4分の3妹には最近故障引退してしまったアドマイヤミヤビがある。
ウインドインハーヘアの一家。デインヒル、クロフネ、ダイワメジャーという累代の馬。ダイワメジャー産駒としてはスピードに欠けた部類で、中距離でもまだズブい様子がある。小回り千八など先行争いが激しいレースでは先行しきれない。
Northern Dancer4×6*5*6というのは4分の1サンデーとして許容範囲であるが好形とは言えない。どちらかと言えば重賞では忌避すべき配合形であるが、アドマイヤミヤビがクイーンCを強い内容で勝ち切ったのだから相応の形ではあるのだろう。
おそらくノーザンテースト≒Vice RegentとDanzig×Lyphardで住み分けが出来ているためだ。ダイワメジャー×クロフネとライクザウインドでは血統構成に隔たりがあり、ライクザウインドが「4分の1異系」として働いている部分はあるかと。
いずれ来るND飽和時代で教科書にすべきものかもしれない。極端なのがSadler's Wells≒Nureyevであり、エルコンドルパサーが母父としても優秀なのはこれが理由だろう。NDクロスの血統が4分の1に居座るってのは現代血統においては大きなマイナスである。それでもやはりG1勝ち負け級はクリソプレーズからしか出ていない。
マリアライトから考えるとこうした「4分の1ND+Fair Trialクロス」の配合馬はズブく出がちなのかもしれない。特にライクザウインドの様にNatalmaを4分の3で抱える形は次世代にそれを殺す頑強を持ってこなければならない。クロフネという選択はひどく適当だったかと思う。(同じことが「4分の3ND、4分の1サンデー」にも言えるかな)
本馬のズブさはそこにあると考えられる。ND由来の靭やかさを殺すということはサンデーの速さも害されるわけであり、自然と、別口から素質を引き出す必要が出て来る。サンデーとNDの関係の一歩先にある素質ともなると候補は限られる。今回はダイワメジャーの牡馬なので粘り強さしか挙がらない。
ウインドインハーヘアだけあってゴリゴリと前へは進むのだけれども、ダイワメジャー自身が鋭い速さを伝えないから速くは行かない。またダイワメ・クロフネ・デインヒルの累代はゴリゴリとするばかりだよねぇ・・・。
ウインドインハーヘアってHyperionやPretty Pollyの粘り強さが特徴とされることが多いけれど、その実、Buchanスピードが表現されやすい。だからディープは米血由来の鋭さしか伝えないわけであって、米血を軽視した配合、例えばドイツ主流など、だと柔らかいだけでビュッとは動かない。
ではデインヒルやクロフネなどでビュッと動いてくれるかっていうと、全く別の話で。(笑)
ディープクロフネはイメージ通りだが、ディープデインヒルもズブい。これはデインヒルがNatalma由来の靭やかさを好むからで、想像以上にディープの「ビュッ」を刺激しないのである。
なのでデインヒルをビュッと動かそうとするならFrankelを教科書に、「Buckpasser×Princequillo」を導入としてPrincequillo直系の速さに頼るべきなのだ。これはディープブリランテやサトノダイヤモンドの前受け技術と同じ。
ややこしくなったが
ディープとBuckpasser×Princequilloの場合
・ディープ自身がPrincequilloのスピード化に成功している
・なので強い中距離馬の輩出にはPrincequilloのスタミナ化が必要
・それはBuckpasser×Princequilloが最適
デインヒルとBuckpasser×Princequilloの場合
・デインヒルはBuckpasserを頑強≒スタミナとして扱う(War Admiralクロスのため)
・Danzig×His Majesty×Buckpasserの累代の通りデインヒルはPrincequiloと好相性
・Danzigは最低限の靭やかさを確保するNatalmaに絡むのでクロスに適さない
(→Danzig×Princequilloとのめぐり逢いには4代以降まで遠のく必要がある)
・His MajestyもMahmoud重視の血統なので同じ理由で動けない
・BuckpasserはMahmoudとの関わりが薄く、Princequilloとのニックスで強い靭やかさを産む
・Buckpasser×Princequilloはデインヒルという血統に対して相似性を持ちづらい
→Buckpasserという異系のクロスにより更なる異系を持ち込む好循環
[この段階でデインヒルのPrincequillo的靭やかさの補完を成功させる]
(→ディープはPrincequilloのスピード&靭やかを表現しているから段階を飛ばせる)
・このPrincequilloを母体としをスピード&靭やかを表現し、ビュッと動かす
・大抵の場合でNorthern DancerがクロスされるのでNatalma靭やかが補完される
→Danzigに対するNatalma弄りは基本中の基本。Tom Foolもその一貫と言える。
ミッキーアイルを語ることで一層のまとまりを求められるが、疲れるのでやめる。
一言まとめるなら「River LadyとLady Rebeccaとの絡みが絶妙であるし、Tom Fool×Bold RulerのPompey≒Laughing Queenに対してGallant Manに絡んだCount Fleetを持ってきたことが素晴らしい。」。
二言目で蛇足を加えると「Gallant ManはMahmoud≒Mah Iran×Buchanでディープインパクト×Danzigにおけるスピードの補完に最適であり、Sun Briar≒Sunreigh・Mahmoud・Bull Leaへの対応としてBe My GuestによるStymieクロスを図ったことも良い。」。
三言目で調子に乗ると「Stymieクロスに絡むPennant≒Cherokee Roseは上記のSun Briar≒Sunreighの欧州型Woodbineと絡み、またサンデーサイレンスのStymieはMahmoud・Bull Lea・Admirationと絡むUnderstandingに含まれ、これのマイラーぶりをAlydarやNDを通して増幅させる。」。
力尽きたので次回へ
[fin]