砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ボリクリ神話~8分の1サンデーが4分の1サンデーへ対抗するために

シンボリクリスエスは競走馬としては別格の存在だったろうが、種牡馬としてはA級に足りない風であった。実際に社台スタリオンの所属ではない。

ところが晩年にある現在にルヴァンスレーヴという最強ダート馬を輩出した。芝と砂で違いはあるけれど、モーリスに比肩する馬だと言って、差支えはなさそう。

だがこの配合をインブリードから褒める手はない。3×5クロスという離れ業は旨いもんでなし、これを理由として「G1級ではない」と貶す方が簡単だ。

そういう考え方でアーモンドアイを軽視した・・・という直近の経緯がある。アーモンドアイやステルヴィオの理屈からルヴァンスレーヴを褒めたい。

 

Discoveryよりの

輸入基礎牝馬は「フアンシミン」というDetermine肌で、この母系にはSardanapale×Ladasが見られる。

その2代直系子孫であるダイナフェアリーがノーザンテースト産駒だから、やっていることはスカーレットブーケとゴールデンサッシュの中間くらいのもの。「北米的頑強をAlbhaiより受け取る」「仏系異系の取り込みによってMahmoud軟さをオンとする」の両面待ち。

この次代セプテンバーソングの父がリアルシャダイである。明らかにスカーレットブーケ側への舵取り。In Realityとの兼ね合いからクラフティワイフ一家を彷彿とさせる組み合わせだ。(Nashua×In Reality×ノーザンテースト)

ノーザンテースト×クラフティワイフと違うのは母系にBold Rulerを引かないことである。セプテンバーソングの段階ではIntentとNative Dancerからの2本を引くばかりに留まる。

この次代オータムブリーズが圧巻。Mr. Prospectorが加わって「4分の3Discovery・4分の1アウト」が完成するわけであるが、このアウト箇所を北米の名繁殖Fall Aspenが担った。こんなの走るに決まってんじゃん・・・!

して、大して走らなかったオータムブリーズにネオユニヴァースがつけられてマエストラーレが産まれた。これで「4分の3Discovery・4分の1サンデー」=「4分の3Native Dancer・4分の1サンデー」。

こういった繁殖の成功パターンは「4分の3Northern Dancer・4分の1ネオユニ(あるいはタキオンあるいはマンカフェ)」。ところがマエストラーレへはNorthern Dancer丸投げのままボリクリが種付けされた。

これによって「4分の3Discovery・4分の1Kris S.」の構成がされ、ダートチャンピオンホースとなったルヴァンスレーヴが輩出されたのである。

 

キセキの配合

本ブログではキセキについて「エアグルーヴ・ウインドインハーヘア・Ahonooraによる累代Blue Larkspurアウトだ!」と騒ぎ、終いにはジャパンカップの本命を打った。

それを取り下げるつもりはないが、実のところロンドンブリッジは「4分の3Blue Larkspur・4分の1Ahonoora」ではない。母父のDanzigもBlue Larkspurを引かないので。

「Court Martial持ち血統によるBlue Larkspurアウトが継続されている」が正しい。いつのまにか意味が変わっていた。反省。

「4分の1Blue Larkspurアウトの継続」というのはエアグルーヴ・ウインドインハーヘアの2代に留まり、Ahonooraを含めた「Court Martialの絡んだアウト」はおまけ程度の話だろう。

ルヴァンスレーヴは「4分の1Discoveryアウトの継続」をKris S.・サンデーサイレンス・Fall Aspenの3代に及んで行われた馬だ。キセキの一歩先にあって「最強馬」へ登り詰めた理由はここへ求めたい。

 

終わりに

ボリクリの再評価傾向もそうだろう。「8分の1サンデー」で「4分の1サンデー」の牙城を崩すには、サンデーサイレンスのアウトとするものを、継続してアウトとしなくてはならない。それに「4分の1Kris S.」がマッチしたのだ。

「4分の4Hail to Reason」や「4分の4Northern Dancer」がこれからどんどん増える。そのときに「4分の1Discoveryアウト」や「4分の1Blue Larkspurアウト」といった考え方は大切となるのではないだろうか。

サンデーサイレンスが担ったもの・・・それをアウトブリードの観点からよく考えなくてはならない。

ルヴァンスレーヴについては「なんでNorthern Dancerクロスを要求されなかったのか」だとか「現代配合におけるBuckpasserの重要」だとか、もう少し切り口がある。とりあえず今回はDiscoveryからばかりで。

 

[fin]