まず目につくのはKnown Factの存在。1着のダンツレガリアは母父がウォーニングという荒っぽさで、ウォーニングの日本における代表産駒と言えばゴリゴリ短距離馬カルストンライトオ。そしてサニングデール、タニノマティーニ。
もうバリバリの函館スプリント血統で、In Reality持ちの種牡馬フジキセキ産駒も好調である。これを狙うだけで函館1200mはプラス収支に・・・なるかは分からないけれども、そのくらい重要。けれどストレイトガールは馬群に沈んだ。
短距離の大穴血統としても著名かも。他に母父ウォーニングにはミナレットがあり、殿人気から大逃げを打って3着まで粘り込んだヴィクトリアマイルは語り草。エダテルはもうメインで穴を開けることはない・・・そう思われ、期待する競馬ファンも少なくなり、「エダテルの逃げだから一発あるんじゃね!?」と冗談を言う程度の評価しか残っていなかった。それが実現してしまったあのレースをリアルタイムで見られたのだ。実に喜ばしい。
函館SS出走馬でIn Realityを持つのは、
父フジキセキのファントムロード。
しかし重要なのはあくまでもKnown Fact-ウォーニングである。特注はこのライン。
Known Factは名繁殖Mixed Marriageの牝系出身で、近親にはエタンやTentam、エーピージェット、Lion Cavern、ロードアルティマ、そしてパテントリークリア。そして、Gone West。日本にも縁があり、その上で世界的な種牡馬を出す名家である。
ウイポでは牝馬クロスを狙いやすいスピード血統である。めちゃくちゃ便利。
そこからちょいと話を広げると、Gone West直系馬に対してエタンとかパテントリークリアとかKnown Factをぶつけることでスピードを抽出することが出来る。そしてGone West系というのは、Mr. Prospector系においても例外的とも言えるほどに、そのスプリント能力を強く強く伝える枝葉でもある。
Danzig論でもおなじみの話であるが、スプリント血統は母系にスタミナを入れることで中距離血統として大成していくのが常道である。例えばChief's Crownである・・・が、この血統と同じように母父にSecretariatのスタミナを据えたのがGone Westなのだから面白い。
ただ使い方が違う。
Chief's Crown~父スピード、母父スタミナ、母母スタミナ
Gone West~父スピード、母父スタミナ、母母スピード
Chief's Crownが母母のスタミナを使うことで中距離血統として君臨しているように、Gone Westは母母のスピードを使うことで短距離血統として君臨する。Mixed Marriageという名牝のスピードはそれほど使い勝手がよく、高性能である。
(ちなみにChief's Crownの母母Chris Evertも米牝馬三冠の化物血統でSecretariatもまたレコードホルダーの化物血統。この二頭のスタミナで英ダービー馬を輩出するに至った。)
(※正確に言えばSomethingroyalのスタミナと言うべきだが、それをよりよく伝えたのがSecretariatであり、Sir Gaylordはスタミナ血統とは言いづらい。しかしこの兄弟クロスはわりかしスタミナを伝える組み合わせである。)
(そう考えるとエイシンヒカリはエプソムダウンズの方がよいかもしれない。キズナなどはエプソムダービーでも勝負になったのではないか。)
(ところで今日の俺は屁が止まらない。しかもそれがまた臭い。もう何十発ぶっこいたかしら。)
つまりMixed MarriageのスピードとはMr. Prospectorのスピードに対して相乗的に作用することが予想される。Mr. Prospectorのスピードと反応するのであればRobertoやNijinsky、Nureyevなどとも作用するのではないか。
ダンツレガリアはMr. Prospector4✕4、加えてRobertoとNureyevであるからNantallah≒Nashuaスピードの権化である。クリノツネチャンはMr. Prospector✕Nijinsky✕Edelweissだ。
