砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

ワンアンドオンリー ジャパンカップ予想

ワンアンドオンリーもまたディープ牡馬の様に「抜かせない」の馬で、ダービーや神戸新聞杯を見てのとおりに並ばれてからがとっても強い。だけどそれだけに抜くことが出来ない馬で、神戸新聞杯でも千八ベストのサトノアラジンを抜けないままに上手いことピッチを上げていって、アラジンが距離の壁に屈してからようやっと抜けだした。これはダービーで起こったイスラボニータとの接戦も同様。切れ馬を相手に一緒に伸びて、切れ馬が距離の壁に弾かれてからが真骨頂だった。

だからサウンズオブアースなんかに最後の最後に並びかけられても「抜かせない」ことは出来るんだが、ハーツクライストライド馬だから加速は緩やかであるし「抜かせない」の状態に持っていくのは至難の業。今のサウンズオブアースを相手にすれば100回やって99回負けるだろう。

近年の正攻法で勝つダービー馬ってのは英国的で、距離の壁に阻まれた馬を糧にしながら「俺って強いじゃん!」とパッカラパッカラとゴール前まで粘り差すパターンが多い。今年は絶対正義のエアグルーヴ牝系であるドゥラメンテが勝ったし、ドゥラメンテとゴリゴリしながらディープ×Roberto系のサトノラーゼンが突っ込んできた。こういう馬がこれからどんどん台頭してくるだろうし、サトノクラウンみたいに外から陽気に飛んでくる奴は届かないことが多くなるだろう。(ダービーはサトノクラウン本命だった)

エアグルーヴが絶対正義なのは彼女の身上であった揉まれ強さに由来し、ドゥラメンテもそれを受け継いだ。内に入ってから勝負どころでハッスルした皐月賞サトノラーゼンに食いかかってから悠然と競り落としたダービー、これこそ現代日本に必要な要素だ。

だから俺はジャスタウェイとか好きよ。Wild Againがあるからこそ田んぼ開催の安田記念で馬群を割ってから猛然とグランプリボスに追いつき競り落とした。あれが米血なのだわ。具体的に何の血統が作用しているかは分からんけどね!

まぁ基本的にアメリカ人が好きな血統は揉まれ強いよ。Bold Ruler系とかSpecial牝系とか。マリアライトの母父エルコンはSpecial=LisabellクロスのSeattle Slewで、キタサンブラックは母母父がBold Ruler系のジャッジアンジェルーチだな。モチジュン先生がBold Ruler忍者という表現をなさるけれども、あれもやっぱり内に潜ってから脚を使えるからこそだと思う。思います。

それを言ったらワンオンもSpecialと同血のThatchを持つけれども・・・Davil's Bag=Glorious Songが微妙に関係してるくさいのだわ。Blushing Groomの激気性がないと馬群を縫う馬にならないくさいんだよねぇ。シングスピールジャパンカップは馬群を割って出てきたけれどもよくよく見ると周りに馬がいない状況からピッチをあげているし、決して抜けださずに競り落として勝った内容。それは仔にも受け継がれてレディオブオペラみたいな逃げ馬やローエングリンみたいなまくりの馬を出している。

アサクサデンエン安田記念も外の馬に半馬身先行した状況で併せながら伸びてきた。これはレッドアリオン富士Sエキストラエンドにハナ差先行しながら絶対に抜かせないままに伸び続けた内容と似ているな。

キズナワンアンドオンリー阪神でまくった経験を持つ。まくりは「追い抜く」のではなく「位置を上げる」のだ。抜きたがらない馬はまくってから「抜け出す」馬に併せながらハッスルさせるのがよろしいのだわ。ただ、ディープ牝馬の「出し抜く」悪女たちは「抜かせない」馬を捉えることを身上にして生きていて、オルフェーヴルキズナも悪女には勝てなかった過去を持つ。だから奴らを倒すには並びかけずに外を通るしかなくて、ラキシスもジェンティも大外を通るスピルバーグマーティンボロの名家出身慶応ボーイたちを食うことは出来なかった。

なので今のワンアンドオンリーもそういったディープ乙女たちの食い物でしかないし、同じ食い物であるディープ牡馬には切れの観点で劣るからどうしても4角で先行されてしまう。京都大賞典でも少し追走が苦しかった様子があって、おそらく気分も向いていないのだろう。前が落ちてきた頃に彼なりにやる気を出すんだが馬群なりにしか差せていないんだわ。

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