砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

父Gallinuleの四姉妹 その2

この四姉妹に血統的な相似はあまり見られないが、ディープインパクトNashuaの血統表を探ると似たGallinuleは見られる。その点からアルアインを語る手はあるし、更にSardanapale-Apelle-Erinと繋げて行く楽しみもある。最後の到達点としてHis Majestyがあるので登坂適性に関してはグラスワンダー的であったりも。あの繁殖にドバイマジェスティと名付けたのは慧眼だと思う!

この話の至るところは「Nasrullah、Royal Chager、Mahmoud」と「Lady Angela」の出会いが如何な化学反応を起こし、またそれにAlopeとHonoraがどう関わってきたのかだ。

Pretty PollyはDonatelloを通して凶悪なスタミナを発揮するもののLady Angelaから現代競馬のスピードを遺伝させている。であるからPretty Pollyを源流とするスピード&スタミナを理想とすることに依存はない。明らかにPretty Pollyは群を抜いたGallinuleである。

だが二つのPretty Pollyが出会うまでにMahmoudのGallinuleを得る。これはBlandford直系なので2本のGallinuleを引き、BlandfordとMumtaz Mahalを経由するこの2本はPretty Pollyを介さぬスタミナ&スピードである。更に言えばLady AngelaはSwnfordの血を引くのでBlandfordとも脈絡があり、Northern DancerのGallinuleとはスピードへやや傾いたタイプだと考えられる。

これをスタミナ的に靭やかにするためにはLady AngelaとMumtaz Mahalに共通する血統からそれを引き出す必要があるわけだが、どうやらBlandfordがその役目を担うことは少なかった様子である。その理由は血統的なものではない。単純にNorthern Dancerが北米で発展しただけのこと。Unfuwain(母Height of Fashion)といった例があるようにBlandfordからスタミナを汲み取る仕組みが失敗していたわけではない。だがそれらは後々の成功へつながっていない。

直仔世代、直孫世代、直曾孫世代、とことん成功したのは米血統を取り入れたNorthern Dancerである。そして欧州で活躍した数々の名馬たちは、そのほとんどが短距離的なNorthern Dancerの血を引いたのである。ただ一つの例外はSadler's Wellsであり、その例外は後々にその短距離NDを取り入れて最強サイアーの座をまた強固なものとした。

Northern Dancerほどの血統ともなると後継に求められるのは能力の遺伝云々よりも、近い世代におけるNDクロスの成功こそが鍵となってしまう。Sadler's Wellsを前例とするならばディープの孫はサンデークロス3×4を成功させなければならないのである。それがサンデーサイレンス直仔最強種牡馬としての責務なのだ。

サンデーの抱えるGallinuleは大きいところで三通り。Royal Chager・Mahmoud・Foxlawだ。

秀逸な点として挙げたいのは非Mahmoud≒Sun PrincessのMountain Flowerのところを非Gallinuleにして左記のニアリーと相似の関係にある血統Kahledを持つこと。その上でFoxlawを通して「Hyperion×Son-in-Law」を持つMontparmasseとHyperionのクロスを重ねたこと。更にRabelais-Durbarの最強ラインであるFlembetteを積み重ねていること。

これらはNorthern DancerとDonatello×Hyperion×Son-in-Lawのめぐり逢いを前提とした配合と言え、またFlembetteの靭やかさを増幅しているため仏血統の取り込みが易い。この観点からすると、Northern Dancerを伴いながらフジキセキアグネスタキオンのハイブリッドをやってのけたのがディープインパクトであると言える。

ならばフジキセキアグネスタキオンを介したディープインパクトとのサンデーサイレンスクロスは各々への方向へ強く誘導することが期待される。フジキセキとであれば米血統+仏血統の高度な融合、アグネスタキオンとであればDonatello×Hyperion×Son-in-Lawの増幅、という具合。

Northern Dancerが大抵の場合において米血統と共にあることは書いた。ただ現在に伝わる血統の多くがGallinuleを導入した米血統であるとは書いていない。というよりもBlue Larkspurなどの様にスタミナ化した米血統はGallinuleを伴う。Haloは4分の4Gallinuleなのだ。

であるからNijinskyもGallinuleであり、DanzigもGallinuleである・・・とまで書くと万能が過ぎるか。ただPretty Pollyの根を張り巡らされた現代競馬の血統においては、それを基準として考えることは間違いではない。

Gallinuleという名血統を基準とし、そこからの派生に相似を見込む。

Pretty Pollyは限りなく早い段階でスタミナとスピードの二手に別れたわけだが、PalottaとHonoraとAlopeにも同じことが起こっているはず。この四姉妹によって現代の血統全てを網羅出来るはずなので、その比較によって血統の特性を規定することもまた可能だろう。

全てはGallinuleの元に一本化される・・・という理想論である。なお、ソレ以前の血統論をガン無視する乱暴な理想、あるいは妄想、あるいは野望、なんかあんまりいい感じではない理想論である。

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