砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

小倉記念出走馬を見る

今週はなんとか木曜日中に書き終えることが出来た。

エーティーサンダー

サンデー×Robertoのまくり 5代アウト同士の緩い相似配合。Hail to Reasonの持ち味を活かしたFlambette機動が主な表現。 秋山真一郎酒井学といった「ドスローの先行」を得意とする騎手で安定している。前走は福永祐一で末を活かしたが、案外だった。 父母間Tom RolfeのクロスでRoberto×Flambette。このパターンはHyperion軸の構成となるものだがNijinskyを引く分だけ芝適性にブレがある。重馬場が得意なのはこれの影響だろう。 「8分の1Grey Sovereign4×3」の観点からも前に馬を置く形はイマイチ。戦績通りに外枠ベターだ。

キョウヘイ

スペシャルウィークダンスインザダーク2×2は末脚特化の馬群割り サンデーサイレンス3×3の重賞勝ち馬らしくダート表現が垣間見える。スペシャルウィークSeattle SlewKris S.からエピファネイアに似た構成。 先行馬に見える配合であるが実際は差し追い込み。代の遠近からしサンデーサイレンスの柔らかなHyperion×Son-in-Lawが軸として表現されている様子だ。Mr Prospector・Roberto・NijinskyといったFlambette血脈についても同様。 ベストは外回り。長い脚を使って差し込むことは得意ではない。

キンショーユキヒメ

「4分の4Turn-to」のメイショウサムソン相似配合 満遍なく要素をいじっているだけあって父の産駒らしい表現。それも高レベル。 3Fでしっかりと脚を使うことが得意で、目標を捕まられる表現。Sadler's Wells直系らしい脚と気性だ。 馬群を捌く脚はある。けれどWild Riskの気性が厳しいので壁を作っての折り合いが難しい様子だ。いずれの騎手も前に馬を置かない。まくり競馬一辺倒。 内枠だと追い込む形となる。外枠から構える格好が良い。

サトノクロニクル

大枠の好配合馬はSon-in-Lawに縛され G1好走級を送り出すトゥーピーは主要血脈を適切にクロスした繁殖牝馬。「4分の1サンデー、4分の3Northern Dancer」をきれいに構成する。 ハーツクライとも配合は決まっていて特に貶すところがない。強いて言えば「Nasrullah×Hyperion」血脈に不足がある程度で、大物の雰囲気たっぷり。小倉記念くらいならば圧倒しそう。 問題があるとすれば気性としての一貫性がないこと。Son-in-Law血脈による表現に雑多なところがある。 母系にAureoleを引き、Round Tableクロスを伴ったCaerleonが2代母父の位置にある。加えて母はRoberto直系。馬群に入ると良くない性質だと考えられる。一方でDanzigCrafty ProspectorLyphardトニービンのFair Trial群も目立つ。そして6代母CharlevilleはRustom Pasha3×3である。 Son-in-Law直仔はアクの強さが目立ち、頻繁に気性へ影響を及ぼす。なのでこうして主張のある形で3本も引くと表現がブレてしまうのだ。 母母Turpitudeは一貫して「私はAloeとRustom Pashaで外回りを追い込みます」という表現。溜めの効くRustom Pashaと馬群を嫌うスタミナAloeの合作として、それが正しい。 対してハーツクライ×Intikhabというのは「好位先行からズボッと抜け出します。」という表現。Fair Trialの絡みからして極端に馬群を嫌うことはないだろう。Robertoもこの経由ならば鈍足≒持続力に特化しない。東京を好位から進んで馬場の4分どころからヌルっと。モーリスに見られるような、あのRobertoの表現に落ち着くはず。 この二つが合体したら、「内ラチ沿いで溜める。4角で馬群はバラけて欲しい。先行した形での併せ馬が得意。」だ。外枠を得るとどうにもならないし、まくり組が突き抜けたら抵抗が出来ない。「内枠から好位につけて2角以降は厳しいラップで推移。後出し気味に4角から追い出して完封。」というのが勝ちシナリオだ。

サンマルティン

揉まれ弱くも高純度のサンデー切れ 前走のパフォーマンスは圧巻。揉まれるとさっぱりであるが揉まれない限りはどうとでも展開できる。 4分の4Aloe=Foxlawで、経由はRound Table・Aurole・サンデーサイレンス・Imbroglio。ディアデラノビアはFoxlawでハービンジャーはAloeというのも面白い。ちなみにディアデラノビアはFoxhuter7×7で、ハービンジャーはFeola9×8。その直仔の代でも共通する。 こういったスタミナを共通させることにより、支えられている切れの純度が跳ね上がる。晩成も晩成の配合であるから、むしろ今がピークと言っても良い。G1でも一発を期待できる素晴らしい配合だ。 最後方からでも展開できるほど長いスパートをこなすし、切れ味の鋭さにも申し分ない。3Fのスパート戦は苦手だがここでその心配は無用だ。昨年以上のパフォーマンスを発揮すること請け合いである。 サンデーサイレンスというのはとにかく末脚の強度が抜群で、今の競馬とは乖離した適性をサンデー直仔は持っていた。本馬はそういう馬だろう。

