砂時計のくびれた場所

競馬の血統について語るブログ

3歳春に京都3000mを攻略する血統構成について

終わってからこんな記事立ち上げるのも情けないが。

ステイフーリッシュやエタリオウの弱さはHyperionの密度を母父に頼っているところだ。これはこれで問題はないわけだが、やはり中距離馬としての強さが際立ちやすい。

サンデーサイレンスが「Hyperion的な頑強でビュッと動く中距離馬」なわけで、サンデーらしい馬というのは基本的に菊花賞を攻略できない。「4分の1」にてHyperion系の強いインブリードを持ち、それで本格化する馬はサンデーとして中距離的である。

だから4分の4(サンデーサイレンスを含む)で満遍なくHyperionを取り込みつつも、それをアウトとする血脈を表現に強く絡める馬が好ましい。

とはいっても、大抵の馬が「4分の4Hyperion」なわけであるが。満遍なく、ってのは「極端な集中を持たずに」ということである。

基本路線は「Hail to Reason血脈によるHyperionのアウト」だ。ブライアンズタイムやSadler's Wells、それとサンデーサイレンスがこれに当たる。

ここで難しいのは・・・Northern Dancerの存在。メイショウテッコンを土壇場で消したのは「マンハッタンカフェの上級は母がNorthern Dancerクロスであり、あるいは全く持たないパターンである。」という話からだ。

この配合ではHaloとNorthern DancerによるAlmahmoudクロスを軸とした配合となる。それを表現するにはマンハッタンカフェは少し微妙なのだわ。ルージュバックでさえここで躓いてしまった。

「4分の1サンデー」におけるAlmahmoudの在り方は手厳しい。基本はあくまでも「4分の3と4分の1」だ。「4分の3Northern Dancer・4分の1サンデーサイレンス」、「4分の3Almahmoud・4分の1異系」のどちらか。

「父母間Almahmoudクロス」で配合を決めるには様々の伏線が必要であって、これを成功させて見せたならばキタサンブラックくらいは出る配合と言えるだろう。

フィエールマンは母父Green TuneがNijinsky≒Ocean's Answerで、Northern Dancer3×4。ここの緊張が少し難しいラインであって、大きく割り引いた理由でもある。

過去に「母父(or母母or父母)Northern Dancerクロス・父父サンデーサイレンス・父母(or母父or母母)Northern Dancer1本」の配合がG1を勝ったことはない。

例えばゴールドアリュールは母がNorthern Dancerクロスなので、産駒の代は「父母Northern Dancerクロス・父父サンデーサイレンス」である。産駒は基本的に母が非Northern Dancerで、エスポワールシチーコパノリッキースマートファルコンがそれに当たる。

母がNorthern Dancerを持つゴールドアリュール産駒はゴールドドリームクリソライトがいる。これは母や母父がNorthern Dancerクロスで、1本ばかりを引くことがない。なので好形とは褒めづらいのだが、これらはNorthern Dancer直仔のクロスを入れることで成功した。

ディープインパクト産駒においては「母4分の3Northern Dancer」のミッキーアイルがある程度だ。

過去の血統を掘り下げるとフィエールマンのような配合の成功例は多い。多いのだが、現代に通用した例は非常に稀だ。ましてG1ともなると例が一層見られない。

だが、Northern DancerをただのHyperion血脈と見ることで、あるいはそう仕組むことで、一定の解決が図られる様子だ。

特にNijinskyにはその傾向が見られる。Danzigノーザンテースト、Sadler's Wells、Nureyevといった「HyperionクロスのNorthern Dancer直仔」が多く見られる中で、それらと一定の脈絡を持ちながらもHyperionをアウトとする組成を現代へ送り出した。

スペシャルウィークキングカメハメハハービンジャーダンスインザダーク、それと上記のゴールドアリュール。これらの血統は日本的なNijinskyと言えて「早期にHyperionを導入したNijinsky」と言える。(ハービンとキンカメはTudor Minstrelとの邂逅が最初となる点で同じ)

だがフィエールマンの様に「Northern DancerクロスによるHyperionクロス」を最初とするパターンもある。これは日本にあまり見られない「異系的なNijinsky」である。

今年の菊花賞馬が菊花賞にて秀逸な末脚を発揮したのはドドドドスローの恩恵ばかりではない。むしろ、ドドドドスローだからこそギリギリとなったわけで、きちんとスパートがかかっていれば快勝していたはずだ。

それは母が非常に希薄なHyperionを持っていることが理由であろう。サンデーサイレンス、ひいてはディープインパクトの伝えるスタミナを阻害しない配合なのだ。

先生の◎フィエールマンはすごい。これこそ血統家の印だ。

[fin]