蟻地獄
前半は下って、息をつかせず登り区間へ入る。高低差3mを登坂を約3.5Fを使って登るのだが、登り終えるのは4角の半ばであり、函館の直線は262mと非常に短い。3Fスパートでも強い負荷がかかるのが函館2000mという条件であり、差し切りは困難。かといって前半に速い足を要求するので逃げ先行が有利ということでもない。間合いを測るのが上手い騎手が函館では良い成績を残す。
ただの地獄
蟻すら入り込まないアホなレイアウトと成り下がるのが函館1200m。「電撃の6F戦」のうち半分を登らねばならないという話で、ロードカナロアやストレイトガールが沈むのも納得である。あれはミス騎乗というよりも、あのリスクを背負わなければ勝ちきれなかったレースだ。そのくらいに函館1200mというのはニッチな条件で、スペシャリストの強いレースだ。なんかもう登ることだけを考えた様な、アホな配合が強い。
そのくせ昨今は時計が速い。フィリーズレビュー→桜花賞の3歳牝馬が2連覇中だ。同様の馬を選ぶならばBold RulerとHyperionでズブさを見せる配合が理想。Hyperionの薄い北米系名繁殖を抱えるのも重要。(ブルーアヴェニューやスカーレットインク)
けれど今年は3歳がいない。
予想印
◎セイウンコウセイ◯タマモブリリアン
△ダイアナヘイロー
高速の高負荷
近年の3歳牝馬攻勢は函館の高速化に問題がある。「パワーを必要とするし、馬場は速いし、登るスタミナも要求する。けれど鋭さは全く要らないよ。」という条件であり、古馬にはとても表現しづらいもの。
スプリンターの性質は1年で大きく変わる。古馬となった短距離馬は英愛スタミナとの兼ね合いがハマった形で、ややズブさを見せる。その中でも特に速さに劣る馬が函館SSを制してきた。先行で粘るタイプが差してハマる。
けれど速くなった馬場は位置取りをより前へ要求する。けれど登りっぱなしであるから速さばかりで行き切ることは出来ない。なので差し傾向のままであるはずであるが、ジレンマを若さが突き抜けた。
上位陣において3歳牝馬は一番前にいた。このレイアウトをスピードの絶対値で捌き切った様な勝ち方だ。
古馬戦
であればガチガチの本命なんて打ちようがない。ドンピシャがいないから。ならば実績優位だ。G1勝ち馬のセイウンコウセイが池添で挑むならばちょうどよい。スピードに不足はないし登坂も苦としない。京都でしっかりと残る機動力も魅力的。
ピークを過ぎても相応の表現で戦うこの馬を応援したい。連覇がかかった高松宮記念でもそんなに悪い内容ではなかったし、今ならば小回りで立ち回った方が味があるだろう。
夏の牝馬
人気しそうなのはみんな牝馬であるが、本来を言えば函館1200mは牝馬に厳しい条件だ。カレンチャンなんかの豪脚非サンデースプリンターならばともかく、柔らかく走る類の牝馬ならばフジキセキやアグネスタキオンといったパワー系からサンデーを引きたい。その点でダイアナヘイローは嫌な人気馬で、阪神1400mの実績は怖いところだ。しかし平坦箇所の速さで勝ち切る面が強く、キングヘイローのスピードを良く表現している。
非常に良く出来た配合であるが、キングヘイローってのは英愛の重さを受け止めきれるほどに軽快であるとも思わない。けれどこの全弟が今年のデビュー。Robertoの男馬だから姉を超える表現を持ってくるかもしれない。
アドマイヤセプターの全弟がドゥラメンテってなもんで、そうすると中距離馬に出ても不思議はないのよねぇ。キングヘイロー×ゴールデンサッシュ(=サッカーボーイ)はクリールカイザー=ライトカラカゼと同じ。
グッバイヘイロー軸では厳しい表現なのだけれど、母父のグラスワンダーを軸とした場合は悪くない。タマモベストプレイに構成が似た母系で、グラスワンダー軸にTom Foolを表現するという試みはスクリーンヒーロー産駒に近い。これは吉田隼人で中山の中距離を先行するしかないでしょ。
夏の牝馬その2
ということでタマモブリリアンを対抗に。吉田隼人の逃げ先行で出世して今は古川吉洋が鞍上。やや差し加減の競馬は「ダンスインザダークNasrullahまみれ」の配合にはドンピシャ。母父ヘネシーというのが絶妙であって、その母Island Kittyが非Nasrullah。4分の1異系を抱えた上でNasrullah攻めにしている点が本当に褒めやすい。
RibotやらTom FoolやらでPrincely Giftを絡めたNasrullahの軟さを支えるってのはナカヤマフェスタやフェノーメノと同じ仕組み。Nijinsky≒Storm Birdの剛性で走るスプリンターってのは函館1200mにはドンピシャだ。
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