砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

安田記念回顧

イスラボニータは壁を作らなきゃならないほど熱い気性を持っているから、そこら辺が噛み合うことってのはそうそうないのだろう。その上で前のめりの踏破がベストパフォという難しい馬だ。

もしも壁にした馬たちがサトノアラジン級の脚で残り200mを走っていたのであれば、それは噛み合ったということになるが、それでもあの位置で壁を作ってしまっては足りない。逃げ馬のすぐ内にあった時点でマジック頼りだったのも事実。

しかし秀逸なのは先行に踏み切った騎手達のペース判断で、あの速さでもロゴタイプが前に行くという確信を持った騎乗だった。ビュッと内が出して落としたところを外からジワジワっと逃げるのが東京マイルという舞台であり、それはウチパクさんも田辺もやることは変わらない。

だからこんな風な中だるみのハイペースになることはもちろんあり得るし、逆に外から行ったからこそ素早く落とすことも考えられる。折り合い最強を見事に証明したダービーの伏線があったから田辺は折り合いの勝負にはしなかったのだ・・・ということも考えられるか。

サトノアラジンStorm CatFappianoの短距離血統からPrincequilloを引いた「4分の1サンデー、4分の3Princequillo」のディープインパクト産駒。牝馬ラキシスエリ女大阪杯を華麗に差し切り、牡馬のサトノアラジンが東京マイルでジワジワと鋭く差し切ったのには納得できる。

ディープは「Princequilloの高速化、短距離化」に成功した最強種牡馬であって、だからこそサドラー経由のSpecialが縦横無尽に暴れまわる欧州の繁殖とマッチする。逆にPrincequilloのスタミナを頼りに短距離血統を積み重ねた北米血統を相手にすると速さばかりが目につく。

その速さの根源にあるのは「4分の3Blue Larkspur、4分の1Crimson Satan」のマジックストームであろうし、これにディープが配されると「4分の3Blue Larkspur≒Balladier、4分の1ウインドインハーヘア」となり、Princequilloと併せて上手にスタミナと速さの向上を図っている。

この類の馬は牝馬であればズバッと斬れすぎるし、牡馬であればズブズブと力っぽい速さで外から押し切る様なイメージで差す馬に出がちだ。しかし4分の1にウインドインハーヘアが入ると、ズバッ斬れを支える底力に不足はなくなるし、ズブズブからのもう1速上のギアに入れられる様になる。ディープインパクト最強なのはこれが理由。

そう考えてみるとサトノアラジンがハマれば勝ちきることは考えられたのだね。

それにしてもヤングマンパワー、ブラックスピネルという下位陣を壁にしてしまったのは不幸というよりもルメールのミスに等しい。かといってこのペースから前目に伸びる壁があったかと言えば全くありえないわけで、マジックを期待した俺は馬鹿だったのである。

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