しかしGone West持ちがどうこう・・・というのはあるかもしれないが、実際にそれはない。かといってエイシンブルズアイなどは洋芝も合うだろうから、出走していたならば本命にしないことなど、やはりありえない。文句なしの本命だ。
それでも、とりあえずは、Tim Tamの血をどうこうという話に持ち込むべし。
これがTom Fool✕Bull Leaで、ダンツレガリアのウォーニングはRobertoであるし、また自身はRed God直系馬。クリノツネチャンはAlydar持ちである。バリバリのBull Lea刺激タイプ。特注のサクラバクシンオーもBull Lea血統である。
Princely GiftやMr. Prospector的に靭やかに動き、そしてBull Leaの後駆で小回りを踏破する。それが函館SSの鉄板と言えるだろう。高松宮記念を制したビッグアーサーを真正面から破った馬は割りと多いが、彼らのほとんどが函館SS的であることが面白い。サクラバクシンオーの一般的なスプリンターに、サクラバクシンオーの血統を紡ぐであろうビッグアーサーが敗れている事実・・・非常に面白い。
土曜の函館メインで1着3着に突っ込んできたのはクロフネ✕バクシンオーである。これはモチジュン先生がコメント欄でもおっしゃっていたことで、この配合形はクロフネよりサクラバクシンオーの性質で動く。
だからローレルベローチェに中井裕二が乗ることが非常に惜しい。これが福永とか武豊とか、あるいは幸四郎とかだったならヒモで拾う手もあった。中井裕二の逃げであるともうちっと振り絞る何かが必要で、それこそハイインロー血脈と結びついたMixed Marriageなどの血統を必要とする。函館1200mを押し切るには底力が足りないというか、切れすぎるところがある。また今回はフルゲートの14番だからな。
函館SSで十全とした血統を持つ馬はいない。レッツゴードンキやアクティブミノルが人気しているあたりが困りどころであり、これらを含めた人気どころがなかなかに強い。これは人気薄が突っ込む隙がないのではないかな。
シュウジ、レッツゴードンキ、アクティブミノル、オメガヴェンデッタ、ローレルベローチェ、ティーハーフ。これらを凌ぐ方法はいくつかあると思うが、内枠の岩田とかストレイトガールの悲劇しか思い出せない。しかも人気のシュウジだから本当に笑えない。
前が厚くなるならファントムロードの差しが届くと見るのも悪くない。姉ちゃんが函館SS勝ち馬で、自身はせん馬である。それならこの人気薄は美味いと見るべきだろう。藤岡兄貴の短距離はぶっちゃけ旨味がないけれど、相性はそんなに悪くはない。ドンピシャでない以上3着までかな。
決めきれないしのんびり見守るパターンだ。カッツン&スカイキューティーなら止まるだろうし、外差しビュンビュンの可能性はあるかもしれない。
ロスなく運んでちょい差し◎オメガヴェンデッタ
ロスなく運んでじわりと動く◯レッツゴードンキ
外から淀みなく動くフジキセキの黄金配合△ファントムロード
◎-◯-△で、◎と◯のマルチ、この三連単が本筋かと思う。ティーハーフは靭やかであるから池添らしい「馬群を割りつつストライドロス最小限差し」をやってのけるには函館1200mはごちゃつきすぎる。中団外から展開するほどティーハーフは器用な出方をする馬ではないし、ここは「あるいは」の領域を出ない星印に留めたい。
ヴァイスリーガル≒ノーザンテーストかつリアルシャダイ持ち、そしてKingmambo≒ジェイドロバリーであるレッツゴードンキはここが天王山。ここは勝ち切りたいところかと。内々で捌いて味があり、それを武器に函館を戦う吉田隼人が鞍上というのも全てがハマった感がある起用である。
しかし函館1200mのちょい差しをやるなら武豊も侮れない存在で、ミスプロクロスのロブロイせん馬にもここは絶好の舞台。重賞を勝って当然・・・と言える牝系であるし、それを活かした好配合である。
あと気になるのはファルブラヴのせん馬エポワスで、函館1200mは1-3-0-0という手堅さを誇る。しかしそれはいづれも1分9秒オーバーの馬場であり、快勝した14年の道新スポーツ杯も1分10秒3で決着している。今年は7秒台に入ることも見込まれるだけにファルブラヴ産駒のスピードでは難しいかな。
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