砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ノーザンダンサーの成功

ノーザンダンサーって不思議な馬ですわ


ハイペリオンは基本的にネアルコの血統とは相性が悪い。セントサイモンを基調とする配合同士なのでインブリードになってしまうのが主たる原因。

ネアルコは4*5×4*5*7でセントサイモンを持っていて(7代目のクロスはAngelica)、母母のCatnipが非セントサイモンの米血牝系。4分の3セントサイモン、4分の1非セントサイモンという形だ。今のノーザンダンサー情勢に似ている。

ハイペリオンが4*3のセントサイモンクロスを主とした相似配合となる。イギリス競馬の黎明期に生まれたこともあって配合形は綺麗とは言えない。ネアルコほどに繁栄しなかったのはそれが原因だろう。

しかしこの二頭の配合によってニアークティックが生まれる。あらゆるところからセントサイモンが溢れかえる様な配合だ。4/4セントサイモン、厳密に言えば7/8セントサイモン。配合形だけ言えばエルコンドルパサーみたいなもんだね。ネアルコ血統の緊張っぷりを思えば緊張具合はエルコンの方が上だし・・・。

そのエルコンドルパサーがサンデー肌を相手に新人王+首位打者を取っちゃう様な活躍をした様に、やはりニアークティックも緩和のために動くこととなる。

ノーザンダンサーニアークティック×ネイティブダンサー×マームードマームードナスルーラやロイヤルチャージャーの近親にあたる。つまりネアルコとの相性はよろしい。更にマームードの母父がゲインズボローでコレがハイペリオンに脈絡するから、ニアークティックを相手にするためだけにあるような存在と言っていいだろう。母のNatalmaもセントサイモン血脈を豊富に持っているが気にするほどの緊張でもない。本当にセントサイモンがために現代競馬は存在しているのだねぇ。

日本の現代競馬というのはモチジュン先生の仰るハイインローとネアルコ血統、そして米血統による緊張と緩和で成り立っていると言っていいだろう。その中でのノーザンダンサーネアルコでありながらもハイペリオンであり、そして米血統である。米血で固めてスプリンターを作るにしても、ハイインローで粘っこい馬を作るにしても、サンデーらしいビュンっと弾ける馬を作るにしても、やはりノーザンダンサーというのは使い勝手が良い。クロスしても悪さをしないし。

その直仔にあたる種牡馬たちを見てもその傾向は明らかだ。米血統を異系として継続させて行くのは当然として、ナスルーラ的な要素を取り入れる形も多い。それこそFair Trialである。ダンジグもリファールもサドラーズウェルズからヌレイエフまで、なんでもござれだ。

一方でハイインロー血脈を打ち込むパターンも多い。ビーマイゲストにディキシーランドバンド。一代置いてからの形だとデインヒルとか。

ある程度代を重ねて行けばどの枝葉でもハイインローは入ることになるが、その前にハイペリオンだけクロスさせる形は多いし、それからハイインローで継続・・・ということもまた多い。エルグランセニョールなどはノーザンダンサー×バックパサー×トラフィックジャッジ。後継には恵まれなかったが名繁殖であるToussaudを出している。これがエルグランセニョール×インリアリティ×コーニッシュプリンス×スワップスで、それにアンブライドルドが入ったのがエンパイアメーカー、となる。・・・エンパイアメーカーって社台が買ったわけじゃないのか。えげつないテラ銭をもぎ取っていくだけあって競馬振興のためにいろいろやってるのね。そういやダンシングブレーヴJRAが購入してるっけ。馬券を買うことによって日本競馬が発展していく・・・素晴らしいことだね!ちなみに軽種牡馬協会の理事には鈴木宗男がいるらしいぜ。あいつと馬は何の関係があるんだ。あなたは道東の人間でしょう。馬産は道南の仕事よ。いや、馬喰の息子という話はあるから無関係ではないのだろうけども・・・。

ノーザンダンサーのクロスは非常に多いがニアークティックだけをクロスさせることは非常に少ない。原因は他のニアークティックから派生した種牡馬が少ないこと。アイスカペイドワイルドアゲインが最も繁栄しているのだろうが、アイスカペイドの母父がネイティブダンサーなのでノーザンダンサーと4分の3が同血。そしてワイルドアゲインの代になるとハイペリオンマームードが入る。ノーザンダンサーと大差ない・・・というと大間違いだが血統要素がかぶらないわけでもない。

そしておそらくニアークティックをクロスさせても面白くないだろう。ネアルコ×ハイペリオンのド緊張を増幅させてもねぇ。だからLady Angela・・・ハイペリオンの方だけを増幅させたノーザンテーストがこれだけ流行したのであって、やはりモチジュン先生の理論通りに「ハイペリオン万歳」という締めくくりで。

余談。

馬喰と書いた。馬を喰らう、ってなわけだから差別用語なんじゃないかとドキドキしながら調べてみるとそんなことはない。別の書き方をすると「伯楽」てなわけで、読みもそのまま「ばくろう」。名伯楽の伯楽なわけで、本来ならば「めいばくろう」なんだね。「めいはくらく」の方がかっちょいいけども。

あと、「デッドヒート」の意味も面白かったね。「ヒートレース」って形式が18世紀まではあって、それはレースを何度か繰り返して一定の勝利数を収めなきゃ勝ちと認めないよってやり方。それに加えて僅かな着差では勝ちと認めない。レースの単位を「ヒート」。つまり1ヒート2ヒートとしていて、勝ち馬なしのヒートを「デッドヒート」と、そのヒートは失われた、無効ですよ、ということになるらしい。Wikipediaでは『「激しいデッドヒート」などと表現するが、原義に照らすと、これは「激しく無意味な争いをしている」というような意味になる』という話を紹介。出典先があるから本からの抜粋だね。

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