砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

4分の1サンデーから超大物を輩出するには

スワーヴリチャードの完勝には驚いた。

俺はこの馬について、かなり大きく、過大とも思えたほどに評価していた。それを超えた時点で思考はストップ。駄目です。僕はもう戦ヴァル4の冬将軍と戦うべく、現実から逃れます。さようなら。ってくらいには驚いた。

だって過大だと思ってたんだもん。知らんよ。超えてくるなよ。「いやぁ、流石にスワーヴリチャードの評価は妄想入ってるわー」と東京優駿の時点で考えてたし。けれどトントン拍子で本格化して、強くなっちゃったじゃん?想像以上の強さにびっくりしてたら大阪杯を変な勝ち方してしまった。

ジャスタウェイみたいにね、ゆっくりと強さをひけらかして欲しかったわけですよ。「こんな内容の2着はおかしい」と思うための前例があるわけだし。当時はよく分からなかったけれども、過去を糧に俺も賢くなっているわけだ。そういう心の準備が欲しかった。少しずつ分からせて欲しかった。

なんでミルコはG1だと張り切るの。お手馬の展開へ強引に持ち込む手腕が変なレベルに達しているよ。日本の芝レースはそういうのじゃないから!お淑やかにのそのそ動いて「やった!手応えいいぞー!」って喜びながら入線するのが日本芝だよ!

だからハーツクライを扱いきれる人間が少ないのだけれどね・・・。

4分の1サンデー=8分の1Halo

キタサンブラックによって「8分の1Halo」の驚異が大きく、俺の中で広がっていた。

言ってみれば、「4分の1サンデー」の時点で十分すぎるほどの名血から十全な影響を受けているのだから、それを助けたりする必要がないのである。こんな考え方をキタサンブラックは広めた。

これはキングカメハメハ×サンデーサイレンスの成功にも大きく寄与する。ノーザンテーストなどの強い緊張を持つ、独自の影響力を誇る、血統を3大以内に持つことはキンカメサンデー配合において避けるべきことなのだ。

逆に、ルーラーシップロードカナロアなどの非サンデーにおいてはそれを別の血統に見なければならない。ルーラーシップは「8分の1Lady Angela3×2」で、ロードカナロアは「2分の1Secretariat=Syrian Sea3×4」

この観点からドゥラメンテの配合はルーラーシップと似ても似つかないことが分かる。いや、そりゃサンデーを使えるか否かってのは当然。「8分の1Halo」と「8分の1ノーザンテースト」という大きな違いがあるという話である。

ただ、サンデーサイレンス自身は「2分の1Blue Larkspur4×4」かつ「4分の1Hyperion3×4」かつ「本馬Mahmoud4×5」である。

現代日本にだけ通じる「8分の1」の表現

先生とその師匠の血統論に影響されている俺において、唯一の独自性がこの「8分の1」だ。

これは歴史的に認められる考えではない。あくまでも「4分の1サンデーサイレンス、4分の3Northern Dancer」の派生系にあたる。

もっと正確に言えば「4分の4Almahmoud」の考え方だ。それを根拠としたサンデーサイレンス×Native Dancerのニックスも絡むし、諸々に続けるとサンデーサイレンスの偉大に結末を迎えるので省略。

単に「8分の1◯◯(血統名)3×4だからー」で済む話ではない。これをオンにするための面倒が色々あるのである。

父から見るスワーヴリチャード

ハーツクライ産駒は大抵の場合でHalo的な競馬を好む事が多い。

それは機動力としてのHaloではなく、持続力に関するところである。かといってジャスタウェイシュヴァルグランの本領が他馬を圧倒する様な持続力にあるとは思わない。G1レースで見られる厳しいペースの中にHaloが息づいていると考える。つまり追走能力としての持続力である。

東京は1角2角で最ペースアップをするパターンがあり、加えて向正面では登坂があり、その後しばらくしてから下り、ホームストレッチで登る。そうして疲れさせられた上で「200mを踏破せよ」という注文。この過酷さは1600mから3400mまで共通したものだ。

こういった条件でこそHaloは生きるだろうし、兎にも角にも周りが疲れる様な条件でないと切れ負けしてしまう。だがハーツクライの要求する疲れは、ペース・馬場・登り下りの諸条件のいずれかを選ぶようなものではない。

ここまでごちゃごちゃ言っておいてなんだが、サンデーサイレンスの上級種牡馬全体に共通することである。ディープもステゴもダイワメもスペもダンスも、全ての素晴らしきサンデー種牡馬は相手の疲労につけ込む様な勝ち方をする名馬を輩出してきた。

サンデーサイレンスの本領、その一片

日本競馬史に残る、なんてちゃちな言葉では片付かない名種牡馬サンデーサイレンス。血統としての価値はSadler's WellsやDanzigよりもずっと上であり、比肩する存在はNorthern DancerやSt. Simonに限る。

彼が種牡馬時代に伝え続けていたのは「4分の1Halo」かつ「8分の1Mountain Flower」である。血統の近さからしてHaloの身軽さの方が配合の表に出やすく、サンデーサイレンス産駒のイメージもそれに近い。

そして上級産駒らは「重い血統のくせに産駒は身軽」という特徴を持っている。Hyperionを増幅して走ったくせに、伝えるのはHalo的なもの。そんな矛盾を伝えた後継でなくてはリーディングサイアーを争えない。

4分の3Northern Dancerの意義

ハーツクライはその中でも特筆すべきほどのHaloっぷりを発揮しており、最もHaloを伝えている。

つまり俺の言うHaloとはHyperionと表裏一体であり、サンデーサイレンスを軸とした血統の見方としてしゃーないことだ。これを自覚しないことには海外馬券の血統予想は成り立たない。

なのでHyperionを多く抱える分だけHaloの追走能力はオンとなる。Mountain Flowerは16分の1にまで退いているから、増幅されるばかりの立場である。教訓、16分の1は増幅オンリー。

ただし、ただしである。これはNorthern Dancerの介在があってこその話で、6代目にNijinskyを一本引くばかりのスワーヴリチャードへは適用し難い。Northern Dancer5×7ではHaloの助けとして不十分だ。

ただ、オルフェーヴルも4分の3Northern Dancerではない。

新たな研究材料

今回の記事で大きなポイントは「4分の1サンデーはみんな8分の1Haloとして扱うべき」ということで、スワーヴリチャードの研究はここから始まる。

後出し最強馬として見たからこそ大阪杯で本命を打てなかったし、ミルコの神騎乗を予想することが出来なかった。あの速い動き出しはキタサンブラックの強さと無関係ではないが、どちらかと言うとステイゴールドの息子たちを比較対象とすべきものである。

「4分の1サンデー、4分の2ND、4分の1非Almahmoud」=「4分の3Almahmoud、4分の1非Almahmoud」を考えていきたい。積極的にではない。配合形における一つの可能性として注目していこうという、なんとなくのものだ。



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