砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

非NDサンデーの予想が面倒な理由

ディープインパクトハーツクライステイゴールドダイワメジャーの4頭に加えて、ダンスインザダークスペシャルウィーク・・・あとゴールドアリュールだとかかな。これらは比較的「一概に扱える」ことが出来る種牡馬だろう。

ディープインパクト産駒だから京都外回りで買う」

ハーツクライ産駒だから東京のハイペースで買う」

※「ステイゴールドの重賞勝ち負け級だから渋った中山で買う」

ダイワメジャーだから問答無用で芝の道悪で」

ダンスインザダークだから菊花賞

スペシャルウィークの牡馬だから道悪で買う」

ゴールドアリュールは・・・知らん」

とまぁ3年そこそこの競馬歴でも無理矢理に並べられる程度にはキャラが決まっている。ところがフジキセキネオユニヴァースアグネスタキオンマンハッタンカフェなんかはどうだろう。結構配合に癖があるイメージではないだろうか。

これは何故か・・・というのが今回のお題。と言ってもアグネスタキオンフジキセキは癖のない方だけれども。アグネスタキオン産駒は父の中距離スピードでピュンピュン走る馬が多く、最高傑作は満場一致でダイワスカーレットだろう。フジキセキは手先のパワーと俊敏≒スピードに優れた産駒が多く、カネヒキリキンシャサノキセキ、そしてストレイトガールイスラボニータを輩出した。なかなか役者が多い。

ところがマンハッタンカフェネオユニヴァースはえげつない。

マンカフェはディープインパクト産駒ほどではないにしてもかなり靭やかさを伝える種牡馬で、ヒルノダムールなんかのステイヤーを輩出した。マンハッタンカフェ自身が菊花賞有馬記念春天の勝ち馬であることを見ても当然の流れ。

ところがジョーカプチーノNHKマイルC)、グレープブランデー(JDD、フェブラリーS)、レッドディザイア秋華賞)など多彩なキャラクターもある。グレープブランデーを除いてNijinsky持ち(レッドディザイアジョーカプチーノCaerleonヒルノダムールラムタラ)であるが、マイル、中距離、長距離、ダート千六~千八を僅かな期間に輩出したのは驚き。重賞勝ち馬を例に上げると配合も勝ちレースも多彩になる。

ネオユニヴァースフジキセキ同様に手先の強さが特徴的な種牡馬で、代表産駒のヴィクトワールピサは日本の渋った芝とドバイのオールウェザーを制した。残念なダービー馬と噂されるロジユニヴァースもただの道悪巧者とするには惜しい逸材。

他に超ステイヤーデスペラードとか夏荒らしの名牝イタリアンレッドなど個性派揃い。何よりステイゴールドの現役時代を髣髴とさせるシルバーコレクターが、サウンズオブアースがいる。

前置きが長くなったが、これらの原因はすべてサンデーサイレンスとNortherrn Dancerのニックスによって説明がつく。このニックスは想像よりもずっと強烈なもので、それだけで方向性が定まるくらいなのだ。究極・・・殆どの血統論は「サンデー+NDクロス」を前提としているとも言える。

冷静に考えたら当然の話だ。Mr. Prospectorクロスを3本とかTudor Minstrelクロスを3本とか、それだけで方向性が定まるでしょ。なんで俺はこんな簡単なことに最近まで気づかなかったんだろう?

だからNorthern Dancerが薄ければ薄いほど個性的な馬に出やすい(そりゃ王道の配合に背中を向けているのだから)と言えて、非NDのネオリアリズムが短距離の名繁殖トキオリアリティーから産まれたG2勝ちの中距離馬ってのも分からないでもない。分からないから否定出来ない・・・というべきだな。

イスラボニータも5代目にNDがようやく見えるだけのフジキセキ産駒で、この馬も俺の心を乱す馬。異系を持たない(一応La Fabuleuxがあるけど)のにクラシックを勝ってしまった馬で、しかも退けた相手がトゥザワールドなのだが不思議なもの。だから配合としては褒められたものではなく、Le Fabuleux≒Wordenを取ったタマモ~プレイやドリームパスポートの方がよっぽど素晴らしい配合をしている。

これはサンデーサイレンスの4分の1を支えるMountain FlowerのハイインローとLe Fabuleuxのフランスのスタミナでゴリゴリと走り続けたフジキセキ譲りで、ラストクロップにとうとう望まれ続けた特殊能力を伝えた・・・という風に考えるしかない。

そういえば極端にNorthern Dancerを近親に持っていたのはグレイスティアラくらいで、他は大体4代目NDであり5代目NDも決して珍しくない。5代内にクロスを持つのもエイジアンウインズくらいだ。これは初年度産駒の星として種牡馬入りしたフジキセキの特徴としてはそぐわない。

つまりフジキセキフジキセキなりに伝える物を持っており、NDクロスによる遺伝は不必要であったのだろう。それを色濃くイスラボニータは受け継いだ・・・という図式だろうか。もしそうであればずば抜けた遺伝力である。

イスラボニータが全てを相続しているのであれば面白い。

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