目を引くのはやはりPleasant Clony×Time for a Change×ボールドラッド間に起こるMisty Mornのクロス。Princequillo×MahmoudはCequilloと同じ配合形だがPlucky Liege一家に収まるCequilloとは趣が異なる。
こちらはLa Chicaの一家で、これを名繁殖たらしめるのはGrey Flight-Misty Mornのラインの他にMiyakoを輩出したこと。MiyakoはGeishaを輩出し、GeishaはNative Dancerを輩出した。Native Dancerは直系としてMr. Prospectorを輩出し、母系に入ってはNorthern Dancerを。輩出リンク。
Grey Flightの母母父はArielで、これはLea Larkの母父である。Lea Larkも名繁殖であり、InvolvementやMiswakiなどを輩出した。
Arielの父Eternalは父Sweepと母父Semproniusの間にWoodbineクロスが発生し、それがやはり英米それぞれで発達した全く別の枝葉であるところが素晴らしい。そしてAriel本馬はDomino=Mannie Himyarの全きょうだいクロスである。
またLa ChicaがSweep×Roi Herode×MeltonなのでArielと同じように米英のWoodbineのめぐり逢いを肝としている。その結果としてあるSweepクロスなのだから、すんごくスタミナ的である。スタミナまくりタイプのSweep。
そこからのMahmoudってのが実に素晴らしい。Roi Herodeクロスが入るし、BlenheimからRobert le Diableが入るし、BlandfordはSwynford×White Eagle(Gallinule直仔)。駒が揃ってきた感がある。
そしてMahmoudとの繋がりばっちりのPrincequilloドーン!こんなの鼻血ものだぜ!
だからMisty MornはPrincequillo繁殖としてはかなり使い勝手が・・・悪い。北米で育つにしても逃げ道が少なすぎるし、またSweepがスタミナ化しているからスプリンターにはしづらいところがある。だがFelonia=Violetにここまで毒されたSweepってのも珍しいから現代日本では重宝する。(オルフェとさせたい、めぐり逢い)
そこは単純に褒めたい。4分の3Misty Mornは素晴らしい。
けれど配合全体におけるバランスに優れているかって話は別なのよ。4分の1NDクロスを含んだ「4分の3ND、4分の1フジキセキ」ってのは微妙であるし、それをケアするものは特にない。緊張と緩和に優れているわけでもなし、目を引くニックスが発生しているわけでもない。血統表を真っ当に表現したら重賞級は出ないわな。
またキンシャサノキセキ産駒における大問題、Lyphardの対処が弱すぎる。英愛のスタミナを絡めながらFair Trialを切り口に攻め立てるべき部分なのに北米でがんじがらめにしてしまった。
ツーツーエイプリル自体に大きな傷はないし、そこから4分の3NDへ持ち込んだのも構わない。だが更なる次世代において5代内にクロスを持ち込んだことは問題だろう。
Danzig×Nijinskyというのが傷になり得る部分なのだし、そこをケアしなければならないのだ。相互間にRoberto×Nijinsky、Danzig×Buckpasser×Princequilloの組み合わせを相持つからこそグラワン×マルゼンは傷としない。かといって終わったこととしてはならない難しいバランスを持った組み合わせなのだ。次世代キャプテンスティーヴでは処理の継続性に問題が出る。
「グラワンマルゼンで仲良くやってるし、ボールドラッドにスポット当てるかね」という姿勢だぜ、これは。ボールドラッドを未処理にするのは確かにまずい。けれどガン無視するのもどうかな。
この場合においてやるべきことは、実に複雑であることに違いない。Silver HawkへMy Babuを流し込んだのはグラスワンダー的にはともかく間違った選択ではないだろうし、グラスワンダー×Tom Foolの観点からSun Again弄りを行ったのも秀逸。強い相互関係が発生している中で、あまり弄られていないBold Rulerをメインとしたのも良い。Nashuaもクロスしているし、上記のMisty Mornもある。キャプテンスティーヴの持つDamascus直系というおしゃれな要素を活かしているだろう。
それでもケチをつけるとすれば、やはりND系の一貫性。キャプテンスティーヴという選択は問題をあやふやにしているとも言えて、その曖昧を引き締める要素は必要だった。それは間違いなく流行血統や名繁殖の牝馬クロスに依って行われることである。この場合はND系が担当スべき。
この場合の窓口はモガミポイントのPrincequilloクロスなので、使うとしたらLyphard。ブラックタイドなんかがつけられていれば面白かったかもしれない。NDクロスの繁殖なのだから当たり前の様に4分の1サンデー、4分の3NDを狙うべきよ。
そりゃ小技使ってサンデーを回避するってのは良いことだけれども、それでもNatalma≒Cosmahの大技を発生させつつHyperion絡みの異系を持つサンデーを超えることは出来ない。その場その場で競争能力を発揮させなきゃ配合もクソもないものねぇ。
本馬の配合はツーツーエイプリルの相互関係をMisty Mornでフワフワとさせているだけと言えて、もしこれが繋がっていれば完璧だったが事実とは異なる。キンシャサノキセキもキャプテンスティーヴも典型的なお茶濁しタイプの種牡馬であり、これで4分の3を取って4分の1をツーツーエイプリルとした点は構わないにせよ、NDで継続が図られている点に問題が残る。NDアウトの4分の3にしつつRobertoとPrincequilloの関係を尊重していたなら完璧だったな。
だが父を変えるだけで問題の解決を図ることも出来る。ディープブリランテ組み込みゃいいのだ。この類の繁殖に対してはプロフェッショナルであられるから。キャプテンスティーヴ(Damascus×Vice Regent)×グラスワンダー(Roberto×Danzig)×マルゼンスキー(Nijinsky×Buckpasser)でみんな「ND+Blue Larkspurクロス」。4分の3NDクロス同士となるが5代アウトだから見苦しくはない。
ディープインパクトの直仔種牡馬として父と違う路線に道を見出したのがディープブリランテって馬であり、父が苦手としつつもライバルとする種牡馬のないこの路線で成功を収めている。Bustedクロスというアドバンテージを活かした素晴らしい活躍ぶりだ。
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