この有馬記念を目前に、誰もがハーツクライの息子を打倒するハーツクライのような馬を探したのだと思います。しかしディープインパクトのようなハーツクライの息子はラストランを飾ることなくターフを去りましたので、この有馬は伽藍洞に等しいかもしれません。
◎スタニングローズ
◯レガレイラ
△ジャスティンパレス
しかしこのターフには夢が山程転がっていて、一つ一つはゴミのようなものかもしれませんが、誰かがそれを貴重と思えばそれで問題はなし。私はキングカメハメハ産駒の有馬記念制覇をどうしても見たい。
そもそも、なぜキングカメハメハの仔が有馬記念を勝てないのかという話となりますが・・・根拠の一つに「Nijinskyが有馬に弱い」ということが挙げられます。ブエナビスタなんかも勝てなくて、ようやく勝ったのが「ハービンジャー×キングカメハメハ×フジキセキ×El Gran Senor」のブラストワンピースでした。
例えば22年有馬記念で父母ともにNijinskyを引いていないのは
1着イクイノックス
2着ボルドグフーシュ
3着ジェラルディーナ
7着ジャスティンパレス
12着ポタジェ
だけなんですよね。極端な例でもあるのですが、Nijinskyくらいの大種牡馬がこうしたデータを作り出すのは結構珍しいことでもあります。
とまれブラストワンピース以降はエフフォーリアやドウデュースなんかのNijinsky持ち馬が勝利をあげています。Nijinskyの代が遠のき、様々の表現を獲得したことが主な要因でしょうね。
しかし、キングカメハメハはそもそもからしてNijinskyの代が遠い血統です。母父から勝つことは成功しましたが、父系としての勝利すら未だあげられていません。タイトルホルダーとスターズオンアースをドウデュースが撫で斬りにしてしまったがゆえに・・・。
バゴとかスクリーンヒーローとかブラックタイドとかハービンジャーとかネオユニヴァースとか、いろんな種牡馬が有馬記念を勝っているのに、キングカメハメハという歴史的サイアーが勝てていません。これは大変なことですよ。そろそろ帳尻を合わせるときがきたのです。
そんな◎スタニングローズですが、まー、打つならここしかねぇな、というだけの話で。
キンカメ×クロフネの薔薇一族ですから、中距離累代の中距離馬なのですよね。牝馬同士の2200mや2000mでは優位かもしれませんが、混合戦の2500mで優位を得られるかというと、非常に怪しいというか、無理筋です。
ただ、レガレイラの絶妙な切れ具合はローズバドに近いものだと思っています。◎レガレイラにするならば、ローズバドの向こう側へたどり着いたスタニングローズを上手に見るべきだろうなぁと。本当はレガレイラにしようかと思ってたんで。
勝ち筋がないわけでもありませんし、レガレイラの勝ち筋はスタニングローズの勝ち筋でもあります。結局は1800m質の2500mとなればいいわけで、シャフリヤールが逃げ宣言ならLyphardの前受けは刺さるでしょう。
つまるところ「Lyphardの差し込みを凌ぐLyphardの前受け」へ話は戻ります。Mill Reefを尊重し続けるLyphardの血筋、薔薇一族へエールを送る本命です。
レガレイラはスーパーNijinskyで、Lyphardの裏技的表現。Lyphardって結構Roman要素と絡み合うもんで、ハーツクライもディープインパクトもそこからは離れられませんでした。(だからこその父サンデーサイレンス)
RomanがRomanのままに伝わる時代でもありません。おおよそそれはBull Dog=Sir Gallahad×Blue Larkspur的なものとなっています。その傾向を圧倒的に否定するのが「非Blue Larkspur」という概念であり、キタサンブラックとイクイノックスの父子に見られる特徴はBlue Larkspurを介さないRoman的表現にあるといえるでしょう。(Bee Macを介するパターンとかですね)
レガレイラの場合は父がスワーヴリチャード。ハーツクライの、現状における最優秀の後継種牡馬です。Roman要素から離れられないハーツクライがRoman的要素を重ね続けた先にあるジャパンカップ勝ち馬ですね。
このRomanを牡馬の表現として否定し、「あくまでもRomanはトニービンの下地である」としたのがアーバンシックですね。こちらのほうが「トニービン×Lyphard」のニュアンスは強く、Pretty PollyとかLady Jurorとかの英国面を引き出した表現と言えます。(Fair TrialもRomanと表裏の関係)
レガレイラは牝馬としてRoman要素を肯定した・・・という点で、本当にディープインパクトの牝馬っぽい馬なんですよね。ジェンティルドンナとかショウナンパンドラとか、ああいう切れ味なんですよ。でも、ディープインパクトを経由していないからこその弱点も多い。
それは結局、Somethingroyal的な天才的スピードであって、言い方はめちゃくちゃ悪いんですが、レガレイラのディープっぽさは紛い物でしかないのですよね。それは良し悪しでもあって、ディープの娘にないものを持っているとも言えます。遺伝的にも、競争的にも。
ディープの娘になかったものは中長距離~長距離的Romanらしさです。ディープインパクトがそれを持っていたがために、それらを否定する娘たちは絶対にそれを手に入れることがなかった。少なくともそれで大成することが出来なかった。
それはハーツクライの娘、息子にしても同じこと。父と同じようにはなれない、しかし、その良さを活かす手段は模索しなくてはならない。その中に自分らしさを見つけ出すほかない。父と同じものになる・・・という考え方は古い血統論にて否定されています。(そこまで究極的な父母相似配合は狂気的インブリードにおいても成功しなかった)
ただ、一つや二つほど代を経ることで、多少は似たことが出来るようです。隔世遺伝とかではなくて、血統として同じ方向へ揺れ戻す働きが有効な手段となります。スワーヴリチャードが中距離ないしマイル的なRoman要素にて中距離馬として大成した、その娘であるレガレイラは祖父と同じ方向性で表現を得た。それはディープインパクトの母であるウインドインハーヘアを取り込んだ上の表現です。
まー、父に反発した息子の娘が祖父と同じ道を歩んだというだけの話。ついでに祖父のライバルの母の手助けも借りましたみたいなね。王道展開ですよ。ちゃんとラスボス戦では祖父のライバルの子孫と戦いますんで、大丈夫。
中ボス戦として祖父のライバルに弟子入した叔父と戦うプランもあったんですが、叔父は怪我しちゃったから・・・。
△ジャスティンパレスは・・・まぁ、話の流れとしてはこれしかいないだろうなって。非Nijinskyのディープ産駒を超えていけと。
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