砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

2022年ジャパンカップ回顧

スロー戦で外から流れ込むシャフリヤールというのは、どう見ても勝ちパターン。それで勝ち切れないのは格付けの意味合いが強くありまして、上位はほとんど差のない内容だったかと。

 

◎を打ったシムカミルはまぁ、仕方がないかな。あそこからギアを上げることが出来たとて勝ち負けには繋がらないでしょう。東京2400mで買うような表現ではなかったかなぁ。

しかしあの鈍重ながらも鋭く動けるモーションはジャングルポケット的でNureyev的。叶うならば日本競馬でもう少し見たい馬なんですが、血統通りに成長するならば世界的大舞台で姿を見る機会はあるでしょう。大舞台での経験も浅いことですし、まだ上積みは見込めるはず。

 

△グランドグローリーはやっぱりこういう競馬になってしまう馬で、脚を使い始めたころには手遅れになりがち。末脚の太さは折り紙付きで、今年のメンバーにおいても随一でしょう。それが間に合うかどうかは展開によるとしか。

ジャパンカップは極端な話として、デニムアンドルビーが間に合うレースであります。逆にデアリングタクトやグランドグローリーが間に合うには外枠が必須であり、ユーバーレーベンと一緒に流れ込めたならもう少し違う結果があったかもしれません。

 

それが出来たシャフリヤールが負けるのですから、不思議としか。ヴェラアズールが猛烈にインを突き通して戴冠ってのは驚異的で、血統マニアの喜べる範疇より外れています。

RobertoとAureoleですから、エイシンフラッシュ産駒としても、BMSクロフネとしても、意味の分からない結果となっています。それが通らないからエピファネイアは難しい馬だったわけですよ。それが通らないから福永騎手が叩かれたわけですよ。

 

ルメール騎手とM. デムーロ騎手がJRAで乗り始め、JRAの目論見通りに日本人騎手のレベルも上がって、「外国人騎手と遜色ないんじゃないか」「それは言い過ぎにしても、馬の表現によってはアドバンテージを握られているのではないか」というところまで来ていたと思います。

しかし、ムーア騎手の様な技術は一切築き上げられていないことを横山武史騎手の台頭によって示され、そして御本人の怪物差しで明確なものとなりました。

「Robertoはインを差すもの」という概念は日本競馬にはありません。ムーア騎手はスノーフェアリーの2連覇でそれを示していたし、凱旋門賞においてもFoundでそれをやっています。

そしてここに、スノーフェアリーに屈したアヴェンチュラの甥っ子がムーア騎手を背にやってのけました。あの日のスノーフェアリーの様に、最後の最後にぶっ差しこんできたのです。

日本の馬でこれを見せられたというのは、とても大きな財産だと思います。ヴェラアズールにこれから騎乗する騎手が、同じように出来るのかどうか。それが出来ていれば、この5歳馬はもっともっと早くに台頭していたのではないか。

イフに意味はありませんが、それが出来る騎手が一人でも増えれば、もっとたくさんの表現をG1で見られることかと思います。とりあえず彼には横山武史騎手を主戦に据えましょう。

 

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