ストーンウェア

Tom Foolお化け 血統を見て「なんてTom Foolなんだ(感慨)」、走る姿見ると「なんてTom Foolなんだ(驚愕)」。 Native DancerBold RulerとSun TeddyとCount Fleetを寄せ集めることがTom Foolお化け生成条件である。これほど徹底した配合は初見。 ストロングタイタンと競ったマレーシアCからそれらしさを感じていたが、蛯名正義を鞍上に据えた前走メイSでは一層の輝きを放った。後方からトコトコと詰め寄って、登坂後は一気に詰め寄った。ああいう差し方はそう見られない。馬より人のほうが躍動しているアンマッチぶりに笑いが溢れるぞ! 配合はそこまで秀逸ではなく、その淀みの分だけ2000mをこなす。現代でTom Foolにこだわるとマイル近辺に収まるものだ。

ストロングタイタン

Danzigフォーオール Danzigとして柔らかい配合。Native Dancerの泥臭さとBuckpasserの素早さが上手く混ざっている。 Northern Dancerの本数が多く、それも形がイマイチだから重賞でもあんまり褒められない。Danzigの強烈なNorthern Dancer過多配合適性に助けられている馬だ。(モズカッチャンは16分の9Northern Dancerかつ16分の14Native Dancerで、おそらく世界一Northern DancerNative Dancerの本数が多いG1勝ち馬。) 「4分の3Hail to Reason、4分の1Buckpasser3×3」とDanzigクロス+Lyphardだから気性と競馬ぶりは一貫している。立ち回るし、ゲートも出るし、登坂後にしっかり伸びる。阪神内や中京、東京の決め手勝負ならば高いレベルで安定する。

トリオンフ

タートルボウルの平常運転 馬群を嫌い、平坦を得意とし、持続力に優れる。父の特性そのまんまであるが、母メジロトンキニーズが弄りを加えないのだからしょうがない。 母系はメジロアイリスだからメジロマックイーンと同じ。メジロクロヒメはメジロトーマスの妹で、メジロトンキニーズはダイヤモンドS2着。メジロクロヒメの枝からは本馬とメジロトンキニーズの親子しか活躍馬は出ていない。 長所は外枠から展開しやすい脚質。Aureole+Prince Bio+ガーサント+Grey Sovereignなのでじわじわと早めに脚を使っても終いまで保つ。出足が極端に悪いわけではないのも大きい。 短所はSpring Run≒Tom Foolの器用な脚。ステマ配合のように3角の進出でレースを決めてしまうほどの凶悪さを持たない。ソフトに進出して直線勝負。 外からレースを進めるLyphardであるから極端なスパート戦は苦手かも。この曖昧さが小倉大賞典圧勝の鍵だったと思う。

マイネルサージュ

欧州最強の異系血統はHaloを立てる 本馬はSea Bird5×5という珍しいクロスを持つハービンジャー×サンデーサイレンスの配合。 ハービンジャー×サンデーサイレンスというのはDanehill・RobertoによってHaloが全クロスとなる仕組みであり、「まくるんジャー」の表現に出がちだ。 本馬はSea BirdクロスによってRoman血脈が緩和状態となるので、これとHail to Reasonの兼ね合い(Maid of the Mist絡み)から突進力に優れる「まくるんジャー」と出ている。Alydarの働きもあってまっことまくるんじゃー。 ややズブさがあるので長い距離で出世したが、今年は中距離に専念している。中山記念は1800mで少し忙しかったのだろうが、それでも1着とはコンマ5秒差。実績通りに2000mがベスト距離だろう。晩成の配合なので6歳でもピークの真っ只中だ。

マウントゴールド

Bold Rulerな動きで機動する平坦ステゴ ステイゴールドは非常に極端なことを言うとサンデーとダイナサッシュという「Nasrullah≒Royal Chager×Hyperion」の組み合わせを2×2で持つ配合と言える。 本馬は「Nasrullah×Hyperion」を多く引いた配合で、それを厳しく堅める様な血も多く引いている。AbernantTudor Minstrelと連動してその硬さが表現に強く出ており、Bold Rulerの機動力がオンとなった。 ステマ配合馬ではなくフェノーメノに近いキャラクター。平坦で内から捌いて差し込んでくる。

メドウラーク

王道のノーザンファーム配合はHyperionを振り絞る サンデーサイレンス以降のノーザンファームNative Dancerの4分の1アウトを徹底している。トゥザヴィクトリーは「4分の2Native Dancer、2分の1サンデーサイレンス」で、アゲヒバリが「4分の3Native Dancer、4分の1サンデーサイレンス」、本馬が「4分の3Native Dancer、4分の1ブライアンズタイム」である。 Roberto3×6で機動力を持つが馬群嫌い。しかしHyperionを多く引くトゥザヴィクトリーの直孫であるから嫌っても味があって、持続戦での底力は前走の通り。 丸田恭介とは手も合っている。逃げ先行が崩れて中団も進出を躊躇う様な、とんでもペースが条件ではあるが。

レイホーロマンス

登坂苦手も下りの流れ込みでカバー 登ると脚が鈍るのは父系にあるDanzig×Buckpasserの特性が表現されていないからで、過去5戦の重賞ではいずれも登坂で失速している。 柔らかくてストライドの伸びる馬だが自力で伸ばす様な気性がない。Roberto≒Fairy Bridgeからしても他馬との絡みに比重が重く、流れ込んで足を伸ばす。 兄のスズカデヴィアスも初重賞制覇は新潟記念であり、平坦が得意なのは母の特性だ。平坦で末脚を競う新潟が得意だろう。 [fin]