砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ファストアプローチについて

Ribotを根っこにしてTom Foolを表現するという、俊敏さのかけらもない配合。

ND直系としてのSadler's Wells

Mr. Prospector
Alydar
Buckpasser
Graustark=His Majesty
Galileo
Somethingroyal

といったDanzigのニックス血統を重ねながらもDanzigを持たないのがユニークで、Bold Rulerを引かないのが大きな理由になるだろうか。Pretty Pollyとセットにして美味しいBold RulerDanzigのお供にBold Ruler。(Admirationクロス+Woodbineクロス)

Danzig系による英ダービー馬の輩出を成し遂げたChief's Crown・・・日本ではチーフベアハート春天勝ち馬も出した、こういったスタミナタイプの枝葉もある一方で、ロックオブジブラルタルの様にやたらめったら突っ込んでいく様な血統も出せる。これがDanzig×Bold Rulerのニックスだな。マイネルキッツからミッキーアイルロードクエストマイネルラクリマ、色々。

Sadler's Wellsの場合は、サドラー自身が中距離馬で、サドラー自身が英ダービー馬を生む機構で、その最たる枝葉のGalileo英ダービー馬で、Galileoはマイルから中長距離までなんでもござれで、Galileoの存在を最初に示したNew Approachも英ダービー馬で、New Approachが輩出したDawn Approachは英ダービー惨敗のマイラーだった。

これはNative Dancer絡みの緊張と緩和が理由かな。Galileo×デインヒルが成功した様に、Native Dancer・・・というかNatalma弄りに特化したDanzigDanehillのラインはGalileoに対してとても優秀なニックスだった。結局サドラーってのはNatalmaのMahmoudしか弄っていないし、Native Dancerは直接的に触れちゃいない。

ただそれを軸としたND直仔配合のオーソドックスを行っている。Native Dancerクロスは必然というべきであり・・・むしろDanzigの仕組みがおかしいだけであって、サドラー-ガリレオの流れもやはりオーソドックスと言うべきだ。

ダービーとBlue Larkspurから

Dawn ApproachはそのNative Dancerを軸に据えた形であり、Park Epressの緩和によってその要求が強い。それでもMr. Prospectorクロスを持ってこなかった辺りは上品と言うべきかな。

この配合の方向は「サドラーをDanzigの代用としよう」てなもんで、Danzigに対するニックス血統をサドラーに重ねていった。その最大の障壁ってのがBold ReasonのBlue Larkspurで、DanzigとはNorthern DancerのBLニックスを受け継いだ唯一の後継種牡馬である。

GalileoはBlue Larkspur的ダービー配合なのだが、New Approachは基本的に中距離配合。エイシンフラッシュがダービーを勝った様なイメージかな?少なくとも日本では父母間Blue Larkspur祭りが基本であって、4分の1アウトでダービーを勝つのはディープ産駒かドゥラメンテかスローのエイシンフラッシュくらいかな。



Blue Larkspurの牡馬に中長距離で敵わなかったエアグルーヴが夢のBLクロス群を手に入れて最強ダービー馬を作り出すという血統物語。ドゥラメンテ

エルコンはミスプロサドラーシアトルで、ピルサドはBuckpasser×Never Bend。Blue Larkspurはトニービンのニックス血統でもあり、エアグルーヴはまるで血へ従う様にしてジャパンカップで敗北を重ねた。



その傾向を強めたDawn Approachがマイラーに出たのは自然な流れだ。マイラーというよりも一本調子に突っ込んでいく千八馬という風に見えるかな。中距離血統から速さを選りすぐって表現の場へ持っていったような。それはPhone Trickへおおよそ流れ込み、表現の場へ上がっている。牡馬に対する母父の立場とはそういうものである。

そのために父系同士のクロスは好ましくない・・・と言えばサンデー系×ND系もNearco同士という話になるし、Nearcoに関して言えばいくらでも例は挙がる。Phalarisあたりまで遡ると話にもならない。

ただ5×5というのは近しくあり、Northern Dancer≒Icecapade4×4とも言えるだけに無視は難しい。・・・話を膨らませるようなものでもないが。New ApproachはAllegrettaやPark Expressといった異系の名繁殖を持ってきた配合だ。4×4のニアリークロス程度で揺らぐ土台じゃない。

・・・それだけにニアリークロスを仕掛けにくいところがあるがねぇ。例えばウォーエンブレムへニアリーを仕掛けられたのはブラックエンブレムだけだ。

ブラックエンブレム

Our Emblemヘクタープロテクター2×2はMr. Prospector×Damascus×Nmbered Account=プレイメイトを共通とする。Our Emblem側ではTom Rolfe・Aristophanes・Congreveが手付かずにあり、ウォーエンブレム自身はRibot・Aristophanes・Congreve・Romanをクロスしている。

