

ウインバリアシオンはG1級だったのだ、オルフェーヴルがいなければ菊花賞と有馬を勝てたのだ、と。

またマンカフェ牝馬というのは案外距離がもつものだ。牡馬ならダートや短距離へ向きそうな配合・・・クイーンズリングのことであるが、これは芝にとどまりエリ女を勝つに至った。サトルチェンジの靭やかさは偉大なのである。

ルージュバックが在りし日の靭やかさを失ったのであれば、それはサトルチェンジ的な本格化のためであろうし、それは菊花賞有馬記念を連勝した名馬の本格化要素でもある。

単純な配合であれば二千そこそこの適性距離であろうがルージュバックは相似配合を取っている。例外的に中長距離適性がオンになっていてもおかしくはないし、それならそれでオールカマーの勝ち方もエリ女の負け方も納得できる。

「硬くはなったけれど、それは父親の様にステイヤー要素がオンになっただけ」
「だから負荷の強いロングスパートを追いかけて、牡馬を相手に勝ちきって見せたのよ」

そう言われたらちょっと頷きたくなる。


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