砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

凱旋門賞出走予定馬の血統を見る Almanzor編

AlmanzorHyperion✕Fair Trialの中距離馬 [netkeiba]  Gone West直系の5代アウトという不思議な臭いがする馬。母父Maria's Monが非NDなのでここで「4分の1異系」を取る。キングカメハメハっぽい配合にも見えるが、東京優駿を楽勝する様な靭やかさはなさそうである。  父Wootton Bassettは長くてマイルという短距離馬。2歳チャンピオンに輝いた実績があるが3歳以降はぐっちゃぐちゃだ。しかし何を見込まれたかは分からないが種牡馬入りを果たし、ダービー馬を輩出するに至った。そりゃ誰もがこの馬に対して懐疑的にもなるだろうし、愛チャンピオンSを差し切ったらやっぱりビビるだろう。  父の配合を一言で表すと「HyperionとFair Trialのスプリンター」である。つまりBurghclereなどのスタミナと互換性のあるスプリントなので「父スプリンターの中距離馬」に矛盾はない。しかし、母父Maria's Monもまたマイラーである。Hallingは中距離馬だな。DoyounはこれMill Reefの千八馬だな。エンペリーは間違いなく中長距離馬だな。結局近親はみなHyperionのスピードで走っているところがある。これで中距離走っているのはなかなか驚きだ。  4代母Daralinshaがエンペリー✕Labusの配合で、DjebelやTeddyなどフランス血統をアクセントに、Busted、Umidwar、Vaguely Nobleというイギリス血統を盛りだくさんに詰め込んでいる。このスタミナを一流のTudor Minstrel血統でスピードへ変換しようとするのが本馬の歴史と言える。Dumkaというフランス1000ギニー勝ち馬とかさ、DiesisというNative Dancer系有数の名血統とかさ。  Maria's Monはそのあたりの争いには無頓着で、これが「4分の3米、4分の1英仏」を取る。La TroienneやWar Admiralなんかの米血統を強く引いて、RibotやAmbiorixをMajestic Lightから引く高采配を見せる。完全な非Fair Trialであることも大きなポイントで、完全に配合の幹が異なる血統である。  全体を見れば実に秀逸なクロスがあるのが分かる。エタンとGone Westを通じるMixed Marriageクロスである。ハイインローPretty Pollyをこんなにスピード化しようと勤しんだ配合も珍しく、そりゃアイルランドやイギリスに里帰りさせたら存分に切れようというもの。  牝系の良さを出したという配合でもあるし、父の止めどないスピードを受け止めた配合とも言える。イギリスとアメリカをつなぐ確かな「Hyperion✕Fair Trial」を見た。   [追記] なお、父系と牝系はザルカヴァに似る。 [fin]