対してSweetest Ladyとヘクタープロテクターの間ではRoman Song≒Nile Lily(RomanとSun Teddy)やPan≒Lalun、他にPretty PollyをLady Angelaで弄っているという風。強いて言えばLa Paiva≒Princequilloとか。

ウォーエンブレム×LalunがニックスなのはBuckpasserやPertronellaの絡みから想像がつく。Romanを含めて継続された部分であり、ブラックエンブレムは4分の1アウトを取っているからその分だけ良さげ。

ウォーエンブレムの母は傍系の血脈。ブリガディアジェラード直系とかいうおもしろ不思議血統はLord At Warしか知らない。またHerbagerとFair TrialがセットになってHyperionも混ぜ混ぜされると本当に異系じみてくるのだが、それでも英愛と仏で上手いことバランスを取った配合ならば脈絡する点は多くなる。

ドイツが異系として注目を浴びるのはそこだ。流行系の血統でバランスをとってもPretty Pollyしか絡まない。奴らは独自のDark Legend系(先生の言うドイツ三銃士)をシコシコ育てた上にFriar's Daghterをフランス人ばりに使いこなしてくる。そんで仏独融合が図られて混沌を極めるんだよねぇ。

あれよ、New Approachに言ってんのよ。

ファストアプローチについて

はてさて、ようやく本題ファストアプローチ。伏線は目一杯作ったつもり。有馬展望を書く前の手慣らしにするつもりが・・・。

Dawn Approachの段階では独仏が緩和になっているが、これを刺激するとHymn of the Dawnに頼んだ中距離~中長距離馬しか出ない。短距離馬の母系に底力を求めるのは流石にどうかなぁ・・・。父系と連結した要素があるなら別だけれどね、ロードカナロアGraustark=His Majestyみたいに。

求めるならばスピードである。Native Dancer絡みのスピードは自然と伝わるから、それを如何に活かし、如何に殺すか。

Miswakiをクロスするのは勇気がいるところであるが、順当なところかと思う。Pleasant Colonyを介したRibotをこうしてApelle的にいじくり倒したのだ。それならば「Nasrullah×Princequillo」を組み込んでいくしかない。

あるいはGley FlightでMahmoudスピードをオンにしていく方法もある。この段階でそんなことをやったら平坦スピードマックスになって北米行き待ったなし。

その点でMachiavellianを持っているのも実に大きなことであり、Halo≒Sir IvorRed Godが本当にさり気なく作用する。MahmoudスピードをオンにするならHaloクロスでも持ってきた方が分かりやすいが、ND過多の配合なのだから1本でもかまわない。とにかくAlmahmoudを持ってきたかったのだ。Dawn ApproachはNDの1本しか引かないからね。

血統を論じる上で常に弊害となるのは流行血統の在不在だ。Northern Dancerくらいの化物血統ともなれば影響力はそりゃ大きいわけであって、それありきの考えに浸ってしまう。NDを引かないってのはNearcoHyperionもPretty PollyもMahmoudも引かないってことなんだよねぇ。

その点でDawn Approachとジョリージョコンドはまるでコンセプトの異なる配合。コンセプト、根っこが違うということはニアリークロスが有効なわけだな。Galileo≒Rossini3×3。

ニアリーに含まれなAllegrettaはPark Expressへ流れ込んでいるからジョリージョコンドによる処理は必要としない。そんでGraustark=His MjestyでHymn of the Dawn弄りも平行。ついでにRaise a NativeクロスはGrey FlightとAlydarへ流れる。

整然としていないためにG1勝利を思うには及ばない。それでも作用するレベルにはあるし、小技のNever BendBold Reasonが別個にあるのだから構わんだろう。

ここまで溜めに溜めてからのMahmoud&Blue Larkspur攻めというのはDawn Approachの適性を「Native Dancerが完結したDanzig」と見込んでいる様なもので、Bold Rulerの不在もそれが理由だろう。もちろんDanzigらしさをオンとすることもないが、配合のリズムとしてはそういった流れ。

だからなんというか・・・速さを根底に置いた靭やかさみたいなのがあって、本格化が近づけばその力強さがオンになるだろう。Miswakiというのは周辺にパワーを持ち込みやすい血統であるからし、それらを綺麗にニアリークロスへ持ち込んだこの配合は早熟だ。そしてダービー配合でもある。

朝日杯FSを制する実力には疑問符がつくが、青葉賞のころには相対的なピークを迎えているころかと思う。レイデオロソウルスターリング÷2=ファストアプローチという風な感じに完成すると面白いんだが。それほどの格があるのかどうか。

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